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現在行われているリオデジャネイロオリンピックの中継を観ていると、職業がら、選手のテーピングに目がとまります。
卓球女子個人のメダルが期待された石川佳純選手が、試合中に足がつってしまい、テーピングをしてもらおうとメディカルタイムアウトを求めたが審判に受け入れらなかった、という記事が出ていました。この試合で石川選手は敗退します。
もしもテーピングが認められていたらどうなったでしょう。何事も「if(もしも)」は言わない約束ですが、結果は変わっていたかもしれません。
他の卓球選手は腕にテーピングをして出場していましたし、卓球以外の種目でも選手がテーピングをしている姿を目にします。
スポーツ選手にとってテーピングはなくてはならないものであり、スポーツトレーナーの分野でも使えることが必須と言えましょう。柔道整復師の教科書では昔ながらの絆創膏固定という言葉が出てきますが、時代が進むにつれてテーピングは進化しています。
テーピングは大きく分けて、伸縮性が無い固定力が強いホワイトテープと、筋肉と同じくらいの伸縮性のキネシオテープに分けられます。(他にも主に皮膚を守る目的で巻くアンダーラップもあります。)
今回はキネシオテープについての話です。
キネシオテープは伸び縮みするテープで皮膚に直接貼ります。
先に挙げたホワイトテープや従来の包帯が固定に重きをおく使用方法であるのに対し、キネシオテープは筋肉の走行に沿って張ることが多く、筋肉の動作を補助する役割が大きく固定性は低いと言えます。
包帯やホワイトテープは外傷を負った際に関節が動かないように、もしくは動きを制限するために用いられることが多い。キネシオテープは肉離れ筋疲労など筋機能に対して用いられることが多い。一般的にこう言えるでしょう。
症状や使用目的によって使い分けますが、スポーツの現場ではがっちり固定しすぎると競技に支障がでますから、競技をする場合はキネシオテープを選択する例が多いと思われます。サッカーやラグビーのように激しいコンタクト(相手もしくは味方との体同士の接触)がある種目では固定力が強いホワイトテープを使用する場合もありますが。
現在はカラフルなキネシオテープが開発され、チームカラーに合わせたり、個人のパフォーマンスが発揮しやすい色を選択したり、テープの走行が分かりやすくなるように色を敢えて変えたり、と新しい使い方が生まれています。
そういった背景もありますが、キネシオテープを使ったテーピング技術、キネシオテーピングは、よりセンスが必要と言われています。
それは単純にがっちり固定するわけではなく、選手のコンディションと競技特性に合わせて貼っていかなければいけないからです。どこからどこまで貼るのか、幅はどうすのか、色は、可動域を取るのか固定力を取るのか、などなど。私の経験では、競技実践で貼るケースのほとんどが競技ダンスでありますが、見た目が大切な種目のため、外目から見える場所には貼らない(貼れない)という制限があります。もちろん水の中では剥がれてしまうので競泳にも向かないでしょう。
スポーツの現場以外にもキネシオテープは使えます。
うちの治療院では最低限のキネシオテープを用意しており、必要な症例に出くわしたら、無料オプションとして使っています。多いのはギックリ腰、足底筋膜炎、腱鞘炎、外反母指といったところです。軽い足首の捻挫にも使用します。
更に意外なところで、切り傷に効果があります。
包丁などの鋭利な切り傷でかつ浅いものは、皮膚の断面同士を接触させることが回復の手助けになるので、キネシオテープを貼って断面が密着するようにさせます。先日も4歳の娘が手のひらを切ってしまったので、キネシオテープを貼ってあげたところ、すぐに痛みが消えて治りました。
また、ゲートコントロール説で効果が説明される、貼ることそのものによる鎮痛効果もあります(ゲートコントロール説については別の機会に説明します)。これらのことを知っていると何かと便利です。
キネシオテープは我々の業界では一つのイノベーションと言える大きな躍進。これからも新しい手法、方法、種類が出てくるかもしれません。
甲野 功
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