開院時間
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住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
指圧の基本テクニックは、教科書によれば、押圧操作と運動操作の2つのみであり、按摩やマッサージに比べて単純と言えば単純でしょう。
とにかく指で押すことがメインです。
シンプルな分だけ奥が深く、難しいものです。
押圧操作には「触れる」「押す」「離す」の3段階があり、特に「押す」と「離す」に技術が要ります。
手の触れ方としては、
・軽く柔らかく触れる(これが基本)
・軽く速く触れる(知覚過敏のある部位に触れる場合など)
・軽く自然に触れる
と3パターンあります。中には人に触れるのが猛烈に苦手、くすぐったくなるという方がいます。あるいは触れれるだけで痛いという場合も。そういった人が来ても対応できるように触れ方もきちんと考えます。
押し方も最後にまわして次に手の離し方ですが
・緩減圧(極めてゆっくりと離す)
・急減圧(反射を期待して急に離す)
・漸減圧(これが基本)
と3パターンあります。漸減圧、つまり丁度良いスピードで手を身体から離すことが基本です。急減圧は主に衝圧法という技術で用いられるものです。
そして本題の押し方については
・緩増圧(極めてゆっくりと警戒しつつ押す)
・急増圧(急に圧を入れる)
・漸増圧(これが基本)
の3パターンになります。とても過敏な方には緩増圧で押していきます。高齢者で骨が脆くなっていると予想できる方にもそうです。急増圧は刺激に対する防衛反応を少なくするためと書かれていますが、通常はまずこのような押し方はしません。衝圧法くらいでしょうか。基本の押し方は段々と圧を入れていく漸増圧の押し方をします。
まとめると、軽く柔らかく触れて漸増圧(ゆっくりと圧をかけて)、漸減圧(ゆっくりと圧を抜く)が基本になります。それを実現するためには指や腕だけでなく下半身の動きもとても大切なのです。
そして押圧操作には、“三原則”というものがあるのです。
①垂直圧の原則 ②持続の原則 ③集中の原則
の3つです。
簡単なようでこれらを守って押すというのはなかなか難しく、簡単ではありません。
三原則については後のブログで説明します。
さらに押圧操作の基本圧法として6種類が東洋療法学校協会編集の教科書「あん摩マッサージ指圧理論」には記載されています。
・通常圧法:1か所につき3~5秒で呼吸に合わせて押す。循環器系、自律神経系の働きを良くする。
・衝圧法:急に押して、すぐ放す。反射作用を喚起する効果がある。
・緩圧法:2段押し、3段押しとも言われ圧を区切って押す。慢性疾患や深部の硬結(こりのこと)に効果がある。
・持続圧法:主に手掌(手のひら)で約1分間圧を加える。皮膚に広く当たるので温熱作用がある。
・吸引圧法:皮膚を吸い上げ、吸い寄せる、吸いつけるように回す。押すというより引っ張るという動作。
・振動圧法:圧を入れたまま細かく振動させる。前腕の筋肉を過緊張させて行う。
基本と言いながら各々繊細なテクニックが必要です。吸引圧法などは矛盾していないか?と思ってしまいます。押していないでしょうみたいな。
私の場合、振動圧法は主にお腹に使いますが神経を使う技術です。 当てている手を細かく震わせてもう一方の手で圧を調整します。しかも結構腕が疲れます。うまくはまるとお腹の奥まで刺激が通る感覚が得られます。
いかかでしょうか?ただ押すだけでしょ?と思われがちですが色々技術があります。
指で押せば指圧じゃないかという人は多いかもしれませんが、甘いものではありません。
それを物語るエピソードで「離す」テクニックがあります。
「離す」という動作はある意味、「押す」よりも重要です。
離す動作によって効果に差が出ると言われています。圧迫することで局所の血流を止め、離す際にダムの放流のように大きく流れるからです。
母校の呉竹指圧では“半月の手”と言って重要性を教えています。押すのは体重をかければいいのですが、離すときは体重をよりコントロールしなければいけないので下半身をよく使います。
※私のやり方は呉竹指圧ですが、他にも浪越指圧など別の流派もあるので技術の相違があります。あん摩マッサージ指圧師といっても指圧のみで臨床を行う先生もいます。
あん摩マッサージ指圧のある大家がおっしゃっていましたが、指圧は欧米人に好まれるそうです。彼らの筋肉は揉むと揉み返しになりやすいので、圧迫のみの指圧の方がいいのだと。
私も同じような経験を、中学生陸上競技選手を治療したときに感じました。若くて運動を常時している身体は敏感で、少しの刺激が過剰になります。このときはほとんど軽い指圧で行いました。
身体の感度によって方法を変えなければなりません。
押圧操作は持続することが原則であり、同じ力で押すことを継続します。そのときに指先の感覚で、筋肉が呼吸をするように、硬結(こり)指先から少しずつ離れていく感覚があります。そのとき、逃げた硬結を追いかけることもしますし、圧を抜くときもあります。患者さんの身体と指で対話している感覚あり、指圧の醍醐味だと考えています。
甲野 功
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