開院時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休み:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~一人でする理由~

鎌倉長谷寺の紫陽花。

今更ながらですが、あじさい鍼灸マッサージ治療院院長は私一人で運営しております


掃除・洗濯・清掃といった雑務から、治療・施術という直接利益が発生する業務、それに広報・営業活動に経営判断、経理やカルテ作成といった事務仕事まで全て一人で行います。

 

これまで業者に依頼したり外注したりしたことは内装工事、看板作成と取り付け、確定申告を会計士にお願いする、リーフレット原案とホームページ原案を依頼したこと、それくらいです。
日々の必要な治療備品を通販で購入していますが、それ以外の消耗品は全て買いに出かけていきますし、毎日の会計処理は当然ながら自分で行います。

自営業で個人事業主ならば珍しいことではありませんが、うちのシステムは完全に一人で行うようにできています。施設の規模も業務スタイルも。誰かを雇うことは今後も想定していないシステムです。
治療院業界に限らず、知り合いの個人事業主さんは、ゆくゆくはスタッフを雇っていく、もしくは、既に雇い始めた、という例があります。

 

私は、基本的に一人で完結するスタイルを続ける予定です。


そのため、時に患者さんにご迷惑をかける場合があります。一人で全業務を行う関係で、複数の患者さんを一度に対応することが人的にも設備的にもできません。ときに、お断りする場合が出てきてしまいます。
また、女性術者を希望する場合や、私と二人きりになることに抵抗がある場合では、治療以前に成り立ちません。
そういった問題がありますが、治療院を一人で経営するやり方を続けています。

 

一人でする理由は幾つかあります。

 

まずはランニングコストの削減。これは多くの一人治療院の先生がそうだと思いますが、一番かかる経費は人件費なので、それを抑えたいという考えがあります。
初期投資にまとまった額がかかるより、毎月出ていくランニングコストの方が経営を続けていくには重要な課題です。はっきり言って、誰も雇わず私だけだからこそ、出張専門時代を含めて丸4年以上継続できているのです。

 

では十分な患者さんが来院されたら、誰かを雇うのか?という話ですが、それもしないつもりです。


人を育てることは、自らが売れっ子治療家になるより難しいと考えるからです。
鍼灸整骨院時代に現場責任者となりスタッフを監督する立場にいました。そのとき感じた事は、人の育成はとてもとても困難である、ということ。患者さんをみながら、スタッフもみることに大きなストレスがありました。私自身が発展途上でもっと腕を磨かなけばいけない立場であるにもかかわらず(当時は専門学校生)、人を指導、監督するのは厳しいものでした。
患者さんへの意識が散漫になってしまいますし、私ができることが何故できないのか、という中間管理職にありがちなジレンマに陥りました。
今現在でも、人を雇って戦力になるまで育てる自信はありません。

 

そして、複数人で治療院を回すとなると、治療院のシステムを変えなければなりません。個人差が大きすぎると問題になるからです。
整骨院時代に痛感しましたが、患者さんに良かれと思って自らの引き出しから職場で知られていない技術を出したとき、患者さんはそのとき満足してくれても、できるスタッフが限られることで、その後不満が生じることになります。前の先生はこうしてくれたのに、あなたはできないの?となるのです。


事前に期待した状態から、蓋を開けてみたらできませんとなると印象がより悪くなります。うちの治療院では現在、コースだけでも10種類あり、全てを網羅できるようになるには相当な時間がかかるでしょう。ホームページを見て受けたいと思ったことが、問い合わせたらできませんという状況は避けたいのです。

 

他にも、人を雇うと意思決定に時間がかかるということがあります。
日本人の組織はなかなか決断ができず、会議のための会議を繰り返し、誰の意見もそれなりに尊重した妥協策に決まることが多いです。それでいて決まったことをいかに守らないようにするか知恵を働かせるところがあります。学生、会社員時代から今まで多くの場面で感じてきました。もちろん、全ての組織がそうとは言いませんが。
一人でするならば、私が決断したことが全てで、あとはやるかやらないかのことでしかありません。
実際には意思決定は早いが行動に移すまで時間がかかることが多いのです。一人しかいませんから時間は有限です。それでも、意思決定の早さは大切だと考えています。

 

最後に、これが一番の理由になりますが、臨床は1対1であるからです。
医療現場であれば、医師、看護師、薬剤師、など複数の医療チームで1人の患者さんに臨むことがあります。しかし、治療院レベルの臨床では患者さん対私の1対1が基本です。
鍼灸整骨院時代には、柔道整復師のスタッフから鍼を依頼されること、こちらからマッサージを別のスタッフに依頼すること、などがありました。その経験を経て、やはり最初から最後まで責任をもって患者さんをみることに、私はこだわりたいのです。

 

医療現場のインシデント講習会で講師の大学教授が話していました。関わるスタッフが多くなるほど心理的にチェックが甘くなりインシデントやアクシデントが多くなる、他の誰かも見てくれるからそこまで集中しなくても平気だろうと気が緩むのです、と。
私一人しかいないという環境が、状況が、一回一回の臨床を高めてくれると考えています。

 

失敗したときは誰のせいにもできない。だから成長できる。そういう状況を求めて一人で行っています。

 

甲野 功