開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
以前、元同級生(女性)に子供が生まれ、その子に小児鍼をしてもらいたいということで、治療院に来てもらったことがありました。事前のメールのやりとりで、
「場所は2階で、階段しかないので(エレベーターがないので)ベビーカーで来るなら運ぶので、建物の前に着いたら電話してくね」
と送ったところ、
「さすがね」
と返ってきました。そういうところに気付くなんてさすがね、という意味でしょう。男のくせに、が隠れているのかもしれませんが。恥ずかしながら、自分に子供ができるまでベビーカーを使っている人にとって、階段はとても困るということを認識していませんでした。
独身のまだ20代の頃、新宿三丁目を一人で歩いていたときのことです。アジア系の女性に片言の日本語で「オニイサン、テツダッテ」と声を掛けられました。その方はベビーカーに子供を乗せており、地下鉄に降りるのに階段しかないので、一緒にベビーカーを降ろすのを手伝ってくれということでした。そのときは知らない外国人に面食らってしまい、内心嫌々ながら一緒に子供を乗せたベビーカーを降ろしました。 数年経って自分がその立場になると本当に悪かったと思います。率先して手伝うべきでしたと反省します。実際大変ですから。
最近のベビーカーはサイズが大きくて安定しているものが多いです。その分幅を取りますし、軽くありません。電車内でベビーカーを畳む、畳まないの問題があるように、関係ない人にはとても邪魔に映るかもしれません。ところが実情は、歩けない子供一人を運ぶだけではなく、沢山の付属品がついて回ります。親の荷物にはもちろん、子供の荷物が加わります。オムツ、お手拭き、飲み物、タオル、エプロン、お菓子、など結構かさばる荷物が必需品。更に買い物をしたりすれば手荷物はいっぱいになるので、ベビーカーに収納して運びます。必ず両手を空けておかないと危ないですし。
そうなると男でも子供に荷物を載せたベビーカーを一人で持ち上げて階段を上り下りするのは困難。階段を使わないように、遠回りになろうが時間がかかろうがエレベーターを探します。その立場になってバリアフリーの意味を実感し、古い地下鉄や鉄道ほどエレベーターが無いことに気付き、これは車いすや足腰が弱った高齢者は大変なのだと識るわけです。もしも子供がいなかったら、治療院に来る同級生に、階段のところはベビーカーを運びますよなんて言えなかったと思います。いやそもそも小児鍼なんてしようと思わなかったかもしれません。
子育ての大変な時期は過ぎてしまえばあっという間。子育て経験者でも記憶から消えていってしまいます。しかし、現在進行形で子育てしている人には周囲の想像以上に辛く苦しいことがあります。私自身、子供が二人まだ小さいので辛いことがしょっちゅうです。子育て世代に優しい治療院であることを肝に銘じて患者さんのベビーカーを運びます。
甲野 功
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