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~教員養成科特別授業を担当~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 教員養成科での授業
東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科での授業

 

 

先日は出身校である東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科にて、2年生の特別授業で講義をさせていく機会を頂きました。昨年に続き、関東鍼灸専門学校副校長である内原拓宗先生と二人で行いました。今回の特別授業を行う前から当日までの様子を振り返ります。

 

事の発端は、昨年の内原先生が行ったクラウドファンディングでした。西野亮廣氏著書「革命のファンファーレ」を関東鍼灸専門学校の学生に配りたいという内容で、ネット上で寄付を募るクラウドファンディングを行い、成功させたということをTwitter上で知りました。私は鍼灸専門学校の教員がこのような行動に出たことに、とても驚きました。当時は内原先生のことを存じ上げていませんでしたが、個別にメッセージを差し上げてやりとりをし、同じ東京医療教員養成科卒であることを知ります。内原先生は更に母校の教員養成科にも「革命のファンファーレ」を渡したいと支援を募りました。それに私が応じて本を寄付することにしました。学校に手渡しに行く際に、1コマ時間を頂いので一緒に話をしましょうと内原先生に言われたのでした。昨年も同じ時期に特別授業をしたのですが、実際に内原先生とお会いするのはこのときが初めてでした。今日で1年経ったということになります。

 

11月に入り、今年も授業をすることになり講義タイトルをどのようにしましょうか?という連絡が内原先生から入りました。この1年間で私も内原先生も様々な出会いと活動がSNSを通じてありました。やはり「鍼灸師とSNSの活用」という内容が妥当ではないかと内原先生からありました。対して私の意見は、SNSによって「社会のルールが変わったこと(変わりつつある)」が一番気になっていて、そのことを教員養成科の学生に伝えたい、というもの。この意見に内原先生も納得されて講義タイトルを「変わる社会と鍼灸師 ~鍼灸師のSNSの活用~」になりました。サブタイトルにすることで意見を併用した形になりました。そこからどのような内容にしようか思案する日々が始まりました。


昨年は唐突に授業に出ることが決まったのと内原先生のおまけという気持ちがあり、深く考えないで臨みました。考えるには考えたのですが、日常授業を行っている先生との対比で、普段あまりないことをしようとプレゼン資料も配布物もない、スマートフォンを使っていても構わないというスタイルにしました。今年は、この1年間であったことを踏まえて進化させようと決めました。昨年の授業を今年の2年生は知らないので何が進化したかなど知らないでしょうが、個人的なこだわりです。漠然と内容を頭の中に描いていたときに、アジサイ塾とネーミングされた、不定期の勉強会で資料を作った経験が活きました。アジサイ塾は個人的に縁のある鍼灸学生さんに対して専門学校では教えないであろう“現実”を教える場としています。毎回紙の資料だけだったのですが、最近行った回はパワーポイントを使った資料を作らないといけない内容になり、プレゼン資料を作成しました。このとき集めた情報とパワーポイントを使った表現方法を、教員養成科特別授業に応用することにしました。

 

そして今月に入り内原先生から、先生が当日発表する予定の資料がデータで届きました。パワーポイントのスライド9枚。文字はほとんどなく画像、模式図がメインでした。それに目を通して考えを巡らせました。

・文字が少ない分、内原先生がどのような話をするか想像しないといけない。
・40分くらいの持ち時間でスライド9枚だと1枚あたりの時間が長めになることに。
錯覚資産について書いてある。
・専門学校専任教員(かつ副校長の立場)の視点が入っている。

このようなポイントがありました。

 

これまでに何度か内原先生と別の発表資料の打ち合わせをしたり、先生が発表する姿を目にしたりしているので、講義内容を予想することができました。また、発表順も昨年同様、内原先生が始めで私が後ということを決めました。そこで私は何をどのように話そうか思案します。二人が話す以上、「対比」は絶対に必要だと考えていましたいくら教員養成科を卒業しているとはいえ、一介の開業鍼灸師であり特に実績があるわけではありません。発端も昨年内原先生について行きたいという要望から始まっただけのこと。そのようなたまたま登壇することになったわけで、1コマの半分もらうことはおこがましい立場。教員養成科で話すというのは、卒業生だから分かる、大きなハードルがある場です。内原先生と同じような事を話して、これなら一人で十分でしょ、と思われるのは絶対避けたい。やはり同じ鍼灸師といえど普段いる環境の違いを明確にした方が分かりやすいであろう。ということで「変わる社会と鍼灸師 ~鍼灸師のSNSの活用~ 開業鍼灸師の視点から」というサブタイトルに更にサブタイトルを付けるということになりました。

 

今、私が開業鍼灸師として懸念していることが
鍼灸専門学校の問題
医療広告規制
単純な売り上げ
が大きなことです。最後の項目は開業している以上ずっとついてまわることです。1番目の「鍼灸専門学校の問題」は専門外であり内原先生が本職ですので私が語るのもちょっと違うでしょう。そこで、<変わる社会>というテーマにまず医療広告規制を入れることにしました。アジサイ塾のために資料を集めていたので流用できるというこちらの事情もありましたが。昨年から出てきた医療機関(病院、クリニックなど)に関するインターネット分野の広告規制。鍼灸業界もそれに追随する形で話が現在進行形で話し合いが進んでいます。また授業直前に産経新聞のトップで鍼灸院や整骨院の広告不正が報道されました。開業鍼灸師には一番関係する社会情勢の変化としました。

 

そこから次の本題と言えるSNSの活用へ。今後ホームページに出せる内容が絞られたときに、患者さんが知りたい情報をいかに届けるか、そのカギがSNSであろう、という流れを作ろう。そこからは昨年と同じ方向性と内容で構わないだろうと考えました。ポイントは、鍼灸(そのもの)をアピールする前に鍼灸師をアピールする、ということ。そのためにアジサイ塾で試したやり方を膨らませてみせることにしました。
また前回同様4大SNSと言われるFacebook、Twitter、Instagram、LINEの解説をした上で、私が日々どのようにそれらを使っているのかを話す。あえて集客と書きますが、集客のためにホームページ、ブログ、そしてSNSが必要ということで実際行っているやり方を説明。
昨年は板書したので今回は図を作る必要があります。えみすけセミナーで学んだ具体的な数字を提示した方が良いと思ったので新患(新規患者さん)の対前年比は載せることに決めました。またいきなり効果は出ないこと、自分にあったツール(SNSやブログなど)を選択することを入れることにしました。

 

作ってみた結果、スライド枚数40枚以上。。。多すぎです。削るかどうか大いに迷いました。飛ばせるところは飛ばしていこうか。そうなると自ずと早口になる。情報過多になってしまうのでは。プレゼン資料を作成してから夜な夜なシミュレーションをする日々。その間にしんきゅう若手忘年会に参加して新たな情報を得て、他の開業鍼灸師さんからInstagramを使ったやり方は実際のところどうですかと聞くなど、情報が更に増えていきました。そして前日になり、ふと頭に浮かんだフレーズ。これは入れたい!と更にスライドが一枚増えてしまいました。

内原先生の講義はスライドが少ないのとゆっくりしゃべるということは分かっていました。ですから対比して多めのスライドで私のパートはしてみようかと算段しました。話す原稿も用意して、いざ当日。通算5年間通った東京医療専門学校代々木校舎に向かいました。早めについてノートパソコンを開き、最終チェックをします。本当はチェックすることがもう無いので少し仕事をしました。フリーWi-Fiが使えるので、プレゼン資料以外にも当院のホームページやSNSを見せようかと考えていました。時間が足りないというのに。

 

さて授業本番です。軽い自己紹介を終えて内原先生のパートが始まります。私は一番後ろの席に座りノートパソコンを開いて授業を聞いていました。内原先生の授業内容によってはその場でスライドを削るつもりでした。不幸にも教室に入るとノートパソコンはWi-Fiの電波を受信できなくなり、ネット環境をリアルタイムで見せるという作戦は不可能となりました。

内原先生が生徒さんに進路やSNSを使っているか聞いてくれたので助かりました。来年専任教員になる人が多い。Twitterを普段使用している人が少なく、Facebookが一番多い。昨年はSNSをしている学生がとても少なかったのですが、今年の学生さんはほとんどが何かしらのSNSを使用しているよう。このような生徒さんの情報と内原先生の授業内容を加味しながら私はどのように話すか思案し続けます。意外にも手が震えていました。出した結論は発表資料を変更せずに、どんどんとスライドを切り替えていくやり方に決めました。原稿も読まずペースアップでやり切ろう。表示をコロコロ変えて、なかだるみさせない。


幸い昨年よりも学生さんはSNSについて知識があったため個々の説明はほとんど省けました。思いのほか反応が悪いな、と内心ダメージを負いながらも、どんどん次に進むことで無かったことにできました(笑)。後半には飛び入り参加の岡野浩人先生も現れて、無事終えることができました。個人的にうちの卒業生ではない岡野先生が当日会場に入るというの出来事は大きな驚きでした。それ以外にも呉竹が変化しつつあるな、と感じたことが多々ありました。このことはまた別の機会に触れます。

 

人前で話すことが苦手ではないのですが、日常的にすることではありません。やはり疲れました。ここ数日夜中にずっとシミュレーションを重ねていたので寝不足になりました。毎日教壇に立つ先生方の苦労が分かります。一つ大きな仕事が終わった感じです。思えば1年前に内原先生と実際に対面し、授業を行ってから世界が広がりました。行動範囲も交流範囲も。文字通りSNSを活用した結果です。この授業のために資料を作りましたが、その作業がこの1年間の確認作業という感覚です。

 

場所を提供してくださった東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科、きっかけを作ってくださった関東鍼灸専門学校内原拓宗先生、聴講してくれた学生さん、突然現れた岡野浩人先生に感謝申し上げます。

 

甲野 功

 

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