～競技ダンスと私　突然の依頼～

治療活動を始めて数年が経った１２月の最初の頃、母校ダンス部の後輩からメールが届きました。「パートナー（組んでいるダンスの相手のことです）が練習中に足を痛めたので鍼をお願いできますか？」といった内容でした。 メールを送ってきた後輩には一度鍼をしたことがあるので、連絡をくれたのだと思います。しかし状況が問題でした。二人は当時大学４年生で、週末に全日本学生競技ダンス選手権大会（通称、冬全）を控えていた選手。学生最後の大勝負を間近にしての負傷。練習していた場所が私の実家から近かったため、タクシーで来てもらい実家の部屋でアイシング、鍼、テーピングなどの処置をしました。当時は出張専門で活動をしていた頃。まだあじさい鍼灸マッサージ治療院は存在しませんでした。

状況がかつての自分そっくりで偶然に驚きました。そして二人の不安、無念な気持ちもよく分かりました。後輩たちには週末の全日本で悔いなく踊ってほしいと思いました。
その数日後、全日本の会場で二人が決勝に残って踊っている姿を見てほっとしました。そして大学４年のときの自分に、今の自分が勝ったような気がしました。

甲野　功

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