開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
2011年1月末に約4年間勤めた鍼灸整骨院を退職し、きたる柔道整復師国家試験に臨む準備をしました。退職した後のことは未定で、国家試験が終わったら就職活動をしようと考えていました。いろいろ思うところがあり、柔道整復師として医療機関で働いておきたいという気持ちが芽生えていたので、整形外科のある病院やクリニックに行きたかったのです。
2011年の3月に第一週の日曜日、柔道整復師国家試験を受験しました。そして1週間もしないうちに東日本大震災が起きました。しばらくは混乱した生活を送り、就職活動もままなりませんでした。先行きが不安なまま、4月に入り新年度が始まります。すると就職サイトを見ていると、新宿区内に新しいクリニックが開業し、柔道整復師を募集していました。家からも近く、日曜日が休みの希望条件を満たしたものでした。すぐに連絡を取り、面接をした上でそのクリニックに就職することが決まりました。クリニックは人工透析がメインでしたが、整形外科の先生もいて、リハビリテーション室のスタッフとして採用されました。業務内容は物理療法器具(電気、レーザー、マイクロ波、牽引器)の取り扱い、患者へのマッサージや運動療法、大きな外傷には包帯固定など。以前の整骨院とほぼ内容は変わりません。オープンしたばかりで患者さんは少ないこともあり、仕事を覚えることは苦になりませんでした。
希望通り医療機関に入ることで得られた経験、それは画像所見、医師との連携、でした。画像診断とはレントゲン(X線)やCT、MRI、エコーなどによる診断なのですが、柔道整復師は扱うことを原則禁止されています(※エコーは状況による)。医療機関にいないとこれらの画像所見をみることは難しいのです。このクリニックは人がいなければ自由にレントゲン画像を見て良かったので、毎日レントゲン画像を見ました。それまで外側から触って予測していた骨格を2次元の画像で確認できる。これは大きかったです。
以前の整骨院では現像したフィルムで見るだけでしたが、クリニックではパソコン上で任意の場所を拡大したり、白黒反転したり、骨同士の距離を計測できたりします。上腕骨外科頚骨折をして転位したまま保存療法で治したお年寄りのレントゲンは驚きました。外から触る分には筋肉と脂肪に覆われてさほど異常を感じることがなかったからです。骨密度が低くなっている様子、自覚のないまま圧迫骨折をした腰椎、加齢による骨棘形成、など骨異常を生のデータで拝見することができました。また筋や靭帯といった軟部組織においても、筋腱移行部に沈着したカルシウム成分、腹腔に溜まったガス、肥大した子宮筋腫なども単純レントゲンからも読み取ることを知りました。身近な場所に医師がいることも大きな経験でした。
採用をした整形外科の先生からは手首、肘、膝、足首の包帯固定を10回ずつ、計40回、毎日行うように言われました。教科書では包帯を転がすように言われるが、臨床では少しきつくしないとすぐに取れてしまうと指導されました。そこで綿包帯で空いた時間包帯固定の練習をするようにしました。シーネやプライトンという固定用具も実践で使う機会に恵まれました。整骨院ではなかなかする機会のないものです。
他にもレントゲンの見方を習ったときに画像に頼ってはいけない、必ず患者の声を聴くようにと言われました。簡単な静脈瘤の手術に立ち会わせてくれたり、別の整形外科に1日研修に行かせてくれたりしました。
順調な柔道整復師ルーキー生活でした。しかし、クリニックの抱えた問題が発覚することと、長女が生まれたことですぐに大きな決断に迫れることになり、1年で退職することになりました。娘が生まれるときは休ませてくれましたし、夕方定時に帰宅できることは子育てする上で本当に助かりました。短い期間でしたが柔道整復師として医療機関で働いた経験はとても大きいものだったのです。
※~経歴 東洋医学の心残り~ へ続く
甲野 功
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