開院時間
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「将来やりたいことが見つからない」
若者のこういった言葉を聞くと「最近の若い奴は、、、」と嘆く大人が多いのではないでしょうか。キングコング西野氏は若い人ほど尊敬するし、基本的に自分よりも優秀だと考えるようにしていると言います。西野氏は学生の頃から芸人になることを夢見ていたので「将来やりたいことが見つかない」という心境になったことがありません。しかし、今ある職業が無くなる時代に生きていればその気持ちは仕方ない、と理解しているそうです。今の大人が子供の頃に、職業が凄いスピードで無くなっていく経験をしていませんでした。今の若い人は違います。この仕事が近い将来消えてなくなるという実感があります。だから将来像が見えてこないのは当然であると西野氏は考えています。
数年前に話題となった、AIによって今後無くなるであろう職業一覧が研究発表されました。
人工知能AIが発達し社会に応用されることで、今ある職業の多くが必要なくなる存在しなくなると言います。つまり職業が無くなる時代になるわけです。AIの存在以前から機械の発達により無くなった仕事は多数あります。私が子供の頃は駅の改札には駅員がいて切符を切っていました。今では自動改札機になっていて有人改札はほとんど見られません。携帯電話の普及で公衆電話は街から姿を消しました。Amazonの躍進により町の本屋は消える一方です。今後特定の職業やお店、施設が消えていくスピードが加速していくと予測されています。
「日本の未来年表」というムック本では、最初にAIによって消える仕事が長距離ドライバーだと予測しています。自動車の自動運転は日々研究が進み、実用化が見えてきています。最終的には運転免許が要らなくなる時代が来ると予想されますが、前段階として高速道路をトラックが自動運転で移動することが現実化すると考えられています。私の子ども世代の半分は現在に存在しない職業に就くだとか、就職という形態が無くなるだとか、大きな社会変化が予測されています。子供たちに私たちの常識や経験が通用しない時代が来るとなると、どのようなことを子供に教えていけばよいのか考えてしまいます。
私の仕事はAIにとって代わられない職業だと言われています。鍼灸師やマッサージ師は人工知能で代用できないと(今のところ)考えられています。診断はかなりの部分がAIによって代用され、一部の医師が不要になるという予測がされているのとは対照的です。その理由としてこのような予測があります。AIはその名の通り人工知能であり、体がありません。実際に人に触れる職業では感覚が学習できない・再現できないため、人間の技術に敵わないと考えられます。また物理的刺激以外に対人間の触れ合い、意思の疎通といった、感情が伴うことが重要であるためAIに真似できないとも言えます。病気が治るように薬を投与するだけならば機械で良いですし、ディープラーニングで膨大な論文を読み込んで学習するAIの方が人間の診断より上になることは間違いありません。
ただ肩や腰を押せばよいのならば、すでにマッサージチェアは存在していますし、鍼灸マッサージ師が必要なくなっているはずです。高性能のマッサージ機械ではできないことを人間がしているわけです。
そして重要なことは、東洋医学の曖昧さもAIには真似できないことです。鍼灸師が行う脈診や取穴(ツボを決めること)は結構曖昧で人によってまちまちです。ある研究で足三里という経穴(ツボ)を複数の熟練鍼灸師に取穴してもらったら500円玉大くらいの範囲で差が出たと言います。そもそも教科書には「この経穴はここです」と書いてありますが、実際には日によって人によって場所が変わります。私も学生時代に「教科書には住所までしか書いていない。番地までは君たちが探さないといけない。」と取穴について習ったものです。
脈診についても講師によって脈の判断が違います。ある企業が脈を再現する装置を作ろうとしましたが完成しませんでした。経験上、万人が間違いなくこの脈だ!と納得するような分かりやすい脈にはほとんど出会えません。
東洋医学は絶対的な答えが乏しいのでAIが学習するのは難しいでしょう。
東洋医学を数値化一般化することは長年の鍼灸業界の課題ですが、まだまだ完成にはほど遠いです。数値よりも術者の勘の方が臨床で力になることが多いからでしょう。私の仕事はまだしばらく機械に代用されない気がしています。今後画期的な発明により状況が変わるかもしれませんが視点を変えて生き残れるようにしようと準備しています。
世の中が加速して変化しています。独立して前よりも物事を広い視野で捉えるようになり、より実感しています。子供が社会に出る頃にはどうなっているだろう。親としてどのようなことを教えていったら良いのだろうか。私自身の仕事は消えてなくなる職業ではないのか。社会に必要になくなったものは必ず消えていきます。生業が無くなるかもしれない時代になるため、対応できる準備をしておかなければならない。
私自身のためにも子供のためにも、世の中の動向をよく見ておく必要があります。
甲野 功
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