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~猫背とオサラバしたかったら社交ダンスをしよう~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 大学現役時代の競技会
大学現役時代の競技会

 

猫背に悩んでいる人がいます。そして猫背矯正やら猫背を改善する施術も巷にあります。

 

ここで敢えて言います。
猫背とオサラバしたかったら社交ダンスをしよう!と。 

人の身体を治す専門家であり、社交ダンス経験者の私が敢えてこの提案をします。

 

猫背とはどのようなものでしょうか

とても簡単に言えば首が前に出て、背中が丸まり、姿勢が悪い状態です。猫の背骨がカーブしているので猫のような背中という意味ですね。
この猫背を直そうとすると色々大変なのです。そう簡単に事は運びません。

 

まず猫背である理由から
猫背であるのはその人にとってそれが楽であり、習慣になっているからです

頭の重さは成人でボーリングの玉くらいあると言われているのでかなり重たい。首を出して頭を前に置くことでバランスを保っていると言えます。猫背になっている状態が日常生活を送りやすいのです。

これには体型も関係しており、太ってお腹が出ている場合はバランスが前に出やすくなるので首を前にした方が立ちやすい。また高齢者で背骨を圧迫骨折したことがあり人は器質的に(体の構造上)猫背になっています。


一口に猫背を直すといっても、できないこともあります。

 

良い姿勢を保てない状態
猫背にならないように姿勢を良くしても、すぐに猫背になってしまう。このようなパターンが一番多いのではないでしょうか。
その理由の一つに筋力不足があります。頭が重たいことは既に述べましたが、頭の位置を適切な位置に保つためにはいわゆる体幹と言われる筋力が必要です。特にお腹をしめる腹筋群が弱いと状態をきちんと保てません。また骨盤の前傾、後傾も影響するので骨盤の位置をしっかり保てる体にしないと結局頭が前に出てきて猫背になってきます。もちろん背筋群の筋力も必要です。

 

更に細かく言えば横から見た重心線が正しい位置を通らないといけません。

専門的な用語を使うと上から乳様突起肩峰大転子膝蓋骨後面外果前方と一直線になることが望ましくなります(厳密には少し前後するのですが)。つまり下から足首、膝、股関節、首肩まわり、と全身の状態を考えないと姿勢が良くならず猫背を直すことが難しくなります。

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 立ち方のポイント
立ち方のポイント


私も身体を診るプロですから、施術により体の状態を整えて姿勢を良くすることはできますが、良い姿勢を保つ能力が無いとすぐに戻ります。下手すると一歩あるいた瞬間に元に戻ることもあります。

 

とても重要な精神面
猫背の人はネガティブな気持ちを持っている人が少なくありません。特に日本人は全体的に姿勢が悪い(農耕民族、畳の文化があったことも影響しますが)ので姿勢を良くすると胸を張り偉そうに見えるのです。


自分に自信がない、負い目を感じている人は背中を丸めて過ごしがちになります

特発性側弯症という病気や怪我などの目だった理由が無いのに背骨が横に曲がってしまう症状がありますが、統計的に思春期の女性に多いとされています。これは胸が大きくなったときに、恥ずかしい・からかわれる、という経験から無意識に背中を丸めてしまうためではないかと言われています。

 

側弯症とは別に、私自身も同じような経験があります

小学校後半で私は急激に身長が伸びました。1年に10cmのペースで伸びていき、小学校6年生の終わりには170cm近かったです。背の低い人には嫌味に聞こえるかもしれませんが、小学校時代に散々「背が高いね」と言われ続けて苦痛でした。ランドセルを背負っているのに都バスを子供運賃になかなかしてくれなかったり、背が高すぎて気持ち悪いと陰で言われたり。痩せていたのでひょろ長く、背の高さはコンプレックスでした。


そのせいか、とても姿勢が悪く無意識に背を低く見せようと思っていたようです。なお当時は猫背という自覚はなかったのです。小学校卒業式の写真を見ると首が前に出たとても姿勢が悪い姿が映っています。

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 小学校の卒業式
小学校の卒業式

 

 

猫背を直そうと姿勢を良くしても、それを維持するにはある程度の自意識が必要です。外を歩いているときにガラスに写る姿を見て姿勢を確認する。胸を張って堂々としているか。ある程度ナルシストでないといけません。


自己肯定感が低い場合は自分の姿をあまり見たがらないです。自分のことが好きではないため。少なからず、「自分の立ち姿が格好いい」という自惚れと「猫背になっている気を付けなくちゃいけない」という戒めの気持ちがなければ猫背を克服できないのです。

 

こういったことを諸々解決してくれるのが社交ダンスです
社交ダンスを上手く踊ろうとすると嫌でも姿勢が良くなります。むしろ良くないと踊れません。相手と密着するスタンダード(モダン)種目は姿勢が悪く首が前に出ていると、お互いの顔が近くなってとても不快です。相手のことを考えるとしっかり背筋を伸ばそうと心掛けます。また姿勢が悪いことで組む位置(ポジション)がおかしくなるので踊りにくくなるのです。

 

そして社交ダンスは美しく魅せてなんぼの世界。自分を表現するための訓練になりますから自然と他人の目を気にして自己を振り返ります。もっと痩せなきゃ、もっと上を向かなきゃ、もっと姿勢を良くしてまっすぐ立たなきゃ、もっと堂々と立ち振る舞わなきゃ。前向きな”もっともっと”が増えてきます

 

ダンスを上達しようと思えば自ずと筋力をつけないといけませんし、むしろ筋力がついてきます。特に姿勢意地に必要な体幹の筋力がついていきます。一人でエクササイズをしても妥協しやすいもの(一人でも妥協しない強い意志がある人は猫背をすぐに克服するでしょう)。相手や先生の存在がより頑張ることができるのです。

専門的な事まで言及すれば、プロの社交ダンスの先生方は「立つこと」、「歩くこと」を徹底的に研究しています。人間が2歳くらいにはもう獲得している当たり前の動作、機能を高いレベルで考えています。単に猫背を直すという消極的なものではなく、いかに美しく立つ・歩くかという積極的なアプローチをしてくれます。それが社交ダンス上達のカギだから。

 

私の体験談を書きましょう。
背が高いことがコンプレックスだった私は中学校から身長が伸びることが鈍化していきます。ストレスがなければもっと身長は伸びたのかもしれません。160cm後半で中学に入学し高校卒業時は173cmでした。他の同級生がどんどん身長が伸びる時期に私の体は停滞しました。


大学に入り舞踏研究部(社交ダンス部)に入ります。そこで人生で初めて「お前、もっと痩せろ」と言われました。ずっと細いことが嫌だったのに、先輩はもっと痩せろと私に言いました。また別の先輩は、背が高いことは有利だからそれを活かせ、と。
舞踏研究部に入ったら私より背の高い人が何人もいて、もっと痩せている人がうじゃうじゃいたのです。先輩方は身体が細くても堂々としていました。そこで初めて細いこと、背が高いことからの呪縛から解放された気がします


大学4年間をダンスに打ち込み、卒業時には身長は176cmになっていました。成長期が終わっているであろう20歳で身長が伸びました。それは姿勢を良くして詰まっている背骨の隙間を広げた結果でしょう。
今では実数値よりも背が高く見られることが多いです。気持ちの面で前向きになったことと表現することを覚えたことが要因です。

  

姿勢を良くしようと心掛けても、本当に良くなるのには何年もかかりました。ある程度満足できる状態になったのは大学4年生の秋くらい。それくらい長年染みついた猫背の習慣を捨て去るに苦労しました。更に当時は18~21歳という身体の絶頂期。青壮年や中年になってから猫背を直そうとしても相当大変でしょう。

 

猫背を直そうとするのではなく、社交ダンスに夢中になって日常から意識して体を鍛えたから猫背とオサラバできた。そういう感じです。

 

本気で猫背を直したいならば、体を鍛えて、身体の構造を知り、精神面を前向きにし、良い姿勢を維持する気持ちと筋力が必要です。それらのどれも満たすものが社交ダンスにあるのです。

 

甲野 功

 

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