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とても参考になる本と出合いました。
『ビジネスモデル見るだけノート(平野敦士カール監修 宝島社)』
以前紹介した『ビジネスモデル全史』が学問的に総論だとすると、この『ビジネスモデル見るだけノート』は各論という感じがします。『全史』よりも『見るだけノート』の方が最新の例が掲載されていて、しかも項目ごとに分類分けされています。『全史』は大企業有名企業の紹介が多く、社会を牽引してきた企業の取り組みを解説しています。『見るだけノート』の方は大企業も紹介していますが、現在進行形で成長過程にある中小企業や団体の取り組みにも灯りをともしている感じですね。見るだけノートシリーズの特徴ですが、各項目が2ページにまとめているので個々の情報量は多くなく広く浅く紹介する形です。エッセンスをイラストと少量の文章で抽出しています。見るだけノートシリーズはよくお世話になっています。『ビジネスモデル見るだけノート』の内容を紹介し、最後に私のビジネスモデル観について書きます。
『ビジネスモデル見るだけノート』のチャプターは以下の通り。
・ビジネスモデルのキホンのキ
・ネットにシフトしたビジネスモデル
・人にシフトしたビジネスモデル
・物にシフトしたビジネスモデル
・金の流れにシフトしたビジネスモデル
・流通と市場にシフトしたビジネスモデル
・次世代技術にシフトしたビジネスモデル
・競合するビジネスモデル解説
・ビジネスモデルのキホンのキ
まさにビジネスモデルの基本を解説しています。この項は総論に近い感じです。ビジネスモデルとは何か、歴史・変遷などを解説しています。従来の代表的なビジネスモデルとして
物販モデル
小売モデル
広告モデル
消耗品モデル
サブスクリプションモデル
マッチングモデル
ライセンスモデル
二次利用モデル
フリーミアム
を挙げています。
そして新しいビジネスモデルを構築するための7ステップを紹介しています。
1現状把握
2顧客にシフトする
3顧客価値にシフトする
4価格と顧客の経済性にシフト
5バリューチェーンをシフト
6経営資源の差別化
7現実可能性の確認
・ネットにシフトしたビジネスモデル
ネット環境の変化が近年のビジネススタイルを大きく変えました。ライフスタイルもそうです。ネットに注目したビジネスモデルを挙げています。「Netflix」、「Facebook」、「SHOWROOM」といった有名なものはもちろん、店舗を持ちながら商品を売らないアパレルブランド「BONOBOS」なども紹介しています。
・人にシフトしたビジネスモデル
顧客のターゲット選定などが秀逸なビジネスモデルを紹介しています。この項が一番私のしている仕事に近いところ。「いきなり!ステーキ」、「AKB48グループ」、「コメダ珈琲」、「IKEA」、「浦和レッズ」といった大衆の身近に感じる企業が挙げられています。他にも地方の中卒・高卒を優秀な社員に引き上げた「ヤンキー・インターン」(マッチングモデル)、個人商店でありながらシステムがユニークな「未来食堂」、優良企業にだけ投資する「鎌倉投信」などを紹介しているところが面白いです。
・物にシフトしたビジネスモデル
物と言っていますがかなり広い範囲のビジネスモデルを紹介しています。「ハローキティ」、「ハウステンボス」、「ユニバーサルスタジオジャパン」といったエンターテインメント系に、売れ残りを再販する「Optoro」、空き部屋で荷物を預かる「Neighbor」、格安航空会社(LCC)の「Ryanair」といったあまり馴染みのない海外企業も紹介しています。他にも、押収された違法銃で作られた金属を雑貨に作り変えてHumaniumというNPO「IM」の取り組み、限界集落を救いながらブランド化に成功した徳島県の「いろどり」といった、アイデアで社会貢献を担う団体・企業も挙げています。
・金の流れにシフトしたビジネスモデル
新たなお金の流れを作る次世代のビジネスモデル。消耗品モデルの代表ともいえる「Canon」、その逆をいく「Apple」、ロングテールモデルを構築した「Amazon」、広告収入と課金システムが秀逸な音楽ストリーミング「Spotify」などが挙げています。最近広まってきた手軽なクラウドファンディング「polca」、著名人が自分の時間を販売する「Timebank」、ポイントによる評価システムで社内環境がわかる「Unipos」といったものも紹介されているところが素晴らしいと思います。
・流通と市場にシフトしたビジネスモデル
ここでは大企業の戦略を紹介しています。どれも有名なので知っているため、改めて解説されるとなるほどそういうことかと思います。「QBハウス」、「コカ・コーラ」、「RIZAP」、「セイコーマート」、「Intel」、「STARBUCKS」、「ヨドバシカメラ」、「ZOZOTOWN」、「ウェルシア」、「ドン・キホーテ」。
・次世代技術にシフトしたビジネスモデル
新しい画期的な技術を用いたモデル。数年前では考えられなかったビジネスモデルです。アプリケーションが多く時代の最先端という感じです。スマホ決済の「PayPay」、中国のIT起業アリババが社会的ステイタスや人脈まで数値化する「芝麻信用」、記者のいない通信社「FASTALERT」、IoTを取り入れた養殖業ベンチャー企業「ウミトロン」、安価なDNA検査を実現した「23andMe」など。この項に挙げられる企業やサービスの多くが知らないことばかりでした。
・競合するビジネスモデル解説
競合同士を対比させて差別化戦略を紹介しています。「Amazon VS アリババ」、「YouTube VS ニコニコ動画」、「スシローVS くら寿司 VS はま寿司 VS かっぱ寿司」、「すき家 VS 吉野家 VS 松屋」、STEP VS 明光義塾 VS TOMAS VS 東進」。
このように今も新たなビジネスモデルが生まれています。
よく<鍼灸師は食っていけない>と言われます。そのときに<実力がないから>そうなるという原因を示唆されます。実力=技術と思われがちなのですが、実際に開業してみて考えることは<収益を上げるシステムを創り上げているか>が最重要な問題だと思うのです。持っている鍼灸の技術をきちんと収益に(決して売上ではない)換えることができるか否かの問題。つまりビジネスモデルの話だと思うのです。今後開業したいという鍼灸師さんが来て、話を聞くことがありますが、鍼灸技術よりも収益をあげるシステム=ビジネスモデルの方をしっかり考えると良いと思います。雇用されている状態というのは、収益モデルを雇用主に作ってもらっている状態(完全委託や場所を借りているだけというのならば別ですが)。開業しても鍼灸をすることは変わらず、一番変わることはシステムを自ら作らないといけないということですから。そこに経費を管理する仕事も上乗せされます。そういうことをひっくるめて経営です。
ビジネスモデルというのは常に新しいものが生まれています。大成功したものが歴史に名を残し〇〇スタイルと世に広まり後世に名を連ねる。最初は誰でも挑戦のはず。個人の特性が大きく影響する鍼灸師は自分を活かせるビジネスモデルを考えることは重要だと考えています。世の中の流れに敏感になって、技術を学ぶことと並行して鍼灸師の新しいビジネスモデルを生み出すことが鍼灸の突破口になるのではないでしょうか。
甲野 功
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