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~この仕事のやりがい 術者として~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 施術中の様子
施術中の様子

 

 

最近、仕事をしていてとても良かったことがありました。また、今月から全5回の商人大学校というセミナーに参加しています。鍼灸マッサージ師という臨床家としての立場と、自営業としての経営者の立場の2つが私の仕事にはあります。そのどちらにも嬉しいこと、やりがいを感じることがありました。普段は2つの立場が混ざって考えていますが、やりがいを感じる点は違っているなと気付きました。学会や技術セミナー、または専門学校の同窓会に行けば自然と臨床家としての気持ちに傾きます。それが、商人大学という主に中小企業の経営者が集まるセミナーに行くと、頭が経営者に切り替わります。各々のやりがいを見つめなおすと新しい見方が生まれました。

 

臨床家としてのやりがい。幾つかありますが、まずは患者さんやお客さんが喜んでくれること。これが第一でしょう。民間資格のリラクゼーションからキャリアを始めた私は、身体が軽くなった寝てしまったよまたお願いねといったリラクゼーション業に対する言葉が嬉しいですし、国家資格を取ってからの、痛みが取れた治ったこれだけ身体が動くようになったといった治療に関する言葉に感動します。サービス業に携わる方ならば、お客さんのお褒めの言葉や感謝は無条件に嬉しいことでしょう。私の場合はそれに加えて、自らの治療行為が上手くはまり、患者さんに効果を実感してもらったときに気持ちは特別です。お金に代えられないやりがい、というものを感じます。

私の仕事は基本的に患者さんと一対一。誰の手も借りません。雇われていたときは受付さんや他のスタッフに手伝ってもらうことがありましたが、担当患者さんへの施術行為は原則自分自身しかしません。一人で向きあるからこそ、責任重大ですし、能力を駆使して挑むことができます。上手くいったときは、誰のおかげでもなく自分のおかげ。上手くいかなかったときは、誰のせいでもなく自分のせい。こういう状況がやりがいに繋がっています。脱臼や骨折の整復作業は複数で行いますが、外傷をメインとした柔道整復師よりも、鍼灸マッサージの方が向いていると私は思っています。

 

もう一つ大きなやりがいは、成果をはっきりと価格(数字)に表せることです。リラクゼーション時代ならば60分6,000円が基本で、自身の施術でどれだけお客さんが支払ったか明確に分かります。立地、内装、周辺のサービス(お茶が出る、着替えがある、など)も価格に入ってはいますが、競合他社はいくらでも周辺にありましたから、結局は自分自身の腕がほとんどの価格を占めるはずでした。特に指名を頂いたときは。自分がどれだけ売り上げに貢献したのかがはっきり分かる、おこれはやりがいになります。

私は一般企業で働いた経験がありますが、企業に勤める多くの人は自分がどれだけ売り上げたか正確に判断するのは難しいことでしょう会計や人事の業務は直接製品を売っているわけではありませんから、どれくらい成果があるか分かりづらいです。測定するには、時間軸で比較するくらいしかできないのではないでしょうか。以前より業務効率が上がったから、仕事がはかどり結果として利益に結び付いた、といった感じに。あるいはその人が辞めて(異動して)業務に支障が出たため、あの人はこれだけの価値を生み出していたのだな、と分かるなど。多くの勤め人は毎月安定した給料が振り込まれますが、その金額に対して、どれくらいを自らが生み出しているのか分かりづらいわけです。営業担当で売り上げが分かる人もいますが、完全に単独で動くことは稀で、製造部門との折り合い、営業アシスタントの手助け、流通部門の力、など複数の要因の上で受注(契約)が成立していることでしょう。企業に属していて、自分一人で10億の契約を取ってきた!と自慢するのはちょっとずれているかと思います。

 

その点、私の仕事は、ダイレクトに(敢えて言いますが)消費者に届き、料金がはっきりしている業態です。もしも1日で1万円を売り上げたならば、そのうちのかなりの高い割合で術者の貢献になります。もちろん店舗に伝統や信頼があり、看板で来てくれている場合は別ですが、術者が悪ければ当然お客の足が遠のくので長い目で見れば変わらないと思います。従業員であったときでも、自分の売上に一喜一憂していました。給料制でも、その給料の額に対してどれだけ自分が生み出して利益なのか意識していました。今のように独立して一人でしていると、もっともっと感じます。誰の力でもなく、甲野功という個人で生み出した売上。情けなくなることも多々ありますが、誇らしくなることもあります

 

患者さんが私の技術など(立地や設備も多少考慮されますが)で喜んでくれて、そしてお金を払ってくれる。それこそが臨床家としてのやりがいです。安定した給料を貰っていたサラリーマン時代には決してなかったやりがいです。

 

甲野 功

 

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