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自己啓発本やセミナーにおてよくありがちなキャッチコピーに「夢は必ず実現します」、「願いは絶対に叶います」、「想いは現実のものに」といったものがあります。
私の個人的な意見ですが、“絶対に”とか“確実に”という表現をしているものは信じられません。これは色々な状況を想定することを諦めたいわば思考停止状態だと思います。人の興味をひくための広告としてはいいのかもしれませんが、現実を見据えていないと考えます。
経済分野の話になりますが、50階のビルの屋上から地面に向けて飛び降りるという状況はリスクゼロとします。これは、ほぼ間違いなく死亡する未来しかないわけです。経済におけるリスクとは及ぼす結果の変化度合いを指します。一度飛び降りた人間を落下途中で助けることはほぼ不可能。確実に起きる未来に対するリスクはゼロと考えるのです(49階のベランダに着地する、パラシュートがある、命綱がある、などの状況はもちろん考えない)。
当たるかもしれないから人はキャンブルをします。絶対に当たるならばギャンブルになりません。経済的なリスクの大きさがリターンを大きくするのです。
広告で確実、絶対としている時点で経済的な価値が無いのです。絶対に確実に誰でもできることは商売にならないのです。
では本当に夢はかなうのでしょうか。
「思考は現実化する」、「叶わない夢はない」、「努力は必ず報われる」と成功(本人がそう思っている場合も含めて)した人達はよく語ります。反対に、現実はそんなに甘くない、という意見も根強いわけです。どれだけ心底努力しても望んだ結果を得られるとは限りません。
本当に夢や願望は叶うものなのか。そのことについて考えてみます。
まず開かれた勝負の世界、スポーツで考えてみましょう。メジャーなフィギアスケートを例に取ります。
かつて、伊藤みどりさんはオリンピック金メダル確実と言われながらも銀メダルに終わりました。そして世界選手権をはじめ数多くのタイトルを奪取した浅田真央さんもオリンピックの金メダルには手が届きませんでした。二人は間違いなく天才であり、常人では考えられない努力をしたし金メダル獲得を願っていたはずです。しかし叶いませんでした。この二人の例ですと夢は叶っていません。
これがフィギアスケート全体でみる少し話は変わります。
伊藤みどりさんが金メダルを逃したことで協会は彼女一人に背負わせてしまったと反省します。「伊藤みどりが3人いればプレッシャーも3分の1になる」と考え、全国スカウトキャラバンをはり才能ある若い選手を探し育成を始めます。その一期生の一人が荒川静香さん。荒川静香さんは周知の通り見事日本人そしてアジア人初のオリンピック金メダリストに輝きます。この当時、年齢が24歳に達していた荒川静香さんよりも4回転ジャンプを成功させた安藤美姫さんの方に世間の注目が集まっていました。そのため荒川静香さんはメディアからのプレッシャーが比較的少ない状況で演技でき、結果を残しました。
日本フィギアスケート界全体でみれば伊藤みどりさんできなかった夢を荒川静香さんで叶えたと言えるでしょう。同郷の荒川静香さんの活躍を目の当たりにして練習に励んだのが日本人男子初のオリンピック金メダリストの羽生結弦選手です。少し前までは男子フィギアスケートで金メダルを獲ることは不可能と言われていましたが、年月をかけて達成しました。更に宇野昌磨選手も育っており、次の北京大会も期待できます。
このように個人ではできないことも、組織や競技全体という視点でみると達成できているといえるのかもしれません。そういった意味では時間をかけながら夢は叶えていると言えるかもしれません。同じことはサッカーでも言えますね。
「結果が出ない努力は努力ではない」、「結果が出るまで挑戦し続けるから必ず結果はでる」という理屈もあります。
こう考えれば確かに絶対に結果が出るのかもしれません。諦めない限り。しかしフィギアスケートを例に出した通り、数多くの名選手が現役生活に終わりを告げて次のステージへ向かっています。
望む対象が大きかったり時間的な制限があったりする夢は必ずしも叶うとは言えないでしょう。ただしその意思を継いだ次の世代では叶う可能性は十分あるようです。
スポーツの世界から離れて個人的な夢はどうでしょうか。
社長になりたい、お金持ちになりたい、自分の店を持ちたい。このような頑張れば手が届きそうな夢や願望は必ず叶うものでしょうか。
自己啓発セミナーはここら辺をターゲットにしているわけですね。色々な書籍を読んだ内容と私の実体験を踏まえてさらに考察してみます。
私自身の場合はどうか振り返ってみましょう。実は概ね願望は現実化していて夢は叶っていているのです。ですからあながち「夢は必ず叶う」という言葉を嘘くさく感じません。
ただし、とても重要なことはそれは本当に叶えたい夢なのか?ということ。心の底から願っている希望なのかと言い換えても良いでしょう。この所が肝です。
仮にお金持ちになりたい!という人がいたとします。では具体的に希望の年収はいくらですか?と聞かれて、すぐに答えられなかたっとしたらこれは本当の夢ではないわけです。本当に願うならば即座に具体的な数字が出るはずです。
これまで読んだ本で一番腑に落ちた話は、「潜在意識から願っているものでなければ実現しない」というもの。精神科学の分野になりますが、普段意識にのぼらない範囲の意識(潜在意識)から求めたものでないとダメだそうです。
ある実例で「お金持ちになって高級外車を乗り回したい」という夢を持つ人がいました。事業に成功してずっと欲しかった念願の自動車を購入するに至ったそうです。しかしその人は幸せととは言えなかった。高級車ですから路上の駐車場に置いておくわけにいかず、ガレージを用意しないといけません。燃費も良くないですからガソリン代もかかりますしメンテナンス、手入れなどで維持費もかさみます。盗まれたら、傷をつけられたら、どうしようといつも不安になりました。高級車を所有したことでマイナス面がとても増えたのでした。
その人は言われて気づきました。本当は「高級外車を乗り回したい」のであって「高級外車を所有したい」わけではないことに。心の底から(潜在意識から)願ったのは高級外車を乗り回している自分の姿でした。所有することではなかったのです。
このことに気づいてから、やっとの思いで購入した高級車を売却し、使いたときに自動車をレンタルすることにしたのです。そうすることで余計な心配は無くなり仕事にも身が入り休みには存分に好きな車を乗り回すことができて幸せになったいいます。
このエピソードはとても分かりやすかったです。本当の夢というのは案外本人が自覚できていないのかもしれません。
普段意識しているのは顕在意識と言われており、潜在意識と顕在意識が一致した願望が本当の夢になるそうです。
私もある時期、もっと収入が増えないかな、もっと患者さんが来ないかなと願い、現実とのギャップにイライラしていました。そのときに上に挙げた内容を読んで自身を顧みました。
本当に収入が増えたいのか?それは世間体を考えてのことでは?本当に欲しいのは将来に渡り家族を養う安心が欲しいのでは?そして子供や家族の事を蔑ろにしてまで収入を得たいわけではないだろう、と。
私は父母どちらもフルタイムの共働き家庭だったので、一家を養える収入分を各々稼いでいました。そのため家は裕福な方だった思いますが子供の頃に親と過ごす時間は少なかったと思います。それまで気づきませんでしたが、子どもが生まれると改めて思い返します。
そのため自分の子どもたちにはしっかり接したいというのが本音です。
子供の世話や家庭の事を疎かにしてまで収入を増やしたいというのは本心ではないようだと気づきました。まして収入そのものを増やしたいならば株や投資など財テクに精を出した方が良いでしょう。
好きな仕事をして家族にそれほど負担を掛けず収入をもっと増やしたい、というのが私の現時点の夢のようです。ですから現実はある意味で願った状態なのかもしれません。
夢は必ず叶う、とは言えません。必ず・絶対と言えることは現実にはほとんどありません。
まず本当に願っている夢なのかを見極めることが重要なのでしょう。心の底から、人生をかけてでも、潜在意識から、求める夢は高い確率で叶うようではある。それが今出した答えでした。
甲野 功
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