開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
あじさい鍼灸マッサージ治療院では、当院に通われている常連患者さんにコメントをお願いして、「患者様の声」としてホームページで公開しています。
ホワイトボードに直筆で率直なコメントを書いて貰った上で、後日メールで再度コメント頂きます。
私の目の前で面と向かってホワイトボードに書くと、皆さん無難なことを書きます。もちろん、私が書く内容を支持しているわけではありません(笑)。
患者さんに帰宅してから、メールを送り、まとまった文章を送ってくださいとお願いしたところ、ある女性の患者さんからのメール内容がこうでした。
薄紙をはがすように鍼が効く
原文そのままです。これ以外何も書いてありませんでした。最初メールを見たときに謎かけかと思ってしまいました。
治療を受けた患者さんの率直な意見なので、敢えて内容について何も質問せずに、ホームページで公開しています。
患者さんにとってはこのような感覚があるようですね。少し表現が違いますが、似たような感覚が術者である私の方にもあります。
筋肉がとても張っている、凝りが強い、筋緊張が強い、硬結がある、いろいろな表現がありますが、固い肩、背中や腰の患者さん。押しても指が跳ね返される感触。これは固いですねとつい口に出てしまう。
そんな肩や背中、腰を押したり、揉んだり、擦ったり、していきます。手足の方にもしていきます。そうすると段々と筋緊張が解けてくるのです。
一枚の大きな岩の様な筋肉が徐々に緩んで触ると指が少し入るようになってきます。指の感触は奥にある芯のような固さの塊、いわゆる硬結を捉えるようになります。ああ、これが本当の固さの原因かなと内心思うのです。
この過程、術者である私の感覚としては段々と筋肉を緩めていく、城攻めに例えるならば外堀、内堀を攻略して本丸を丸裸にするようなイメージ、そんな感じです。このコメントをくれた女性患者さんの表現と似ている気がします。
ある程度ほぐれてくると奥にあるポイントが定まるので、どう鍼を刺すか考えます。直接狙うのか、周りから刺激するのか、など。
硬結が大きくて強いままだと経験上鍼が痛くてより緊張してしまいます。
この患者さんの腰は特にそうです。身体が疲れて腰がパンパンに張っているときは、一番固いところから少し離して斜めに刺すようにしています。そうすることで表面の柔らかいところから鍼が入り、奥に進んで固いところに当たると思うからです。こういった鍼の仕方も「薄紙をはがすような」感覚なのかもしれません。
自分の治療は自分で受けることができません。これは我々治療に携わる者のジレンマです。手足にできたとしても、強引に腰や肩に鍼をさせたとしても、完全に脱力した状態ではないので本当の感覚は分かりません。
患者さんの感想、身体の変化、行動、態度、などから類推していくしかありません。だからこそ治療に完璧はなく絶対なものはない。日々研鑽を積まなければならないのでしょう。
甲野 功
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