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本日、霞が関で開催された
第5回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会
を傍聴してきました。
これは厚生労働省管轄の会議で、私のような開業鍼灸マッサージ師にとってはとても重要なもの。東京都鍼灸師会の川井大輔先生にお誘いを受けて初めて足を運びました。
お願いしている税理士さんが同じ建物に入っている税理士事務所にいた関係で、数年前に訪れたことがある霞が関。傍聴者は少ないのかと思っていたらほぼ満席状態でした。これだけ注目されているとは思いませんでした。
現在広告に関する検討会を重ねているところで、今回は消費者庁表示対策課から担当者が訪れて「景品表示法の概要について」の項目を説明し、質疑応答することが主だった内容でした。
後日厚生労働省から詳細な議事録がホームページに公開されます。表品表示法とはどのようなものか、どの委員がどのような発言をしたか、など細かい部分は議事録が出た上で紹介します。こちらの記憶とメモで断定的に書いてしまうことを控えることにします。
そして今回の文章では、会議全体を傍聴した上での個人的な感想を書きます。
あくまで私個人が感じたことなので議論内容にどうこう意見するものではありません。初めて知る法律に関することが多かったので議事録を読み直した上で会議・議論に関する意見は述べることにします。
全体の流れとしては
・消費者庁からの景品表示法についての説明
・実際に消費者庁が措置命令を出すに至った「小顔サービス」の実例紹介
・質疑応答
の3つでした。
景品表示法についてはもう少し詳しく資料を読みこないときちんと理解できないのですが、資料から抜粋すると「不当表示や不当景品から一般消費者の利益を保護するための法律」とのこと。平たく言えば誇大広告で消費者を騙してはいけませんよ、ということ。
その中に優良誤認表示、有利誤認表示、不実証広告規制、措置命令、課徴金納付命令など初めて耳にする目にする用語が出てきました。景品表示法については別の機会に触れたいと思います。
そして小顔矯正、小顔整体など消費者庁が総称した「小顔サービス」における措置命令を出した9件のケースが資料に掲載されていました。措置命令は注意喚起に留まらず、違反したことを周知徹底させる、再発防止策を講じさせる、違反行為を将来繰り返さないようにさせる、ところまで入るそう。
資料には商号(屋号)、法人番号、代表者指名、所在地、設立年月、資本金、対象役務(何に対して措置命令をだしたのか)まで掲載されています。これには驚くほど徹底していると感じました。本腰入れて行っているなと。
措置命令を受けた小顔サービス店舗は全て確認していないのですが、おそらく全部無資格者、つまり厚生労働省認可のあん摩マッサージ指圧師免許を取得していない人間のようです。
何度か触れていますが厚生労働省は無資格者のマッサージ行為を問題視しております。もちろん当事者であるあん摩マッサージ指圧師免許を持つ私も同様です。
これまで過去の裁判判断により「健康被害が無ければ無資格でも何をしてもOK」というおかしな通説がまかり通り、法律ではっきりと禁止していることなのに無免許でいわゆるマッサージ行為をすることが黙認されてきました。
また「これはマッサージ(あん摩や指圧も含めて)ではありません、整体ですから(それ以外の技術ですから)」という理屈で野放し状態でした。先の某俳優が逮捕された事件でもあん摩マッサージ指圧師免許を持たない被害者を各メディアはマッサージ師と報道し、NHKのみが正確な表現で報道している状況なのです。
個人的な感想として、小顔矯正の類でこのような処分を下したことが意外でした。小顔矯正で受ける健康被害はそれほど大きくないと思っていたからです。反対に誇大広告を打つならば消費者庁は指導するということでもありますが。
また厚生労働省の広告委員会は対象が厚生労働省管轄の「あん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師、柔道整復師」に関わることに関して議論するのだと考えていたので、無資格者のいわゆるマッサージ行為に対して議論されるとは会場に来るまで予想していませんでした。ちょっと意外でした。
消費者庁の説明と実際の例を知った上で、委員会の質疑応答がありました。
印象としては、景品表示法では無資格者のいわゆるマッサージ行為を取り締まることは難しいようだ、ということ。我々は関係する法律の、無免許者がその行為を行ってはならない文言(いわゆる業務独占)で考えてしまうのですが、消費者庁の見解は誇大広告、消費者を騙しているかが注目点。「小顔サービス」分野も免許を持たずして行ったことには注目していないようです。
その点については各構成員が質疑を重ねていました。(根拠については、誰がどのように発言したのかは議事録が出た上で確認してから行います。)
結果、対象者が「消費者」と「患者」という、消費者庁と我々では相違があるようだ、というのが私の感想です。裏を返すといわゆるリラクゼーションで治療行為を行っていませんよ、というやり方をしている無免許者でも誇大広告の点から行政処置を受け得ることが分かりました。
私も無資格者から始まったキャリアですのでその業界も分かるのですが、医療広告規制が強すぎて国家資格とること自体バカだ、という人間が実際にいます。確かに国家資格者は広告制限が厳しいのですが、やりたい放題では消費者庁が許さないということのようです。
また、ここは例外で検討会構成員の坂本歩先生の発言内容を紹介します。坂本歩先生は私の母校東京医療専門学校の理事長であり教員養成科時代には授業を担当され、私もよく知る人物。いわば身内ということで確証が持てるということで載せます。
坂本構成員がコンサルタントの存在を口にしました。各業界にコンサルタントが入り、法律や規制を無視した過剰広告、宣伝文句を指導しているケースを懸念していました。これには納得で、開業していると(勤務時代からもありましたが)コンサルタントします、ホームページを作成します、という業者からひっきりなしに連絡がきます。本業の施術行為に頭がいっぱいで広告、広報に注意しないがためにおかしな表示をしているケースは多いのでないかと予想しています。老舗養成学校の理事長という立場にありながら、現場の情報を仕入れていることに驚きました。
今回、初めて検討会会議を傍聴し生の声を聴きました。議事録の文章では分からなかった空気感を知ることができました。
検討会構成員の方々は予想していた以上に現場の状況を理解しているし、患者さんの健康被害について考慮していることが分かりました。ある有名な映画の名セリフに「事件は会議で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!」というのがありましたが、検討会は会議でも現場のことをよく踏まえているのだなという感想を持ちました。
甲野 功
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