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~後輩との4年間~

先日大学の後輩の結婚披露宴2次会に出席してきました。


新郎が東京理科大学舞踏研究部の後輩で、学年としては7つ下。全く現役時代が被っていませんが、OBと学生という関係で付き合いがありました。

彼は学生時代から優秀な選手で、数々の学生競技会で華々しい成績を残し、理科大卒業後はプロの道を選び活躍しています。
プロダンサーの結婚とあって会場には多くのプロ選手が集まり、また幅広い世代の理科大OBが集まっていました。


新郎の後輩が競技ダンスを大学で始めた頃から知っていて、今や専門全国誌に記事が載るまでに有名になり、そして結婚。感慨深いものがありました。

 

そして彼が大学時代にいた4年間がとても私自身のキャリアに大きい影響を与えた4年間だったと思い返したものです。

今回披露宴を行った後輩が東京理科大学に入学した頃、私は整体の専門学校にまだ籍を置いたまま単発の講座を受講しながら、リラクゼーション店で働いているときでした。バイトをしながら秋の鍼灸マッサージ専門学校入試の準備も進めていて、生物や国語、文学史といった大学まで触れていない分野の勉強もしていた時期。

 

整体の学校で初歩の解剖学、生理学、運動学などを学び、実践でお客さんの身体を揉んで報酬を受ける。実際に人の体に触れながら授業や座学では学べないものを学んでいた頃。と同時に体力がまだまだあったので、得た知識を競技ダンスにどう活かせるか自ら試行錯誤する毎日でした。


この当時(2003年)の理科大舞踏研究部は翌年に東部Ⅰ部校昇格する成長著しい時代で、数多くの強豪選手が生まれてきていました。私は後輩へ、ダンスの技術指導から身体のメカニズムを解析してダンスパフォーマンスを向上させる方法を模索へと、考え方が変わっていました。


教科書で筋肉、関節、神経といった肉体の構造を知り、
人の身体を触って競技選手の身体がどのようなものか、
トップ選手はどのような動きや体つきをしているのか、
研究しました。


結婚した後輩の一つ上の代がとてもつもなく優秀な世代で、1年次の毎大会で決勝に残ってくれたので、学生トップレベルの動きや筋肉の質を知る生の経験が積めました。そして1つ上の世代で得たノウハウを使いながら、教えたりマッサージをしたりしていき、ダンスの状態と出した成績を比較しつつ、独自の理論体系を作っていきました。

 

後輩が2年生に上がる年に、私は鍼灸マッサージ専門学校に入学しました。そこから国家資格取得のための勉強としてより深い知識を学ぶことになります。
全身の筋肉、神経、作用、付着部位を覚えることで新しいものが見えてきました。新しく見つけた方法を随時自ら試しながら、後輩にも行い結果を検証する。競技会本番で通用するのか当日試す。こういったことを繰り返しました。
現在4スタンス理論で有名な廣戸聡一先生は格闘技団体のレフリーと指導を行いながら、選手を壊すまで練習や試合で追い込んでは自ら治療しながら自己の理論を構築したと知り、同じように試していました。

 

また、この当時にちょっとした古武道のブームで、たまたま名字が同じ甲野義紀氏の書籍を読みあさり、独学で古武道の動きを競技ダンスに活かせないか検証していました。同じスタンダード専攻の後輩の動きは古武道の動きで説明できることが多く、すなわち学生レベルならば上位に導けるツールになると確信したものでした。

 

東京医療専門学校本科で鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師のための勉強をした3年間と、後輩が大学2年から4年生までの時期が一致し、この時期に今も使っている競技ダンサーのための技術と理論がほぼできました。
入部当初のステップ講習会から冬の全日本まで4年間、勉強・技術習得・発見・試行・検証を繰り返しました。彼の卒業とともに私も鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師資格を取ることで、競技ダンス中心から治療方面に重心が変わっていきます。

 

現役の後輩で、入部当初からずっと見て、卒部まで見終えた最後の世代が彼でした。彼がプロ選手という次のステージに進んだのと同じように、私は鍼灸師として経験を積み、それまで無かった鍼技術を磨いていくのです。更に柔道整復師免許を取得する過程で外傷と肉体への深い知識を入れ、教員養成科では高度な臨床技術と知識を加えていきました。

 

10年前のあの頃、競技会に出るわけでもないのに基礎練習を散々して、後輩に教えて、大会を見に行って現場でマッサージして。そういった経験があるから、こうして今、開業してやっていける。日々の生活で忘れがちだったことを、昨日の披露宴2次会に出席することで思い出しました。

 

甲野 功