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~錯覚資産~

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている ふろむだ著 ダイアモンド社
人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている ふろむだ著 ダイアモンド社

 

最近、錯覚資産という言葉を知りました。


人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている
この本に書いてあるもので造語のようです。

 

この本で筆者は、人生が成功するために必要なものを心理学の立場から検証し「錯覚資産を増やすこと」が重要だと主張しています。


では錯覚資産しとはどのようなものでしょうか。

 

錯覚資産とは、「他人が自分に対して持つ、自分にとって都合のいい思考の錯覚」のことである。
これが錯覚資産の定義です。

 

思考の錯覚は認知バイアスによって引き起こされる。
認知バイアスとは認知心理学の概念で「認知の偏り」という意味である。
ハロー効果は認知バイアスの一種である。
と続きます。


ハロー効果とは、ハローは後光(もしくは天使の輪)という意味で、何か一点が優れていると後光がさして何もかもが優れて見える心理的錯覚のことです。僅かな優れた要素で、その人全体が優れていると錯覚するということ。錯覚資産もこの原理が働くというのです。

 

学生時代の優劣は勉強であれ、スポーツであれ、ほとんどが実力と運によるものだと言います。
試験の点数が良ければ良い成績がつきます。スポーツも強ければ勝てます。それに加えて運も関係しますが、運は自分でどうにもなりませんので(どうにかなるなら運とは言いませんし)、学生が成功のための行動として実力を磨くことが正解です。

 

対して社会に出てからの成功は、実力も去ることながら運の要素が強くなるといいます。
世の成功者は結局、運が良かったに過ぎないと筆者は語るのです。実力があるのに売れない芸人さんなどたくさんいます、実力通りに評価されていないサラリーマンもたくさんいるでしょう。成功には実力よりも運の要素がずっと強い。


じゃあ成功するために努力することは無駄な事なのか、という問いに運を変えることはできないが運の運用はできると言います。すなわち成功する確率を上げる事。成功するかは運しだいだが、その確率をあげることは可能である
そのためには錯覚資産を持ち、あたかも実力があるように思わせること。これに尽きると言うのです。
こまかい理屈は心理学の研究を引用しています。「実力以上のものがあると錯覚させること」が成功の秘訣なのだと。

 

本の中で、以下の様に論じています。

 

まず何か成果をあげるとします。

その成功によりその人は能力があると周囲に思われます(錯覚資産ができる)。そうすると次も素晴らしい結果になるのでないかと期待されて、後押しや手助けを受けて、また成果を出します。正確には一度目よりもずっと成果をあげる可能性が上がるのです。大ヒットを飛ばした映画監督が2作目を制作するときにはスポンサーがたくさんついて潤沢な資金を得ることができる。よってまたヒットを出しやすい。
成果→錯覚資産→成果
このループを回していくことで成功していきます。

 

そこに環境の要素が入るかもしれません。

ある会社員があるプロジェクトで成果を上げたとします。上司からはその会社員は次も成果をあげるに違いないと期待され(=錯覚資産ができる。次の違う仕事も同じように成果を出すかは本来確約できないはず。)、優秀なメンバーが集まるプロジェクトチームに配属されます。その環境により、また成果をあげる確率が上がり次も成果をあげます。
成果→錯覚資産→環境→成果
このようなループが回っていきます。

 

更に優秀なメンバーが集まるプロジェクトチームに配属されることで周りから様々なスキルを学び、ある会社員に実力そのものがついていきます。ますます次も成果を出す確率が上がります。
成果→錯覚資産→環境→実力→成果
というループになります。

 

筆者の考える3つのループ全てに錯覚資産は入っており、錯覚資産を作ることが成功確率を上げていく。実力も重要だが周囲がその実力を認めなければループは回らないし、残りの2つのループには関わらなないので、錯覚資産を作るよりも効率が悪いということ。

社会に出てからの成功・失敗を決める要素は実力・運・錯覚資産の総和であると結論付けています。

 

では成功をおさめるために具体的にどのようなことをすればよいのか。小さな成功を収めて、こいつは(実力以上に)凄いと周りに錯覚させる(=錯覚資産を作る)。そしてより大きな成功を収める確率を上げる。その繰り返しでわらしべ長者のように成功を大きくしていくといいます。
成功するかどうかは運であるから錯覚資産が形成できるようにたくさん行動をする。会合に集まって自分を売り、こいつは優秀そうだと思わせる。周囲に売り込んでいく。チャンスが発生した時に「思い浮かべる人」の数を増やしておくことが成功確率を上げるだと。

このようなことが書いてありました。

 

 

これを読んだときに、錯覚資産と言ってはいるものの、昔から人々がやってきた事だと思いました。

会社員がお客を接待する、何度も訪問する、お歳暮を贈る。

接触機会を増やして実力以上のものを得ようとする。

上司と飲み会に行き引き上げてもらう。

昔のサラリーマンは実力以上にコネがものを言ったといいますが、ここでいう錯覚資産そのものです。

 

しかし今は錯覚資産を作る環境(あるいはルール)が変わった、もしくは変わりつつあると考えます

 

まず企業体質の変化です。終身雇用が終わり、よい上司に取り入っておけば安泰とはいかなくなりました。その上司がいつまでもいるとは限りませんし、飲みにケーションの文化はどんどん過去のものになっています。転職のハードルが下がり定年まで同じ会社に在籍すること自体が稀有な例になるでしょう。そもそも定年氏からの人生も長くなっていくことでしょう。誰かに頼ることも重要ですが、自ら動いて錯覚資産を作る方がより重要ではないでしょうか

 

またスマホの存在とSNSの普及も大きな変化です。マスメディアを使わずとも個人の考えを外部に発信することができるようになりました。フォロワー数やいいねの数、リツーイト数などその人の人気が可視化されています。誰でもブログやSNSを活用することで、大きな影響力を持つことが可能になりました。錯覚資産を作る方法がより簡単になったと言えるのです

 

地道にキャリアを積んでいくよりも錯覚資産によりチャンスをどんどん掴んでいって成果を積み上げていくことができるようになったと感じています。
ここ一年で年齢を感じる、正しくは40代になり30代との差を感じる、ということがよくあります。それは社会のルールが私の頃と変わったということが原因なのかと最近考えています。

今回、錯覚資産の話を知り合点がいったように思います。

 

甲野 功

 

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