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指圧の話を連続で書いています。
今回は指圧における押圧操作の三大原則における最後、第3の原則である集中の原則についてです。
教科書(あん摩マッサージ指圧理論/教科書執筆小委員会著:医道の日本社)には
『
術者の技術と精神を一致させることを期待したもので、施術中は全精神力を集中する。指圧は一面の押圧であっても常に有効適切であることを期待している。そのためには、術者と患者の精神的な一致ということも重要な問題である。
』
と記載されています。
色々と難しい言葉を使っていますが、
術者は神経を集中させて患者さんと息を合わせよ、
ということでしょう。
押圧操作の原則における、他の2つの原則(垂直圧の原則、持続の原則)は技術的なことですが、集中の原則は精神的なものになっています。
最後の3つ目が具体的な技術についてではなく、心の在り方を求める抽象的な内容であることが重要です。なぜここで精神論が出てくるのでしょうか。按摩やマッサージ、更には鍼灸・柔道整復においても、患者さんを思いやりましょうといったホスピタリティの事は触れていますが、堂々と「集中して押すべし」などと表現することはありません。
患者さんと術者が精神的な一致、とはいったい何を指しているのでしょうか。学生時代に教科書を読んだときには理解し難いことでした。
臨床を重ねていくことで、精神を集中しないと効果が出ないことは分かってきました。按摩やマッサージに比べて動きが少ない分、集中しないと適切な刺激を与えることができません。
これまでに鍼を打つときの思いについてや、施術中に仏像の表情を思い浮かべる、などと綴ってきましたが、これらと同じことで心を静かにして相手の呼吸を感じ、雑念を払って指圧を行うこと。それが指圧の極意なのでしょう。
そのせいか指圧のほうが按摩よりも疲れるのですね。不思議なものです。指先もしくは手掌(手のひら)からエネルギー、意識、念のようなものを送り込むイメージというか。
更に指圧の方があまり患者さんと会話しなくなります。他の施術方法は集中していないというわけではないのですが。
このことを応用すると鍼を打つときにも役立ちます。
学生のある時期にどうしても鍼が体内に入っていかなくて(刺入といいますが)困ったことがありました。押しても鍼がしなって進まない。力任せにもできない。どうしたものか、と悩んだときに、指圧の集中をそのまま使って、鍼に念を込めるというか自分の体の一部だと思って刺入するようにすると素直に鍼が進むようになりました。
今でも鍼が体の中を進んでいかないという場面に遭遇しますが、精神を集中することをまず意識しています。鍼が上手になるためには手技(按摩や指圧、マッサージなど)ができなければいけない、という説を裏付けることかもしれませんね。
指で押せば「指圧」になるというわけではありません。原則という奥義があった上でのもの。第3の原則は精神面であるため、より理解するのが難しい。だからこそ差が出るところなのです。
甲野 功
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だるま食堂 (日曜日, 10 5月 2020 09:27)
その通りだと思います。あと、「快圧の原則」ですね。患者に伝わってしまうものですから。
あじさい鍼灸マッサージ治療院 (日曜日, 10 5月 2020 09:45)
だるま食堂さん、コメントありがとうございます。快圧、大事ですね。