開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
※今回はいたって個人的な感想に終始したブログです。これとは別に今回のイベントを客観的な視点で振り返ります。
※画像はTwitterから引用しています。問題があれば削除します。
ひと月前、ある鍼灸専門学校生がTwitterで呟いた
鍼灸師の先生方の施術みてみたいなー 場所がないけど。。笑
このツイートから、場所を提供する開業鍼灸師、手伝いをする鍼灸師が多数声を挙げてあっという間に5月15日、大塚にある鍼灸治療院森空堂で鍼灸師の施術見学会を開催することが決まった。その流れを追っかけていて、場所を提供する鍼灸治療院森空堂の野村森太郎先生は同じ呉竹東京校(東京医療専門学校)の卒業生であったため面識があり、興味が出てきた。
しかしよりによって5月15日とは。この日はうち(あじさい鍼灸マッサージ治療院)の開院記念日であり、自身が出張専門で開業した記念日でもある。夕方からなので、その日はお祝いで夕食を少し豪華にしようかと漠然と考えていたので、ちょっと躊躇が。
続々と決まっていく内容を追いながら、顔を出したら人の技術を見ることできそう、という軽い気持ちもあり参加表明をしてしまう。
免許を持たれてる方だと、施術お願いするかも知れませんが、大丈夫でしょうか?
主催者からの問いに「ああいですよ」と軽く返信。
その後本当にやることになってしまう。
何をやれば良いか主催者に聞くと
これは効く!というというのが見たいですね
という返し。
これは大きなテーマを背負ってしまったのでは、と思う。
何でもいいと言われると困ってしまうし、他の先生は何を披露するかで、被らないようにした方がいいだろうし。
少し悩んだ挙句、頭に浮かんだのは
特になければよくある疾患に対する治療とかですかね。
という文面から「腰痛にしておくか」と浅はかな答え。腰痛、肩こりは一番多いのでポピュラーなものを選んでおこうと。少し色を出すために敢えて患部に鍼を刺さないで(刺鍼しないで)殿部、下肢(太ももやふくらはぎ)の刺鍼でやってみよう。片側だけにして差を見せるのでいいかな。1か月前でこのようなことを漠然と決めた。
そこから5月13日の自院主催イベントミャンマーチャリティカフェの準備に追われて、この件についてあまり考えることがなかった。間にアースデイ東京のモクサアフリカジャパンブースに出向いたり、メディカルアロマを紹介されたり、ゴールデンウイークで同期の結婚披露宴だったり、サマーランドに行ったり、と見学会のデモにはあまり考えないようにしていた。本番近くになってきて他に施術を見せる先生を聞いて、なるべく内容が違うようにしなければと改めて思っていた。直前になって名立たる鍼灸師が見にくる、ZOOM(アプリケーション)で全国にリアルタイム配信するという話になるにつれて、どんどん後悔が出てきた。
絶対今の自分より売れっ子鍼灸師が見るじゃないか。
学生相手ならごまかせるけれど同業者に見られるのはきついな。
そもそも自分の得意は按摩、指圧、マッサージといった徒手療法だし。
手元を映されたらあんまり鍼をしていないのがばれる。
何でも屋が売りだからこれといった推しの流派も無いし。
どうしたものか。
毎年5月は4月に比べて業績が落ちるので弱気になっている時期。どんどん話が大きくなっていることに不安が募る。
そして前日の話の流れで何か出番が最後になりそうな雰囲気で、ますますプレッシャーに。
某鍼灸専門学校の大御所(教員養成科の先輩でもある)より後にするとかどういうこと?!
という愚痴。みっともないので外に出さないでいたが不安と後悔があふれ出てくる。
他の先生は美容鍼に鍉鍼(ていしん。刺さない鍼)ということらしいので、素直に毫鍼(ごうしん。身体に刺す鍼)で置鍼(刺してそのままにする)が被らなくて良さそう。
せっかくだから「ごしんじょう」というマイナーな鍉鍼を紹介して興味をそらせるか。
ごしんじょうを出すかはその場で決めて、無痛鍼管(鍼の機材の一種)で片手挿管(技術のひとつ)をしておくとしよう。
段々ニッチな方向に進めることに考えが固まる。何でも屋だからその場変えるのは得意。場の流れを読んで出していこうと肚をくくる。
自分をアピールする場だから治療院のユニフォームで行こうかな。むしろ浮きそうだな。変な私服着てZOOMで配信されるのも恥ずかしい。服はどうしたものか。先月のダンス情報ラジオ(ダンスウェーブ)収録時には、服装は映らないが治療院ユニフォームで行った。今回は反対に鍼灸の世界に社交ダンスの格好で行ったら目立つな。社交ダンス専門という独自性もアピールできるし。ということでダンスパンツにシャツベスト、ネクタイを締めて会場へ。ダンスアルバイトの服装を身にまとい電動自転車で会場へ。
誤算は全く社交ダンスの衣装とは気づいてもらえなかったこと。
良い誤算は見学に来ていた鍼灸学生にアルゼンチンタンゴをしている人がいたこと。こちらはコンチネンタルタンゴだがとても親近感がわいて、その学生さん自らデモの被験者になりますと言ってくれた。誰が受けるかその場でないと分からないよりは安心。
見学会が始まり、名古屋から来た先生がパルスを使った美容鍼のデモ。さらにカイロプラクティックもしていて、あれ?鍼以外もOKなのかと少し安心。次の先生も比較するかのように別の美容鍼のデモ。二人ともパルス通電をしているのでパルスしない方法を考えておいて良かった、と胸をなでおろす。鍼の本数も多いので、本数を打たないやり方を選択したのは良さそうだと顔に出さず安心。あんまり鍼を刺すと技術が無いことがばれるからという本音を隠しつつ。
3人目は昨年一緒に教員養成科で特別授業を行った先生。伝統的な治療方法を披露。一緒に仕事をした関係なので落ち着くことができた。この頃になると緊張はあまり無くて見ている学生さんに脈診や東洋医学の事を解説する余裕が出ていた。かなり本格的に鍼治療を行っているので、自分も好き勝手やっても良さそうだ、という気持ちになっていました。
そしていざ本番。予定通り殿部(殿圧)、大腿後面(殷門)、膝裏(委陽)、ふくらはぎ(外承筋)の4か所だけ刺鍼する。敢えて差を見せるために右にしか刺さない。鍼を打つデモが見たいと言うのに、更に腰痛をテーマにしておいて腰部に鍼を刺さないという省エネ施術。もちろんたくさん刺してボロが出ないようにする本音と他の先生と差別化するという建前。
それと前の先生よりも話を中心にして講義をするようなスタイルに。教員養成科で習った<授業をするための練習>が活きた、いややっと活かせた。個人的に臨床で気にしていること、学生さんに伝えたいこと、知っておくと役立つことを、全部ではないし予定通りではないにせよ、話す。置鍼なので刺した後はやる事が無いので興味を引くためだけに持ってきた奥の手「ごしんじょう」を紹介して間を取り持つ。そして鍼灸師となった以上、西洋医学では手が出せない部分で期待されることがありますよ、ということを話す。
やめればよいのに、ちょっと足してしまおうと按腹(あんぷく。腹部にする按摩の技法)まで入れてしまったのは失敗だった。お腹にアプローチするなら腹部に刺鍼するか胃経に鍼を刺すかしておけば良かったかなと。欲張ってちょい足しするから最後がグダグダになってしまった。
思い返すと事前のプレッシャーと引き受けてしまった後悔があったが、会場に行って色々な交流があり、新しい知識を得て、一つの夢だった治療のデモを人前で行うことが叶った、幸せなイベントでした。その後の懇親会まで含めて素晴らしい経験でした。
発案、実行した学生さん、会場準備など協力した先生方、業者の方々、に感謝します。
甲野 功
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