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~ユニコの情熱~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 日進医療器株式会社(ユニコ)のお二人と
日進医療器株式会社(ユニコ)鍼灸・柔整部のお二人と

 

先月、日進医療器株式会社「鍼灸・柔整部」の明渡部長と次村さんがあじさい鍼灸マッサージ治療院を訪れました。そのことを書いてもいいという承諾があったのでここで紹介します。

 

日進医療器は医療系の器具を製作、販売するメーカーです。私の関わる分野では鍼、お灸、テーピング、包帯などが該当します。

 

利用する鍼灸師の立場から少し説明をしますと、日進医療器はユニコという鍼ブランドを持っていてユニコーンのマークが印象的なパッケージデザインの鍼をラインナップしています。我々の仲間内ですと「日進医療器?ああユニコのことね」という感じでユニコという名前の方が知れ渡っています。

 

日進医療器株式会社ホームページより ユニコディスポ鍼のイメージ
日進医療器株式会社ホームページより ユニコディスポ鍼

 

六角鍼管という六角形の鍼管を出しているところが特徴です。他のメーカーさんでは外側は丸い形です。実際に触ってみると丸よりも角が引っ掛かるので手になじみます。

 

日進医療器株式会社ホームページより 六角鍼管
日進医療器株式会社ホームページより 六角鍼管


私は普段、敢えてステンレス製の無痛鍼管を使用しており、やや鍼管にこだわりがあります。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 無痛鍼管とプラスチック製鍼管との比較
無痛鍼管とプラスチック製鍼管との比較 ※画像のプラスチック製はセイリン社製


ユニコも鍼管にこだわりがあり、片手挿管という、鍼を鍼管に片手で入れる技術があるのですが、その時間を計測する器材まで製造するほどです。

 

鍼の技術においても、
示指打法鍼を一定の深さに刺入し、その鍼に再び鍼管をかぶせ弾入のように鍼管の上端を叩く方法
内調術:刺入した鍼の鍼柄を鍼管で叩打し、鍼体に動揺を与える方法
管散術:施術部位に弾入の要領で鍼管の上端を叩打するだけで、鍼を使用しない方法
という鍼管そのものを用いる技法があり、軽視できないアイテムです。

 

このように、鍼本体だけでなく鍼管にも注目するという特徴があるメーカーなのです。

 

 

日進医療器は大阪の企業ですので、東京に出てくるということは出張になります。東京出張のスケジュールに当院訪問を入れていただきました。

 

明渡部長とは昨年の鍼灸学生施術見学会関東鍼灸専門学校で行われたセミナー(通称カテンセミナー)でお会いしたことがあります。
次村さんは昨年の東京若手鍼灸師の会で初めてお会いし、11月の大阪訪問でとてもお世話になりました(そのときは別のメーカーにいましたが)。

お二人とも鍼灸師のイベントに遠いところから足を運んで参加されている珍しい方です

 

鍼灸機器メーカーさんが訪れるのは、学会や専門学校の学園祭など大規模イベントに限られます。少数の個人的なイベントに参加する方はまず見ません。まして大阪からやって来るのです。大変なことでしょう。今回も関東各所を回られている途中での来院でうちの前は神楽坂、次は千葉という行程だったそうです。

 

お二人はうちの鍼灸器材を買ってください、取引してください、といった売込みはしません。まずユニコを知ってください、営業担当である私のことを覚えてください、というスタンスです。

 

今回の来訪で明渡部長と次村さんは話をしただけでした。
そう本当に私と話をしただけでした

 

便宜上、ユニコ製品のサンプルとカタログを渡してくれましたが、それも後半になって「最低限これはしておかないと」という感じで次村さんが出したようなもの。ほぼ会話をしていただけでした。あじさい鍼灸マッサージ治療院が使っている器材を調べるようなことも特になく。もちろんユニコの鍼を使ってくださいという売込みもありませんでした。

 

あったのは業界にかける情熱。メーカーの立場で鍼灸業界の未来について語ったのでした。

 

明渡部長はユニコとして鍼灸師、学校、団体などとどのような付き合い方をしているのか・していきたいのかということを熱く語っていました。
具体的なことはここに書きませんが、私と同じ懸念を感じており、どうしたらよいのかを深く考えていました。鍼灸師免許を持っているわけでもないのに状況をよく理解していて驚きました。


また年齢のことを気にしていて、定年まで時間が無いから今のうちにできることは何でも行動していくと語っていたことも印象的でした。
次村さん同様、私が持つ営業担当のイメージが変わりました

 

私は営業という仕事に良いイメージがありません。

かつて半導体商社に勤めた経験、社会人になってから嫌な営業を受けたこと、日々掛かってくる失礼な電話営業、と辟易としています。その印象をずいぶん変えてくれたのは次村さんでした


その上司にあたる明渡部長も膝を詰めて話をしてみて、営業の印象を変えてくれました。半導体商社時代の営業部長とは違っていました。社内の顔と社外の顔は違うでしょうが、鍼灸業界にかける情熱を本当に感じました。

 

私は鍼灸師になって10年以上経過しましたがメーカーさんと仲良くなったことはありません。それ以前に会うこともありませんでした。せいぜい卸業の担当さんと会話をする程度。メーカーの人はたまに専門学校の学際や学会にブースで立っているくらいです。


製品には興味がありますが、どのような人が製造して販売しているかなど気にしたことがありませんでした。お二人がしっかりと会話をした初めての人になります。

 

話をして当たり前のことに気づくのですが、鍼灸師は鍼やお灸を製造・流通してくれなければ成り立ちません。鍉鍼という体に刺さないであてる鍼を自作し、それをずっと使えば毫鍼(一般的な体に刺す鍼のこと)は無くても構いませんが、さすがにそれだけでは無理があります。
お灸だって蓬(よもぎ)の葉を生成して艾(もぐさ)にしてくれないと我々はすることができません。メーカーさんがいなくては仕事が成り立たないわけです。
次村さんは、反対に鍼灸師さんがいなければ我々メーカーもやっていけません、と話しました。

 

鍼灸師とメーカーは運命共同体と言える関係でした。その当たり前を意識できていなかった。

 

元々徒手療法、按摩・マッサージ・指圧がメインでありますから、道具が無くてもやっていけるものね、という気持ちが強かったのです。ここ2年くらいで真剣に鍼灸に取り組むようになりました。そのため、メーカーさんの重要性を気づいていなかったことを、明渡部長と次村さんと話をしてよく分かりました。

 

ユニコの情熱

 

鍼灸用品を作るメーカー側の想いを知ったことで新しい視点ができました。それが何なのかは書きませんが鍼灸師として一段階レベルが上がった気がします。


よい経験をありがとうございました。

 

甲野 功

 

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