開院時間
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近所に「ゆったりーの」という保育施設があります。そこで廃棄するのでご自由にお持ちください、という本が並んでいました。そこで気になるものを何冊か持ち帰りました。
その中の一つが「主夫の花道」。
読み始めてすぐに、んん?と思いました。
作者は当時30歳男性で、脱サラをして鍼灸師になるべく専門学校に通うことを決めたところから始まります。そこに子供ができたことが判明し、奥さんが働き、作者は日中の間は主夫として過ごし、夕方から夜間の専門学校に通う生活を選択しました。
脱サラして鍼灸師。
この状況は私にかなり似ていて驚きました。作者の山下俊樹さんを調べたら東京医療教員養成科の先輩にあたる方だと分かり、また驚きました。
この本では男性が主夫として育児、家事をすることの困難さをマンガで伝えています。作中で主夫をしていたのは20世紀末あたりのことで、書籍の発行が2005年。
情報が古すぎて参考にならないこともありました。だからこそ、廃棄対象の本になったのでしょう。
それでも読んでみて分かったことは、今以上に男性が育児と家事をするのは大変な時代だったのだということ。することが大変なのではなく、していることがマイノリティーであるという意味です。
顕著な例は、作品中に出てくるテレビ番組企画のエピソード。あるバラエティー番組内で、お父さんが子供を公園デビューさせる姿を、シビアなテーマ後のオチとして使うというくだり。三十路の脱サラ男が公園デビューで四苦八苦する姿を笑ってもらうという趣旨で、作者がテレビ番組に出たというものです。
初めての公園で周囲のママさんに娘の名前を10人覚えるまで話しかける。それを隠し撮りする。
今だったら一体何が面白いのか分かりません。当時は「大の大人が男なのに日中から子供を公園に連れてくる恥かしい姿」といて笑っていられたのでしょう。今なら問題になっていると思います。
かつて男女雇用機会均等法が制定され、女性の社会進出がありました。今では学校を卒業したら就職しない選択はかなり減ったと思います。企業に勤めないまでも起業したり、自己実現のために行動したりと、すぐに結婚となることは珍しいでしょう。少なくとも都心部では。
それに応じて男性が家事や育児を率先して行う、いわば家庭進出がどんどん増えているように思います。統計でみると2010年頃から出産をしても母親が仕事を続けるケースが増えたそうです。
共働き世帯となれば、それまで当たり前であった父は働き母は家を守るといったスタイルが苦しくなってきます。母親も収入を得る正業に就き、かつ育児も家事も担うとなれば、すぐに限界が来ます。
ある娘二人を育てたシングルファザーのタレントが、バラエティー番組で当時の家事育児を大手家事代行サービスにお願いしたら、いくらになるか計算しました。結果は一日3万円を超えました。1ヵ月で90万かかる計算です。ケースバイケースでしょうが家事育児を金銭に換算すれば相当な金額になることでしょう。
父親が相当な高収入でない限り、家庭を顧みず仕事に専念するというのは時代に合わないでしょう。そもそも父親だけの収入でやっていけなくなったからこその共働きスタイルです。
かつての女性が社会進出を果たし、家事育児に加えて働くことが当たり前になりつつある昨今。男性も家庭進出を進め、働きながらも家事育児ができるようにならないと時代に取り残させるように思います。
たまたま手に取った「主夫の花道」。内容が時代遅れになっていてある意味良かったです。
甲野 功
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