開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
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mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
ぎっくり腰になった経験がある人は多いと思います。私自身も子供が生まれて、独立してからぎっくり腰を2度経験しました。それまで一度もなかったので焦りました。ぎっくり腰の人を何人もみてきたし対応してきたので、どこか他人事で自分はならないと思っていたのでした。そんなぎっくり腰になったときに有効なツボ、経穴を紹介したいと思います。特に一人のときに、ぎっくり腰を起こしたときに使えると思います。
ぎっくり腰、それは突然腰の痛みに襲われ激痛で動けなくなり息もしづらくなります。こうなると患部である腰そのものは、あまり触らない方がいいです。触らないというのは強く押したり揉んだりしないという意味。筋肉の緊張が強くなっていて、刺激が逆効果になります。 私がぎっくり腰の患者さんに対応するときも、腰を揉むようなことはしません。主に足、ふくらはぎから下を押したり揉んだりして、遠隔(痛いところから離れた部分)で腰部の緊張を緩めて、患部の腰に鍼を刺します。ひとりでぎっくり腰になって鍼もなければ鍼師でもないという方は、痛みがひどくならない態勢で少し静かにしておきます。冷静になって状況を把握できてきたら、手と足にある経穴を押してみましょう。
●腰痛点
別名を腰腿点(ようたいてん)といい、私は腰腿点の方が馴染みがあります。名前の通り、腰痛の特効穴効とされます。手の甲で人差し指と中指に繋がる各々の骨をたどって交わる、又の部分。同じく薬指と小指の骨の又の部分。片手2か所、左右4か所です。爪を立ててギュッとつねるように力を込めたまましばらくそのままにします。最初は手の甲に爪を立てられている痛みですが、きちんと経穴に当たっているとじわじわと腰に響く感覚が得られます。30秒くらい経過すると出てくるでしょうか。その状態で少しずつ腰を動かしていきます。ひとりで行うと1か所ずつになりますので、4か所全て押してみてください。
私の臨床の話です。大学ダンス部の合宿に行った際に、野外で花火をしていた後輩がぎっくり腰をして動けなくなりました。夜の野外で道具は何もありませんし、寝かせるわけにもいきません。そのとき、この腰痛点を片手ずつ刺激して、少しずつ腰を動かしてもらいました。割とすぐに効果が出て、宿に自力で歩いて帰ってもらいました。そのあと宿で本格的に治療しました。
●太衝(たいしょう)
腰痛点がじわじわと痛みが響いてくる感覚とすれば、こちらは即座に痛みが出るツボです。足の甲にあり、親指と人差し指に繋がる骨をたどった又の部分。腰痛点と似た場所です。ここは肝経の原穴という重要な経穴で、色々な効果があります。刺激すると刺激前よりも立位体前屈ができるようになることが知られており、鍼灸師では経絡の存在を説明するのに使います。(大雑把に説明すると、足先から頭のてっぺんまで肝経の経絡という気の流れがあるとされていて、原穴であるここを刺激すると気の流れが良くなり、結果、体が柔らかくなるということです。)腰痛点と同様に爪を立ててやや足首方面に刺激をしてみましょう。かなり痛みがあると思いますが心を鬼にして押します。
私の場合、臨床では、自分の中指を横に寝かせて経穴に当てて、もう一方の手で中指を押さえることで刺激する方法をよく使います。患者さんは大概、痛みで声をあげたり、足が動いたりします。動かれても手を離せばいいので鍼で刺激するより安全なので腰痛では指を使うことが多いです。別の症状ではお灸も鍼も使います。
上記2つ以外にも、余裕があれば膝裏を親指で押したり揉んだりする、ふくらはぎを緩めるというのも有効です。
※参考までに紹介した経穴の解説を記載しておきます。
●太衝:LR3 足厥陰肝経 原穴 兪土穴 部位→足背、第1、第2中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部
●腰痛点:奇穴 部位→手背、第2・第3および第4・第5中手骨底間の陥凹部の2点に取る
(『新版 経絡経穴概論』 教科書執筆小委員会著、医道の日本社出版より)
甲野 功
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