開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
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住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
先日のこと。下の娘を保育園に登園させたところ、保育園の玄関で「行きたくない。」と座り込んで動かなくなってしまいました。「パパと一緒がいい!」とふてくされて立ち上がろうとしません。生まれた時から育てているとまずいスイッチが入ってしまったなということを感じ取りました。機嫌が悪くなりこちらの言うことを聞かなくなるパターンです。何を言っても「やだ」「違う」「そうじゃない」の否定語を繰り返します。手に負えない状態です。上の子にもしばしありましたが、一向に動こうとしません。10分くらい押し問答。これはどうにもならないから今日は保育園に行かせるのは諦めて家に連れて帰るかという考えが頭をよぎりました。娘の担当保育士に相談することにして、私一人で教室へ。主任の先生に事情を説明すると玄関まで来てくれました。
保育士の先生はきつい言葉や威圧的な態度をとることはしませんが、
「荷物を先生が持って教室に入る?それとも自分で持っていく?」
という二択を娘に迫ります。
私は内心「あ、休んじゃおうという選択肢は無いのだ」と思いました。保育園に通わせる家庭は共働き家庭。私のような一人で行う自営業のお父さんは稀で、その多くが会社員。子供がすねたから会社を休みますとはなかなか言えません。保育士の先生方はそのことを重々承知していて、絶対に娘を教室に連れて行くという気概を感じました。しばしふてくされていた娘も、数分で立ち上がり自ら荷物を手にもって教室に入っていきました。20分ほど揉めていたので本当に助かりました。その様子をみて保育士がプロフェッショナルであることを強く感じました。
主任保育士は女性です。実年齢は分かりませんがおそらく20代半ばで小柄。髪の毛を軽く茶色に染めてつけまつげをしています。私から見れば、外見は「可愛らしいお嬢さん」という感じ。私服だったら女子大学生にしか見えないと思います。日常的に子供と接するので立ち振る舞いも幼くみえてしまいがちなのですが、娘と相対した姿は威厳がありました。言葉も態度も柔らかいのですが、毅然としています。
このような一面を今まで目にしたことがなかったので感心したと同時に見直しました。実の父親である私がこれはダメだと諦めたものを、自主的に歩いて教室に行くように促しました。娘は4歳で自我や主張が出てきています。もっと年齢が低くて駄々をこねるならば抱っこして連れて行ってしまう手段をとるでしょう。対話によって自主的に気持ちを前向きに変えさせてしまうところにプロフェッショナルさを感じたのです。
最近、保育園児が被害にあうニュースが立て続けにありました。園児がお散歩中、信号待ちをしているに乗用車が突っ込む事故。公園の砂場で遊んでいる保育園児たちに同じく乗用車が突っ込む事故。前者は園児が亡くなりましたが、後者は保育士がかばい保育士が重傷を負う結果になりました。これらの報道を受けて娘を保育園に通わせる私は、園外のお散歩をなくした方がいいのではとは思いません。それは保育士の力量と覚悟を信じているからです。
園児が死亡した事故では当日信号から一番離れた場所に固まって待機していたことが判明しており、可能な限り安全を確保しようとしていました。あれで交通事故に遭うというのは通り魔に襲われるのと変わらず、保育士の落ち度はありません。粗探しをするような記者会見には心が痛みました。砂場に乗用車が突っ込んできた事故では保育士が園児をかばっています。普通の感覚では公園の砂場に柵を壊して車が来るなど考えられません。その異常事態においてとっさの判断で園児をかばった保育士の行動に敬意を表します。
私は保育参観といって娘が普段保育園にいる様子を見る機会があり、できるだけ公園に散歩する日程を選んで参加してきました。そのときは園児・保育士と一緒に公園と保育園の行き来をしますが、保育士の動きは「車に轢かれるならば真っ先に自分が」という態度で行動しています。信号を渡る際には、もちろん園児よりも大きな大人の身体で、車道に出て集団が歩いていることを視覚的に運転手に見せます。一番危険な場所に立って園児たちを誘導します。無理そうであれば青信号でも止まって安全に渡りきれるようにしています。待機するときは電信柱の陰や道路から離れた場所にして安全をなるべく確保します。歩道を走る自転車にも注意を払うので後ろ向きに歩くことも珍しくありません。命を預かるプロフェッショナルとしての動きをしていることを目の当たりにしてきました。これで事故に遭うならばもう通り魔に襲われるかのごとく暴走車が突っ込んでくるか、娘が保育士の指示を無視して危険な行動に出た自業自得ぐらいしかないだろう、と思います。保育士には実質防ぎようがない状況なのだろうと。
保育園児を子に持つ親には嫌なニュースが立て続けにありました。中には「保育士がもっと気を付けてもらわないと」など苦言をていした人もいたようです。
ですが私は娘が玄関で動かなくなった件を踏まえて、改めて保育士の職能と意識の高さを認識したしだいです。上の子から数えれば通算9年間にわたり今の保育園にお世話になります。今一度、一緒に子供を育てる先生方に感謝します。
甲野 功
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