開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
今まで培ってきて競技ダンサーに対する治療・予防・留意点などを教える機会に恵まれています。メジャースポーツではない社交ダンス・競技ダンス(ダンススポーツ)では参考文献や書籍がほぼ無きに等しいです。大掛かりな調査や実験研究に出会ったことがありません。この競技ダンサー対してサポートする分野は世間的に未知の世界であり、自ら試行錯誤を繰り返して技術と知識を蓄積するしかありませんでした。大学に入学して学生競技ダンスと出会ってから20年。これまでの成果を下の世代に伝えるようにしています。他人に教える行為はとても自分自身にいい意味で跳ね返ってきます。もう当たり前のことになってしまった基礎の動き、「あいうえお」のように自然と出てくる用語、常識と勘違いしそうな知識を素人に改めて説明していく。頭の中を整理して言語化する。段階を追って知識・技術を小出しにしていく。そうすることで自らの復習と私自身がどのようにこの道を歩んできたか振り返ることができます。
そして思わぬひらめきが降りてくることも。先日、教えているときに頭の中に突然言葉になって湧いてきた言葉。
<積極的治療と間接的治療>
競技ダンスは外傷がとても少ないスポーツです。特有のスポーツ障害(例えば野球肩、テニス肘)もほぼありません。せいぜいパートナーの外反母指ぐらいでしょうか。稀に起きる捻挫や膝痛、腰痛などにおける鑑別・処置法などを教えてきました。一方、どのように体を使えばダンスが上手く踊れるか、どのように肉体にアプローチすれば効果があるのかも教えています。そして怪我を予防するためにどこに気をつけるのかも教えています。治療とパフォーマンスアップと予防。3つのことをごちゃ混ぜに教えていました。それには私自身で自覚していたのですが、教えるときになるおとどうしても色々話してしまうのでした。
そろそろ今していることを整理してもらった方が良いと判断して、説明しようとしたときに出た言葉が
<積極的治療と間接的治療>
でした。
積極的治療とは捻挫、打撲、ギックリ腰など目に見えて分かりやすい怪我をしたときに行う処置です。早い話、外傷(もしくは怪我)をしたらどうするのか、ということ。具体的にはRICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)が基本とし、テーピング、アイスマッサージ、など。医療機関に搬送することもここに入りますし、そうなったときに大学や親御さんに連絡する手順、救急車の呼び方なども含めています。私の場合、これに鍼治療などが加わります。
これに対して間接的治療はウィークポイントを把握してそこを改善することで負担を減らし間接的に症状を緩和させること。例えば柔軟性が足りないから腰が痛くなると判明すれば柔軟性を上げるようにストレッチをする。ある特定の筋力が足りないことが痛みの原因ならばその部分の筋力強化を図る。踊り方が悪いことが原因ならば出ているなら踊り方を変える指示を出す。こういったことです。これは怪我の予防に繋がるもの。社交ダンスの分野では間接的治療の方が使う頻度が高いと考えています。
来院される選手をみてみると、積極的治療をする選手は少ないです。痛みが強い場合には鍼やテーピングを活用しています。多くは間接的治療の範疇で、そこまで痛くないけれど、日常生活に問題は無いのですが踊ると違和感が、というレベルのもの。また疲労が溜まってダンスに支障があるという人や自覚症状は全くないが上手くなるきっかけにするために来る(ときにこちらが呼ぶ)場合もありました。
<積極的治療と間接的治療>
突然口にした言葉ですが、今まで自分の中で何となく感じていた矛盾を解消できるものでした。うちは「治療院」を名乗っているので治療行為を行う場所です。痛みがないのに、自覚している問題がないのに、施す手技は治療とは言えないのでは?という矛盾。それが間接的治療と口にしてみるとアプローチする場所が違うだけで本質は同じなのだと自ら納得しました。何年もやってきたことなのに今更気付くのも奇妙ですが。よそからしたら大したことがないことですが、私としても大きな発見でした。
誰かに教える機会が新しい気付きを生みました。何事も引きうけてみるものですね。考えが整理されてこれからの活動にいい影響を与えそうです。
甲野 功
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