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話題の本を、行きつけの本屋ブックファースト新宿店で購入することができました。
西野亮廣作「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」です。
普段から少なくない数のビジネス書籍を購入して読んでいますが、久しぶりに凄い本に出会いました。
著者の西野氏は芸人コンビ、キングコングの一人。かなり名の知れた芸人さんです。大ブレイクしでテレビ番組に多数出演していた時期にバラエティー番組を見ていなかったのでよく知りませんでしたが、好感度が低い、敵が多い、嫌われ者、というイメージでした。最近ではアメトーークとゴッドタンでしか見ない人だけど、色々意識の高いことをしているらしい、くらいの認識。経済ニュースで4年半かけて制作した絵本をネット上で全編無料公開に踏み切ったことを知り、ここ彼の興味が少し湧いてきました。
先日、ネットニュースに、この「革命のファンファーレ」のある章が全部載っており、買う価値がありそうだと判断して購入しました。
読んでみて、これは凄いと感心しました。
既存のビジネス書籍とは違う、マーケティング理論を一切書いていない(コトラーもドラッガーもポーターも、および各種理論も出てこない)、実際に自ら動いた行動とその思惑と結果を書いたものでした。頭の思考がホリエモン(堀江貴文氏)に近いタイプで現代の動きをよく捉えていると思いました。
この本の内容に触れると色々書けるのですが、今回はこの本の内容よりも鍼灸業界との関わりについて書いていきます。
「革命のファンファーレ」を購入したことである情報にたどり着きました。
<西野亮廣氏「革命のファンファーレ」を鍼灸学校の学生に無料配布したい!>
というクラウドファンディングです。
これは関東鍼灸専門学校の教員が鍼灸専門学校生に「革命のファンファーレ」を無償で配布したいと考え、不特定多数の人からお金を集めたというものです。目標金額は119,000円に対して137,989円(26名が出資)が集まり、学生にきちんと配布したとのこと。
このようなことがあったとは知りませんでした。
専門学校の教員としては随分思い切った行動でしょう。
私も一応鍼灸専門学校の教員免許を持っています。同じ立場であったらやろうとしてもできないでしょうし、ましてや勤めている学校の名前を出すことは控えると思います。
顔も学校名も晒して不特定多数の人間からこれからの鍼灸界に羽ばたく学生に向けて行動しました。この行動に胸を打たれて本に触れるより、このクラウドファンディングを紹介することにしました。
なお、行動した内原拓宗先生とは全く面識がありません。先生は学校組織にいて、学生に経営の事を教える機会がないことも、教えるだけの「信用」もないことも正直に書いています。これらの内容は、はっきり言えば鍼灸専門学校が面倒をみる内容ではありません。
厚生労働省が課した技術、知識を習得させ、国家試験に合格させることが本分ですから。これは教員養成科でも習いましたし、学校教員をしている同期もそう話しています。
臨床経験を積むこと、経営を学ぶこと、この2つは本来卒業後のライセンスを取った鍼灸師個人がやることです。ですが、規制緩和されてから鍼灸専門学校は増加の一途をたどり、大量の鍼灸師が生まれています。地域によっては供給過剰であり、食っていくためには厳しい状況です。
資格を取れば一生安泰という時代ではありません。
内原先生は学生のうちから経営の考えを持たなければ卒業後学生たちが食っていけないという不安があったのでしょう。それを解消するにはどうするのか、考えた結果行動に出た。
私は開業鍼灸師の立場から、この行動は素晴らしいと思います。私も含めて鍼灸師を目指そうとする人間は経営と向き合うのが下手な人が多いと感じています。
一生どこかに所属して勤めあげるというのも結構難しい業界です。
例え雇用される立場でも、キャリアを積めば自然と院長を任されることになっていくでしょうし、そのときに鍼灸技術以外のスキル(経営や人材育成など)を求められるようになります。かつての私も管理職になってぶつかった大きな壁がこれでした。学生のうちから鍼灸一辺倒ではなく、別の視点を持つことは重要だと思います。特に高校からそのまま専門学生になった人には。
現在進行形で開業している私と学生とでは本を読んだときの受け取り方が異なるでしょう。もしからしたら若い学生には、これに書いてあることなど当たり前でしょ、と感じるかもしれません。それでも少なからず何かモノのを見方が大きく変わる学生が存在するのではないでしょうか。
このような行動を起こす先生がいたことに、時代が変わってきたと痛感しました。気が付けば鍼灸師になって10年。決して若いとも言えない年とキャリアになってきました。鍼灸界に新しい流れができている、その一つの現れだと考えます。
甲野 功
追記:のちに内原先生と共に、お互いの母校に当たる東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科に「革命のファンファーレ」を携えて特別授業に行くことになりました。そのときのことはこちらをご覧ください。
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