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確定申告に向けて数字と格闘し、事務処理をしている最中です。その横で長女が計算ドリルと格闘していました。長女は小学校1年生。昨年春から小学校に上がりました。去る1月8日が始業式でしたが、冬休みの宿題が終わっていませんでした。
年末にインフルエンザA型に感染し、終業式に出ることができませんでした。一時は体温が39℃を越えて大変な状況でした。そのため、私もきちんと宿題の内容を把握しないまま冬休みに突入してしまいました。解熱してもしばらく安静にして、所定の日数が経過したらクリニックに行き治癒証明書を貰いました。一日だけ学童クラブに通い、そのまま年末へ。
私も年末で仕事や家のことが忙しく冬休みの宿題について気に留めていませんでした。12月30日は餅つき大会、年末年始は妻の実家に泊まりに行き、1月3日には私側の親類が集まる新年会。イベントが重なって宿題をする気が起きなかったし、こちらもチェックしていませんでした。1月8日までにすればいいだろうと高を括っていたのでした、私も長女も。
1月4日、仕事始めとなった日になり、宿題を確認してみると思った以上に量があり焦りました。特殊な鉛筆での書初め、絵日記2枚、お手伝いカード、漢字ドリル、計算ドリル。特にドリルは各30ページくらい残っているではありませんか。ドリルは学校にいる時期から自分のペースで進めておくもので、放課後の学童クラブでも自主的にやるものだったのですが、インフルエンザで休んでいたため全然進んでいなかったわけです。更に絵日記の用紙も見当たらず、どうしたものかと焦る長女。
とにかくできるものからしようと、書初め、お手伝いカード、漢字ドリルと手をつけていきました。ここまでは地道に筆を動かしていけばできるものでした。漢字ドリルが終わった時点で1月6日。1月8日までに計算ドリルを終えないといけません(絵日記は始業式でもう一度用紙を貰うお願いをすることにしました)。計算ドリルは30ページ以上残っています。
計算ドリルは小学校1年生なので足し算、引き算。足し算は合計19のまでの10の桁。引き算は19までの数字から1桁の数字を引くもの。大人から見ればいたって簡単なものですが、小学校に入って足し算・引き算を始めた長女にとっては簡単ではありません。ドリルとはその名の通り、似たような単純な問題を何度も何度も繰り返して、穴を掘り進めるように理解していくものです。1ページに40問くらい問題があります。文章題や絵の問題もありますが、大半が単純な足し算・引き算が1ページに40問並びます。
1つ1つ指で数えていけば答えは出ます。それを繰りかえせば嫌でも答えを覚えます。10-7ならば、10、9、8、7と3つ戻れば7と答えが出て、それを何度もやるうちに10-7=3と覚えます。そのうち条件反射で答えが出るようになるものです。そうなるようにするのがドリルの役割でしょう。ただ算数の先の数学まで視野に入れると愚直に覚えるだけではいけないなと私は考えています。数学はある所までは度暗記で解くことができるのです。公式を覚えることもそうですし、出題パターンと解答方法を記憶しておけばそこそこ解けるようになります。文系の国立大学受験をする人はこの方法でセンター試験対策をする場合があり、予備校の講師は「数学は暗記科目である」と位置付ける人もいます。
計算ドリルも同じように答えを覚えていけばスラスラ解けるようになるでしょうし、小学校1年生はそれでいいし、そうあるべきなのかもしれません。ですが、私は理数系大学出身で我が子には数学ができるようになってもらいたいのです。数学はどのような学問かと言えば、「未知なる問題を解くための学問」と定義できるのです。私が大学で専攻した物理では物理現象を解くために数学が用いられます。力学を解析するために微分積分は生まれたとも言えます。統計学も世の中の事象を公式化して推測することができます。天文学では計算により新たな惑星があると推測され、実際に新しい惑星が発見されました。将来子供が学ぶ上で数学という学問を、パターンを記憶して試験に解くためだけのものにしてもらいたくないのです。
とういうことで計算ドリルにも色々なテクニックや解き方を子供に教えました。
17-8のように引かれる数字の1桁が引く数字より1つ小さいものは答えが9になる。つまり16-7、18-9、13-4などの答えは無条件で9と書く。
15-9や14-9のように9で引くときは引かれる数字の1の桁に1を足したものが答えになる。15-9=6、14-9=5というように。
11-6=5と前の問題にあったときに、11-5=6のように、引かれる数字が同じで引く数字が答えたことがあるならば、答えと引く数字が入れ替わる。15-7=8が出たのならば15-8の答えは7というように。
11-6=5と既に答えが出た後で、11-7という引く数が1増えた問題が出たのならば、先に答えた5に1を足した6が答え。反対に11-5のように引く数が1減っていれば答えに1を足す。
このようなことを教え、40問ある問題を眺めて答えがすぐに出る問題からやっていくように指示しました。
言うのは簡単、やるのは困難。 小学校1年生の長女には頭が混乱して鉛筆が止まります。集中力が切れてドリルをやろうとしません。締め切りが決まっているからやろうよ、と言うと「どうせ私はバカですよ!」と怒り出します。答えを教えてしまおうかと思いましたが、それも長女は嫌で自分で解きたいという気持ちがあります。時刻は1月7日の22時を過ぎており、集中力も体力も切れつつありました。二人の間に険悪な沈黙が流れます。もう諦めてドリルはまだできませんと言おうか、と話したのですが、泣きながら「絵日記は出せないのだからドリルは終わらせるの」、と反発します。「それならばもっと早くからやっておけよ」と内心イラつきながらも、言葉に出さず我慢しました。こちらも確定申告で宿題に追われる小学生みたいな心境でした。
時刻も22時半を過ぎた頃、急に問題が解けるようになったのです。今まで言われたことが整理されたのか、問題を解けるところから解いていき、悩むところも指で数えて答えを出すようになりました。壁を越えたというのでしょうか。本当に突然できるようになりました。すると問題を解くスピードが格段に上がり、問題を順番に解いていけるようなったのです。
数分前まで悔しくて泣きべそだった長女が笑顔になり、「私凄いでしょ」と言い出しました。私が解説することもなくなり、どんどんドリルが進み、ついに残り1ページまで来ました。時刻が23時を回り、明日起きられなくなるからもうおしまいにして残りは朝やようと、止めました。そして次の朝、きちんと起きてスラスラと最後の計算ドリル1ページを終えたのでした。
一時期はどうなるものかと心配しましたが、自力で困難を乗り越えたのです。追い詰められて能力が開花したのでしょうか。絵日記はできていないけれどドリルを完成させた達成感からか、元気に始業式に向かいました。この時の反省なのか最近は宿題を先に終わらせてから遊ぶようになってきました。こういうことの積み重ねで子どもは成長するのだと目の当たりにしました。
甲野 功
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