開院時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休み:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~近所の整体院が変わっていく 業界の裏事情~

仕事柄、生活圏内の競合他社をチェックするようにしています。他の鍼灸院、治療院、整骨院などです。
リラクゼーションのマッサージ店、リフレクソロジー、タイ古式マッサージ、ときに美容院やネイルサロンも対象になります。新しいお店ができたら外観や看板を確認し、場合によってはホームページで検索をします。開業した以上、こういったことは至極当たり前のことだと考えます。

 

さて、あるなかなか立地の良い場所に新しい「整体院」ができました。もう数年前の話です。仮に「○○整体院」としましょう。店舗名を伏せていますが実在します(しました)。


この○○整体院が色々変化していきます。その有様から業界の裏事情が透けてみえてきます。なお、すべて実際にある店舗に対して大いに私の予想が混じっている内容です。
業界外の人には特に興味がないことかもしれませんが、騙されないように注意喚起を含めて書いていきます。

 

 

数年前のあるときに立地条件の良い場所に○○整体院がオープンしました。
少し前に通りを挟んだ1階のリラクゼーションマッサージ店が撤退したのですが、こちらは店舗も広く大きな資本が投入されているようです。周囲には都心部ではどこでもそうでしょうが、整骨院、鍼灸鍼、カイロプラクティック、などの競合が既にあります。私のあじさい鍼灸マッサージ治療院も競合圏内になるでしょう。

○○整体院の看板を見て、私が目を疑ったことが「交通事故対応しています」「自賠責保険取扱」といった趣旨の文字があったこと。整体院で?

 

このとき私が心の中で呟いたことは
あこぎなことするな。。。
でした。

 

まず自賠責保険取扱や交通事故対応というのは、交通事故に遭われた被害者が整形外科や接骨院・整骨院で治療を受けたときの費用を自賠責保険で賄うことができる、ということ。これは医療機関(つまりクリニックや病院)を除けば「整骨院」か「接骨院」でしか認められていません。「整体院」では認められていないのです。
というのは自賠責保険取扱ができるのは柔道整復師がいる必要があります。柔道整復師が開業する際には名称を「接骨院」か「整骨院」にすることが通例です。そうすることで患者さんがここは外傷の扱いができると理解するからです。

 

それなのに○○整体院という名称で自賠責保険取扱とは

 

おそらく、保健所には整骨院で登録し屋号を○○整体院にしているのだと思うのです。新宿区の保健所は名称を整体院で認めるとは思えません。私自身あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業するときに屋号にはチェックが入りましたから。

もしくは保健所は、業態が「整骨院」でありながら屋号を「整体院」で、認めたかどうか。

 

何が狙いかとかというと、整骨院だとお年寄りが多数通う場所であり、競合がたくさんある。若い人にきてもらい支払い単価を上げたいから整骨院にした。しかし交通事故の自賠責はとてもお金が取れるから捨てがたい。なのでどちらも取れるようにしたのではないか、ということ。

 

業界内では、自賠責は生活保護と並んで保険請求でお金をたくさん取れるジャンルです。健康保険と違い実費であり、保険点数が決まっていません。払う方は交通事故を起こした加害者側ですから負い目がある分、治療費を請求しやすいわけです。
このような事情があるので整体院の名前にして、実際は整骨院にしているというのはとてもズルいやり方です。

 

それと柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師には開業権が与えられ、整骨院・鍼灸院・マッサージ院などを開業することができます。この際に保健所の審査が入るのですが、届出制といって実際に開業してから保健所の担当者がチェックに現場に来ます。医療機関は許可制といって開業する前から審査が必要です。


臨検といって保健所担当者が現場で設備要件が適切か見に来るのですが、このとき看板はまだ完成していないため仮のものですと簡易的なもの(例えば張り紙)にしておいて、臨検が終わったあとに本格的なものを取り付けるということがあります。そうなると整骨院で登録して屋号を整体院にして(臨検後に看板を変えてしまう)も保健所はチェックできない。このようなことをしたのではないか?と私は考えました。


ちなみに整体院ですと保健所の検査は要らず勝手にオープンさせてしまっても問題ありません。保健所の指導は入りません。一般の方には整骨院も整体院も違いが判らないかもしれませんが、行政区分がはっきり違います。整骨院などの国家資格者が開業する際には各自治体の保健所の管轄に入ります

 

 

このようなあこぎなことをするのはオーナーが医療従事者ではないように予想しました。もしもオーナーが柔道整復師ならばきっと整骨院の名称にこだわるように思うのです。私も柔道整復師ですから、整体院にするのはプライドが邪魔するのでは(※この文章を書いた当時はそう考えていましたが、後に柔道整復師がどんどん整体師を名乗り整体院の名前で開業することを目にするようになりました。よって現在ではプライドが邪魔するのではという私の考え方は古いようです)。別業種のオーナーが儲かると聞いて整骨院ビジネスを始めたのではないか?そう思いました。

 

この疑いはあながち間違っていないことがのちのち判明してきます。

 

○○整体院はしばらくすると、突然屋号を△△整骨院に変わりました。看板が据えかえていました。この出来事からまた私は考えました。


自賠責保険請求する際に保険会社の検査が入ったのでは?と。

 

自動車事故の保険会社は事故被害者のために保険を販売し運営します。しかし詐欺行為が横行しやすいので審査はかなり厳しいはずです。おそらく事故被害者が○○整体院で自賠責を使って治療をしたときに、保険請求する整骨院の名前と患者さんが書類に書いた屋号が違うことをチェックしたのではないか、そう考えました。もしくは誰かが保健所に通告し保健所の指導が入ったのか。


どちらにせよ△△整骨院に突然看板を変えるということは緊急事態だったのでしょう。領収証やホームページなど変更するものがたくさんありますから。

 

ここで自賠責保険詐欺が整骨院の不正請求によって行われていることもお伝えします。
事故被害者と整骨院が結託し、してもいない治療費を請求したり、必要ない治療を上乗せして過剰請求したりして、整骨院と被害者で儲けを出すというやり方です。以前うちからもほど近い早稲田の整骨院がこれをして逮捕される事件がありました。治療費がかかればかかるほど被害者は裁判で補償金を高額狙えるというわけです。
このような不正があるため保険会社もチェックが厳しくなっています。

 

これまでの予想は私の憶測の範囲内でしたが、実際の現場を見ると更にすごいことになっていることを知りました。

 

 

△△整骨院では手のオイルマッサージを行っているとのこと。手のオイルマッサージをしているところは珍しいですから一度偵察がてら入ってみようと思い行ってみました。単純に手の疲れもありましたし。


ちょうど仕事で週一回栃木県に通っている時期であり、夕方にスーツ姿で△△整骨院に入りました。見た目はサラリーマンにしか見えません。入ると若い男性スタッフが受付にいて、保険証を出してください、と言ってきました。私は嫌です、ケガでは無いので実費でお願いしますと応えました男性スタッフはちょっと嫌そうな顔をしました

 

保険証から様々な情報を得ることができます。種類と番号からその人が経営者かどうかも分かります。会社員か自営業かも分かってしまいます。そして番号を控えれば保険を不正請求することもできます。素性を知らせたくないことと不正請求防止のため保険証提示を断りました。こちらは警戒しています。

 

手のオイルマッサージ15分をお願いします、とスタッフに言うと、今はできません、という意外な答え。オイルマッサージができるスタッフが帰ってしまったのでこの時間ができません、というのです。チラシに書いてあることができないと言われたのはちょっと気分が悪くなりました。
目の前の男性スタッフは整体ならできますからどうですか、と提案してきました。まあそれなら偵察目的で受けてみようかと気持ちを切り替えて中に入りました。中はかなりの広さでベッドも何床も設置していました。ただそこにいるスタッフが一人だけ。


そこから聞いてもいないのに男性スタッフの話が始まりました。

 

「僕はもともと静岡の整体院にいたのですよ。突然オーナーに東京で院長をしてみないかと誘われて最近こちらに引っ越してきました。オーナーのマンションに暮らしていて毎朝ミーティングしています。急に来たのでまだまだ右も左もわからないのですよ。」

 

何か身の上相談のような話でした。それを聞いて色々と分かりました。

 

おそらくビジネスとして整体院を経営しているオーナーが新宿区にも出店しようと考え、誰かに整骨院にして自賠責保険も使うといいと入れ知恵されたのでは。予想よりもうまく行かなくて人手が足りなくなり、業界の事をよくわかっていない民間資格の男性を言いくるめて連れてきた。院長にする、という名誉を与えておいて人手が足りない時の人員にあてる。


そもそも整骨院に柔道整復師がいないなど、医者のいない病院と一緒で、開院して患者さんを入れてはいけないでしょう。そこら辺のことも全く分かっていないな、と話をしていて感じました。更には住むところを用意していると言えば聞こえがいいですが、荷物を残して逃げられないようにしていると言えます。
この男性スタッフも大変だなと心の中で思いました。

 

整体院など国家資格が要らないリラクゼーション業は技術者でなくとも経営に参画しやすいため、副業にする人が一定数います。私も整体師からキャリアがスタートしていますから、本業とは全く関係ないオーナーが整体院をしている例を幾つか見てきました。大体現場と意見が合わなくなって揉めるのですが。この△△整骨院も同じようで、現場がうまくいっていないようだと足を踏み入れて感じました。

ここは長くはないだろうなと思いながら△△整骨院をあとにしました。

 

それから数か月。△△整骨院は突然××整骨院に変わっていました。以前とは経営が違うようで、××整骨院は県外の整骨院グループのようです。

 

このとき私が思ったことは、居抜き物件で幕引きをしたか、でした。

 

整骨院を畳むときに設備を全て処分し、内装を原状回復させるのはとてもお金がかかります。経営がうまく行かなくなったであろう△△整骨院はなるべくお金をかけないようにするために、同業他社に設備を引き継いでもらおうとしたのでしょう。次を受け継ぐ整骨院も設備をほとんど使うことができるため初期投資が少なくて済みます。

 

 

気づけば○○整体院→△△整骨院→××整骨院とわずか数年で変わっていきました。
その様を外から、ちょっとだけ中に入って、見てきましたが業界の裏事情が透けてみえるものでした。

 

一般利用者には関係ないことですが、柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の国家資格専門学校に通う生徒さんや民間資格の整体師の皆さんにとって少し有益な情報になれば幸いです。

 

なお××整骨院はつい最近××鍼灸院にまた看板が変わりました。なぜ変わったのか推測しますが書くのがいい加減面倒なので終わりにします。

 

甲野 功

 

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