開院時間
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『プロフェッショナルな人は感覚的です。』
私が鍼灸マッサージ教員養成科の学生時代に言われた、ある先生の言葉です。
その方は治療院を経営し、自らも臨床に立ちながら後進の育成、執筆、経営、ボランティア、講師など幅広く活躍する、成功している人です。
臨床現場において、
言葉では説明できない感覚的なものが存在し、「なんとなく」とか「勘でこう」といった曖昧なものが存在する。むしろ経験を積んだ高度な技術を持ったプロフェッショナルの人間はこの感覚的なものがあって当然であり無くてはならない、
というのです。
先生は学生時代に、講師が感覚的な教え方をするのに不満があり、内心「プロなんだからきちんと言葉で説明しなさいよ」と思ったそうです。
ところが資格を取り知識、技術、経験を積んでいくうちに言葉で説明できない感覚が出てきたとのこと。
同じような話で、別の先生が「経穴(ツボ)によばれる」とか、「ここに邪気がたまっている」など、一見何を言っているのだ?と思う発言を耳にしたこともありました。
たまたま一人の先生だけの意見というわけではないようです。
『プロフェッショナルな人は感覚的です。』という話を聞いたときに、とても納得し腑に落ちました。
私自身は元々理屈っぽく何事も理路整然と説明する性分です。
ところが、経験を積んで後進に治療方法を教えるときになった頃、もやもやすることが多くなりました。
本当に伝えたいコツは、どうも説明できない。
言葉を重ねても本質を表していない。
何故このような曖昧な表現になってしまうのか。自己矛盾に陥ります。
また治療をしていても、「なぜ話していないのに痛いところが分かるのですか?」と患者さんに言われたことがあり、正直なところ「なんとなく」としか説明しようがない。
もっと言えば患者さんを前にして、直感で初めて行う方法を採用したら、効果が出た。
実践で使ったことのない方法であったり、その場で思いついた方法であったりしても。
とにかく理屈ではない勘、感覚的なものに動かされる体験がありました。
こんな適当ではダメだと思っていましたが、考えを改めるきっかとなりました。
もちろん、すべての治療が根拠の無いいきあたりばったりではいけませんが、直感のような、皮膚感覚のような、“曖昧な何か”を大事にするようになったのです。
そしてそのようなことが起きることがプロフェッショナルとしての段階に進んだのだと理解するようになったのです。
先生方からたくさんのことを学びましたが、これはとても大きな学びでした。
甲野 功
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