開院時間
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※このブログ内で使う「マッサージ」という言葉はあん摩マッサージ指圧師が用いるマッサージの意味で、皮膚の上から直接触れて行う手技、のことを指しています。
マッサージにはマッサージにしかない手法があります。それば強擦(きょうさつ)法です。別名を(按捏法)と言います。
教科書から解説文を抜き出すと
『
強擦法は、揉捏法と軽擦法との混合手技で、炎症などによる病的滲出物を押し、もみ、こねて細かく砕き、九州を促し、また、結合識の硬結を解き、癒着した組織をひきはがし、関節の動きを良くする、従って、主に関節や骨間部に応用する手技である
』
とあります。(東洋療法学校協会編 あん摩マッサージ指圧理論 医道の日本社 より)
字にすると何の事だかわかりませんが、押す、揉む、流すを複合的に行う手技となります。
圧を入れながら中心に向けて回転させていき、更に外に流していく。主に関節部分や骨間部に使うことが多く、静脈やリンパをアプローチすることが基本のマッサージにおいても異質なものだと私は感じています。
教科書には2つの強擦法が示されています。
・うずまき状強擦法(渦状按捏法):親指か中指の指先を皮膚に当て力を加えて、輪状に早く回しながら、周囲から次第に中心に向かってうずまき状に揉んだ後、そこを指で軽擦する。
・らせん状強擦法(屋瓦状按捏法):親指または中指で輪状に動かしながら揉み、指で警察をする。
説明は少し簡素に分かりやすく表現を変えています。だとしても文章では何をしているのか釈然としないことでしょう。単純な表現にすると、押す→(円状に)揉む→流すという動作を連続して行うという感じです。複合的に行うと書きましたが、正確には連続的に、という表現でしょうか。
強擦の作用について、教科書の表記をそのまま載せましょう。
『
病的滲出物を細かく砕き、周囲に散らし、吸収させ癒着した組織を剝がし、動きの悪い組織の可動域を良くする。皮膚瘢痕などの硬化を柔らかくし可動性を回復させる。また炎症による腱と腱鞘の、腱鞘と骨との癒着を剝がすなどの効果がある。
』
また専門用語ばかりで分かりづらいですね。固まってしまった関節の可動域を上げる、硬くなった皮膚を柔らかくするなどの作用があるということです。病的という言葉があるように疾患や外傷、あるいは手術痕などに使うことができて機能回復に使われることが多いです。
医療現場でマッサージを行う場合には有効な技術です。慰安や美容にしかマッサージを使わないと思っているのは視野が狭いです。
なお強擦法は、私にとって大きな技術革新でした。
それまで押すと揉むを分けて考えていましたが、強擦を知ったことで押しながら細かく輪状に揉む動作を加えることで圧に貫通力が増し、また皮膚の下を探る能力がつきました。これにより按摩や指圧を含めた徒手療法の精度が飛躍的に上がったと思います。加えて、皮膚上から身体の内部を触知する感覚が鋭くなったため、鍼をするときに刺すときに方向や深さを明確に考えられるようになりました。鍼施術にも良い影響が起きました。
強擦法はマッサージ独特の技術です。しかし按摩や指圧、鍼灸にも応用できるもの。
ひどい捻挫のあと、手術後といった場面で用いてきました。機能回復の場面に力を発揮する印象です。忘れてはいけない技術です。
甲野 功
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