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~「こども食堂」が子を守る~

新宿こども食堂ホームページより ある日のメニュー
新宿こども食堂ホームページより ある日のメニュー

 

来月10月14日に今年も4回目となるチャリテイーマッサージを開催します。売り上げは全額新宿こども食堂に寄付します。


新宿こども食堂には設立当初から手伝いをしています。身内が関わっていることもありますが、東京都新宿区で育った私の経験から、
こども食堂の存在が娘たちを守る効果があるのではないか
と考えていることが支援の理由でもあります。

 

娘を含めて子どもたちを非行に走らせることから遠ざける機能をする
新宿こども食堂設立の話を聞いたときに直感で思ったのです。

 

既に書いた通り東京都23区の中心にあると言える新宿区は清濁併せもつ独特の地域です。光も闇も隣り合わせ。子どもがあっという間に重犯罪に関わる可能性があるところです。

 

私が小学校低学年の頃、元看護士のお手伝いさんから聞いた話です。
ひとは孤独だとお腹が空く

とても印象深くて忘れられません。寂しいとお腹が空いて紛らわすように何を食べてしまう。そのようなことがあるのだと。

 

長らくこのことを忘れていました。
時間が随分経過して、私は結婚し娘が産まれ、あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業しました。開業2年目から世界食料デー月間に支援するチャリテイーマッサージを始めました。世界食料デーは国連が定めた世界の飢餓を考える日。食糧問題、飢餓問題について自然と考えるようになりました。
そのときに幼少期に聞いた「ひとは孤独だとお腹が空く」という言葉を思い出しました。これは心の飢餓ではないか、と。

 

どうしても現在の日本では食料不足による飢餓というものが想像しづらいです。特に都心の新宿区では、少し綺麗な身なりにして新宿のデパートに行き食品売り場を練り歩けば試供品のおかずで腹は満たされます。公園に行けば安全な水が飲めます。大災害が起きたとしても、だいたい3日間しのげば救助が来て食料と水は確保できると言います。

 

このような食べ物が無い飢餓よりも、心が満たされずお腹が空くことの方がとても現実味がありました


私は共働き家庭で育ちました。父親は単身赴任をしていて週末しか帰宅しませんでしたし、母親は小学校の教師だったので忙しかった。いわゆる鍵っ子で小学校が終わると自宅に帰り好きなように過ごしていました。友達の家に行くとお母さんがいるのが不思議でした。そのうち我が家が珍しいということを理解します。昭和の終わりには専業主婦がほとんどでした。

寂しいかどうかを当時は考えたことはありませんでしたがいつもお腹が空いていました。成長が早かったのもあるでしょうが、孤独がお腹を空かせることは納得できました。

 

今、親になり将来娘たちがどのように育つか考えるようになります。本人が良くても周囲が巻き込めば暗い道に簡単に進めます。我が家だけでなく周囲の環境まで考慮しないといけません。それは私が家庭が複雑で色々あった地元の同級生を見てきた体験から。

 

寂しいから表面的に手を差し伸べてくれる場所に行ってしまう。その場所が明るく正しいところなら構いませんが、暗く悪いところでは困ります。例え家庭が裕福でお金に困っていなくても、心が飢えてしまうと寂しさを紛らわせてくれる人や場所を求めます。新宿区はとことこん危険な場所が近くにあるからこそ、私はこのことを警戒しています。

 

こども食堂は食事の場を作り、お腹を満たすだけでなく心も満たせる場所になるではないかと考えています。湯浅誠氏によればこども食堂は<共生食堂>と<ケア付き食堂>に大まかに分けられるそう。

共生食堂は貧困家庭の子たちだけを相手にするわけではなく、そうでない子たちも、また大人たちにも来てほしい。多くの人たちがごっちゃに交わる交流拠点のイメージ。みんなでわいわいやりながら、食卓を囲み思い思いに過ごす寄り合い所のイメージであるとのこと。
ケア付き食堂は子どもの食事面・栄養面での相対的落ち込みを挽回するために開かれ、一緒に食卓を囲むことを通じてつくられた信頼関係を基礎に、家族・学校・進路のことといった子どもの生活課題への対応を目指すもの。

 

もともと共生食堂のイメージで始まったのが「子どもの貧困問題」と結びつきケア付き食堂のスタイルも現れ、同じ「こども食堂」の名称で混在しているのが実情のようであるといいます。

 

どちらの側面も混ざっているのが今のこども食堂のようですが、とにかく子ども達の居場所になれば良いと思うのです。


本当にお金が無ければ売春や犯罪で手軽に大金を得ようとしてしまいます。そしてそれができる環境がそばにあります。こども食堂で食費を浮かすことで、他にお金を回せるのならば良いこと。
家庭が裕福でも孤独ならば、(例えその家庭のお金目当てだとしても)仲良くしてくれる所に居場所を求める。心の飢えを紛らわせるためにお腹が空くのならば、楽しい食事ができれば心が満たせられるかもしれません。

 

「新宿こども食堂」は子どもだけでなく、その親(家庭)までも視野に入れています。
食事は生きていくうえで絶対に必要なこと。そして誰とどのように食事するかは大きな影響を人に与えます。
私が結婚して子どもが生まれて本当に良かったなと感じるのは家族で食事をしているときです。それは家でインスタント品を食べているときでもそうなのです。
新宿区で何か問題がある子ども及び家庭に食事を提供する場があることは、大きく足を踏み外さないための防止策になると考えているのです。

 

甲野 功

 

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