開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
按摩では揉捏、指圧では押圧操作が基本かつ重要な手技でした。
マッサージでは「軽擦(けいさつ)」がそれにあたります。
(ここでいうマッサージはもちろんあん摩マッサージ指圧師が用いるマッサージのことで、オイルマッサージと認識されているものです。)
軽擦とは読んで字の如く「軽く擦る動作」であります。按摩でも指圧でも軽擦がありますが、基本手技の一つという位置づけです。しかし、マッサージにおいては<軽擦に始まり警察に終わる>という原則があり、“軽擦こそすべて”と言えるくらい重要なものなのです。
マッサージは主に静脈やリンパに対してアプローチするため、按摩指圧よりも圧がソフトであり、ただ強くすれば身体を傷めてしまいますし、弱ければ利きません。軽擦が上手かどうかでマッサージの良しあしが決まってしまいます。
基本は手のひらや指を皮膚に密着させながら抹消から中枢(心臓)に向かって行います(求心性と言います)。皮膚に密着させた状態で手を滑らせるので体重移動、正確には重心移動がとても重要になってきます。指や手の繊細さに加えて下半身の安定が必要ですから最低限の筋力も必要になります。それが按摩や指圧よりも技術的に難しい点でしょう。
さらに同じ軽擦でも使う部位によって皮膚への感触が変わりますし、部位によって選択する必要があります。私の母校が出している『按摩・マッサージ・指圧 -実技編- 学校法人 呉竹学園編』には以下の種類の軽擦法が記載されています。内容は東洋療法学校協会編の教科書「あん摩マッサージ指圧理論」と若干表記が異なります。そこはご了承ください。
・手掌軽擦法・・・手のひら全体を使う。広い面で触るので当たりがマイルドに。
・母指球軽擦法・・親指の付け根を使う。手掌軽擦より圧が入る。
・小指球軽擦法・・小指の付け根を使う。母指球よりも小さいので細かい圧が入れられる。
※母指球軽擦と小指球軽擦は手掌軽擦の変法とされる。
・母指軽擦法・・・親指を使う。狭い範囲に圧をしっかり入れられる。
※単母指法と双(両)母指法がある。
・二指軽擦法・・・親指と人差し指で行う。手足の指など挟める場所に用いる。
※変法に環状軽擦法がある。
・四指軽擦法・・・親指を除いた四本指を使う。手掌軽擦よりも細かい圧を入れられる。
・指髁軽擦法・・・DIP関節と言われる場所を使う。手をげんこつのようにする。
・指端軽擦法・・指の先を使う。
が軽擦の種類として教科書に載っています。個人的に指端軽擦法はほぼ使わないので最後にまわしました。動きを静止画像で見せるのが無理がありますが、参考までに絵を載せておきましょう。
(※本ホームページで使用している臨床紹介画像は全てモデルを用いて撮影したものです。被験者の了承を得ております。)
また、臨床では場合により前腕(肘から先の部分)を使うこともあります。前腕を使うとより広い面で圧を入れることができます。
軽擦の作用としては
血液・リンパ液の循環が促進する
皮膚栄養が高まり抵抗力が強くなる
筋肉へは循環を促進し新陳代謝を盛んにして筋力を高める
腹部に行うことで便通を調える
などが教科書には記載されています。
マッサージは皮膚の上から直接するため、施術前後で皮膚の様子が見た目で分かります。お年寄りの足にあったシミが、マッサージによって薄くなった経験があり、”皮膚栄養が高まる”という表現が納得できました。お腹に行えば便秘によいというのも納得です。
「筋力を高める」という点には、ザブルドスキー実験や芹澤実験によって検証されたもので、皮膚温度や筋肉温度が高まった結果、筋力が増す作用があったとしています。マッサージをすれば筋肉もりもりになるというように勘違いされそうですが、しないよりした方がずっと筋力を発揮できるという意味合いだと私は理解しています。
これらはマッサージの軽擦による作用とされているので、他の手技を組み合わせれば多用な効果が期待できると言えるでしょう。
私自身が男ということもあり、マッサージを施術する機会は按摩指圧や鍼に比べると少ないです。
しかし素晴らしい効果があるため技術向上に努めています。
そして軽擦がその鍵となっています。
甲野 功
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