開院時間
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土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
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住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
少し前に来たアマチュア競技ダンサーの方がおっしゃっていました。
「先生に、一度整体に行ってごらん、それだけで(ダンスが)変わるから、と言われました。」
その方はホームページを見て競技ダンス、社交ダンスが分かる治療院があることを知り、うちを訪れました。サークルから社交ダンスを始めてもっと上達したいと個人レッスンを受けるようになり、コーチャーに言われたのが上に挙げた内容だったのです。
一般の方が言う「整体」というのは何を指すのか測りかねますが、身体のコンディションを良くすればダンスが上達するという意味であるのは間違いないでしょう。少なくとも、そのダンスのプロたるコーチャーにはそういった認識があるようです。
では身体を診るプロたる私からこの認識を考えてみましょう。
まず整体が具体的に何をするのかははっきりしませんが、身体に行う施術内容において技術的な細かい事を省いて、結果的に身体の左右・前後のバランスを整え余計な筋緊張を取り疲労を取り除いた状態にする、と仮定した場合で考えると確かにダンスパフォーマンスは大きく変わります。いや変わっていきます。
理由は意識の負担が減るからです。
意識の負担が減るとはどういうことでしょうか。
例えば練習時にコーチャーに<首が前に出ている>と指摘されたとします。選手は<首を前に出さないように>意識します。そこに僅かでも注意を費やすことになります。
その状態でダンスを踊ると、本来ダンスそのものに費やすはずの注意力が削がれてしまいます。ダンスをする際にはたくさんのことを意識し、注意しなければいけません。足型、ポイズ、リズム、相手との位置関係、表現、周りの状況確認、コーチャーに言われたことを守る、などなど。かなり頭を使っています。
このときに<首が前に出さないように>という意識は無駄でしかありません。最初から首が前に出ていなければ他のことに意識を費やすことができるわけで、練習効率が上がるわけです。
<首が前に出ている>という指摘は表に出ている結果です。なぜ首が出てしまうのか。それが出さないように意識するだけで解決する問題なのか、ダンス(身体の使い方)の問題なのか、身体そのものの問題なのか、いったいどれでしょうか。
意識するだけで解決するのならば、日常から姿勢を良くしないと直りませんから時間がかかります。
ダンスにおいて間違った身体の使い方をしていて結果的に首が前に出てしまうならばコーチャーが解決してくれる内容です。
では身体そのものの問題で首が出てしまうのはどうするのか?。これは結構厄介です。筋肉が凝り固まってしまった。首が緊張していて動きが悪い。首を前に出さないと立てないバランスに身体全体がなっている。このような理由では選手自身もコーチャーもなかなかやりようがありません。日常生活の積み重ねで選手の身体がこのような状況になっていますから。まさかレッスン中に身体をほぐすわけにはいかないでしょう。練習に入る前に身体コンディションを整えるべきでしょう。(場合によってはレッスン中に身体をほぐすこともあるようですが。)
<首が前に出ている>という例を出しましたが、<肩が上がる>でも<足が出ない>でも<パワーが足りない>でも何でも言えることです。身体のコンディション調整不足で起きている問題は、本人が意識してもコーチャーが指導しても、すぐに解決はしません。そういった余計なことに意識が取られてもっと大事なことが疎かになってしまってはもったいないのです。良いコンディションを作った上で練習をすることで、上達に必要なことに意識を向けることができるので、結果的に<ダンスが(良い方に)変わる>わけです。
このことは<痛み>や<故障>においてもそうです。
足首が痛いとします。そのまま踊れば<足首が痛い>という意識をずっと持ったままです。<もっと痛くなったらどうしよう>、<痛まないように庇って踊ろう>などの意識が出てきてしまいます。肩関節がうまく動かないとします。<肩が引っかかるな>、<リードがしづらいな>、<フリーアームがいつもよりやりづらいな>などの意識を持ったまま踊ることになります。
痛みや故障はときに追い込んで集中力を高めることがありますが、多くは負担でしかありません。意識が削がれてダンスに集中できないのです。競技会当日ならばやり切るしかありませんが、普段の練習では悪影響でしかありません。変な癖がついてしまうかもしれないです。
ダンスを上達するには良いコンディションを作って練習した方がいいのです。良いコンディションとは<余計な意識をしなくてもよい状態・状況>です。身体的なこともそうですし、対人関係や練習環境もそうです。身体面が一番自らどうにかできることですから、せめて身体のコンディションを良くして余計なことを意識しなくてよい状態にして練習に励むといいでしょう。
甲野 功
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