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先日、学生競技ダンスの年内最後の大会が終了しました。これで最上級生である4年生は学生競技ダンスを完全に引退したことになります。
ダンスを始める入り口が競技ダンスという特殊な世界である学生達には、社交ダンス=競技ダンスであり、競技会の無いダンスというのは想像がつかないものでしょう。
10月末に行われた母校、東京理科大舞踏研究部50周年記念パーティーでは、同世代のプロダンサーがデモンストレーションを行いました。
私が大学4年生時のときの、同級生、2年生、1年生にあたる選手がいました。同じ時期に同じ大学の部活で競技ダンスをしていた仲間が、卒部後プロ選手として活躍し、現役生の前で踊りを披露する。そのことが誇らしく思えたものでした。
パーティー終了後に、後輩にあたるプロ選手のOGと話す機会がありました。彼女は私にこう感想を述べました。
「(私と同世代にあたるデモンストレーターの)先生方は引退に向けて脂がのって最後の輝きが出ていますよね。」
プロ選手は互いに「先生」と呼び合うのが慣例ですので、「先輩」とは言いませんでした。同じプロ選手の言い回しを感じます。
彼女の口から出た引退の二文字は軽い衝撃でした。
みんなまだまだ競技を続けるのだろう。引退など、もっと先の話ではないか。
そう思いつつも、少しして考えを改めたのと、勘違いをしていることに気付きました。
私自身は選手として三流でした。学生卒業後も1年足らず競技を続けましたが、24歳くらいのときに引退届を出して早々に競技会が身を引きます。才能が無かったですし、麻疹により入院生活を送ったことと、勤めていた会社を辞めてこの治療の道に入ることを決めたこともあり、競技会で成績を出すことに未練がありませんでした。
私に対してデモンストレーションを行ったみんなは、全員学生時代に日本一をかけて争った名選手ばかり。もともと才能がある人間が更に切磋琢磨してダンスを追求していった者達。
私とは別次元のレベルだと思っていました。勝手に。
私自身は年齢とともにどんどん体が動かなくなることを実感していましたが、プロは日々鍛えているのだから、当然私なんかとは違うだろう。そんな風に考えていたのです。
それでいて、プロのみんなとは同じ時代に部活で頑張った戦友のような気持ちを持っていて、私自身が成長するのと一緒でみんなも伸びていくものだ、とも考えていました。
治療家としての私は、今後経験を積んで、知識も技術も深めていくことでしょう。体力的に徒手療法(マッサージや指圧)が厳しくなっても、鍼灸は上達する一方で、全盛期はもしかしたら70歳くらいではないか、そんな風に思っていました。
だからプロになったみんなも、ずっと上に向かっていくものだと。この先何年も競技に挑んでチャンピオンを目指すに違いない。
それがあるOGの口から出た引退で我に返った気がします。
私と同世代ということは当然、同じくらいの年齢。プロダンサーとしてやり続けるのことと競技選手として続けることは、体力気力の面で違うはず。入り口が競技ダンスだった学連あがりの私には、競技のないダンス生活がピンときていませんでした。それが、同じプロ選手であるOGから見れば、みんなの競技引退が見えているのでしょう。
驚きと一抹の寂しさがありました。もう、そう何年も、競技を続けるわけではないかもしれない。もしかしたら、近いうちに競技会引退を決断するのかも。
そのように考えたうえで、改めて思い返したこと。それは競技ダンサーの治療、ケアをしたくてこの職業を選んだということ。
同世代の選手の競技引退が見えているのならば、自分自身はきちんと満足に競技ダンサーの治療ができるようになっているのか?もしも治療やケアの依頼をされたのならば、選手として全力で競技に臨める身体にしてあげられるだろうか?
自問自答です。
答えは、もしそうなったならばやらなければならない、やってみせる、でした。
同世代の選手にあとどれくらい競技人生が残っているか分かりませんが、何か手助けできるようになっておきたい。
甲野 功
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