～ＬＴ～

ＬＴという資格を御存知でしょうか。

ＬＴとはＬｙｍｐｈｅｄｅｍａ　Ｔｈｅｒａｐｉｓｔの略でリンパ浮腫療法士を指します。ＬＴは近年できた、リンパ浮腫の診療に従事する必要な専門知識・技術水準をもった資格なのです。理学療法士をＰＴ、作業療法士をＯＴ、言語聴覚士をＳＴと略しますがその系統といえるでしょう。

リンパ浮腫治療学会認定リンパ浮腫療法士ホームページ

こちらのホームページから抜粋します。

『

リンパ浮腫療法士（ＬＴ）とは

リンパ浮腫療法士 (Lymphedema Therapist : LT) とは、医療従事者として、リンパ浮腫の複合的治療を中心にリンパ浮腫の診療に従事するに必要な、専門知識・技術水準をもった専門家です。

』

その発足は割と最近のことです。２０１２年にリンパ浮腫に対する診療の医療水準を向上・担保することを目的としてリンパ浮腫療法士認定機構を設立しました。２０１６年に日本リンパ浮腫治療学会が設立されました。これを受けて資格の名称も「リンパ浮腫治療学会認定リンパ浮腫療法士」となりました。

リンパ浮腫はガン治療後に起きることがあります。日常生活面でも美容面でも不利を生じることがある症状。このリンパ浮腫に特化した資格で、国家資格ではなく認定資格です。医師、看護師、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師のいずれかを持ち実務業務経験者が研修、臨床経験、実務経験を満たしたうえで筆記試験に合格しないと認定されません。

私はＬＴの資格を持っていませんが、教員養成科の授業でＬＴの技術を学ぶ機会に恵まれました。

徒手によるマッサージとバンテージによる技術。これらはマッサージ師の徒手療法と柔道整復師の包帯技術を融合させたものだと感じました。またマッサージ師は滑剤を用いてマッサージをしますが、ＬＴは滑剤を用いず手掌のみで非常に繊細な手技でマッサージを行います。それは、それまで知っていたマッサージの仕方とは異なり驚きました。この経験は技術向上にとても役立ちました。

そして過去の経験を思い出しました。鍼灸整骨院勤務時代に、リンパ浮腫の患者さんに出会ったことがあるのです。その方は乳癌の治療後にリンパ浮腫を発症し、健側よりも２倍くらい腕が膨れていました。オイルを使ったマッサージをしましたが、更に痛くしてしまい、当時の私では対処できなかったのです。あのときＬＴのことや技術を知っていれば、と悔やまれます。

開業の道を選んだためＬＴの資格を取ることはしていませんが、素晴らしい、そして新しい分野だと思います。日が浅くまだ一般的に知られていませんが、このような資格と技術を有する者がいることを知ってもらいたいです。リンパ浮腫に悩む患者さんに光明となるのではないでしょうか。

甲野　功

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