開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
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住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
ピラティス。
長らく全く触れてきていない世界でした。
それがここ数年、急にピラティスをしている人に出会うようになりました。そしてピラティスをしている、インストラクターの方は全員女性。
ピラティス関係者に出会うきっかけは産後女性のケアを勉強するようになってからでした。妻が次女を出産する前後から産前産後のケアに取り組むようになり、ネットで見つけた講習会に行ってきてほしいと言われたことが最初。
そのセミナーは理学療法士の山崎愛美先生が行うもので、男性出席者は私のみ。講師も含めて他全員が女性でした。その後もセミナーに参加しましたが、ほぼ全員が女性でかつ理学療法士さんが多かったです。
そして鍼灸師の集まりに出向くと鍼灸師ではないがピラティスインストラクターをしている方、鍼灸師でピラティスも指導している方、色々いました。また患者さんでもピラティスをしている方に出会いました。その全てが女性。
一体ピラティスとは何なのか?
ヨガと何が違うのか?
何となく呼吸に合わせて行うエクササイズというイメージでヨガとの区別がついていません(ヨガのことも大して理知らないのですが)。
あるイベントで知り合ったピラティスインストラクターのRyoさんが主催のピラティスインスイベントを行うということで、ピラティスと関わるきっかけとなる次女と一緒に参加してきました。
ピラティス×漢方というコンセプト。会社員時代、職場が目黒だったので久しぶりに訪れた地域でした。参加者は全員女性で、その中に子供を連れたおっさん一人という場違いな感じでイベントが進みました。
ピラティスイベントを通して知ったことや気づきを書いていきます。
●ピラティスはピラティスさんが創設した
ピラティスはジョセフ・H・ピラティス氏が作ったのでした。意外でした。ラテン語か何かで意味がある言葉だと思っていたので、固有名詞だったとは。
ジョセフ氏は第一次世界大戦で捕虜になった際に運動療法を周りの兵士に行い顕著な効果を残して注目されたそう。ベッドに器具をつけて自作して行ったと。そのためピラティスにはマシンピラティスという器具を使うものもあるとのこと。当初自ら創設した運動療法を、体をコントロールする学問(ソロジー)という意味で、コントロジーと名付けていたとか。
ヨガの一種だと思っていた私はスタートも違えば器具を使うというのも予想外のことで興味深かったです。
●留意すること
身体に意識を向ける、呼吸を意識する、身体の感覚を深める、ということが出ました。私も社交ダンス(競技ダンス)経験者でこのようなことを意識しています。
ピラティスについて講義した後に椅子に座って行うピラティス体験がありましたが、これらに注意して行いました。次女がいるので集中はできませんでしたが、ストレッチと呼吸、それに日常生活で意識していない胸骨の動きを感じました。
●医師ではないからと認められず
ピラティスの効果が大きかったので医療に組み込もうと働きかけたものの、ピラティスとは医師ではないという理由で定着しなかったそう。これについては鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師である私にはよく分かる境遇です。
私の持つ技術は実践で、臨床で、確立してきたものです。実際に効果があるかどうかが第一で理由や効果が出る機序を後付けにしてきたところがあります。
科学的根拠は?エビデンスを出せ!という声には実証実験が難しい部分があり、術者の技量が大きく影響します。
ピラティスでも同じようなことがあったのか、と思いました。
●いくつか流派があり、理学療法士が関係する流派もある
これも意外でした。ピラティスはピラティスだろうと。流派がありピラティス内にも差異があるようです。
理学療法士の知り合いがよくピラティスを行っているのも合点がいきました。鍼灸にも按摩にも流派があるので同じことなのですが、外部からは違いが見えてこない、それを知ろうとしない、ということを認識しました。
●ピラティスは西洋的
ヨガとピラティスの違いをRyoさんに問うと、歴史も発祥場所も異なるといいます。
ヨガはインド地方が発祥で歴史がとても古く、ポーズが決まっている。内容は東洋医学的。ピラティスは筋肉を意識した現代的、西洋的である。
私は東洋医学を扱う鍼灸師であるのでこの話は理解しやすいものでした。
タイ古式マッサージもするのですが、それにはセンと言われる体を縦に流れるエネルギーのラインがいくつもあると考えます。センと経絡は似た走行を辿るのだとか。
東洋(医学)的なものは目に見えないもの(気、経絡など解剖しても出てこない目で確認できない)を考えるの対し、ピラティスは解剖学的に存在するものを考えているようだと。
理学療法士がピラティスに関りが深いというのもその点納得で、鍼灸師はヨガの方が親和性が高いのかもしれない、と思ってみました。
●知らないジャンルを知ろうとする姿勢が大事
今回のイベントで一番の気づきです。
名前は聞いたことがある、している人が知り合いにいる。その程度の知識だったピラティス。歴史や内容を聞いてみると想像とは違った世界でした。聞いてみるものだと。
このことは鍼灸やあん摩マッサージ指圧、東洋医学にも言えるわけで、詳しく知らない人には「まさかそんなに違いがあるとは」「一口に鍼灸と言っても違うのですね」という感想を持つのが当然です。
長らくその世界に居ると、
「違いがあることを知らないということを想像できない」
という弊害が生まれるのだなと感じました。それくらい知っていて当然だよね、と思ってはいけないのですね。
きっとこの文章もピラティスをしている人からすれば、勘違い・認識が甘い・実際はそうではない、という感想を持たれるのではないでしょうか。たかだか1時間半イベントを体験しただけですから。こいつピラティスを勘違いしているよね、と思われることでしょう。
しかし、受け手の認識が全て、というのも真理であるわけです。だからこそ専門家として専門分野を飽きずに広報していく必要があるのです。
疎いジャンルに触れることで本業の課題も見えてきました。
今回、初めてピラティスというものに触れてみました。かつて社交ダンスのエクササイズで習ったことは、ピラティスから持ってきたのかなと考えるものがありました。知らないジャンルを定期的に触れてみることが新たな発見になるのだなと感じたイベントでした。
Ryoさんありがとうございました。
甲野 功
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