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~地方から東京ローカルの未来を予想する~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 伊勢神宮内宮そば おはらい町の喧騒
伊勢神宮内宮そば おはらい町の喧騒

 

 

東京から距離のある地方で商売をしている人で地方で勝つためには東京を知らなければならないという意見があるそうです。地方の強みを理解して武器にするためには東京を訪れて東京をよく知ることが大切なのだそうです。地方、とくに田舎と言われる都会ではない地域ほど、東京の真似をしたがるのだと。東京で流行っているもの、東京にあるもの、それを地方に持ってきてもオリジナルの東京には絶対に勝てない。そのようなものを見に体験しに、足を運ぶことはないのだから、その地方地域にしかないもの(風景、食事、体験、気候など)を見据えるために、東京を訪れて外から地元を客観視することが必要なのだそうです。

 

生まれも育ちも東京である私には実感がわきませんが、納得できます。外に出ると地元のことが見えてくるもの。ひるがえって東京在住の私は地方に出かけて東京を客観視することが仕事に役立つと考えていますというのも私は東京23区の新宿区で仕事をしていますが、世間のイメージである「新宿」ではなく昔から人が住んできた住宅街の「新宿区内にある牛込地区」です。いわば東京ローカル、新宿区ローカルといいますか私は生まれからずっと住んでいますから、立地がいいから(知名度がある、人がたくさん行きかう、富裕層が多いなどの理由)という理由でこの地で開業したわけでないのです。生まれ育った場所でやりたいから始めました。そうなるとメンタルは田舎も都会も変わりません。地方の、昔ながら地元住民を相手にした個人商店を、観察することは参考になるはずだと考えています。


ここ2年で沖縄石垣島京都大阪名古屋、三重、新潟などを訪れました。近場では箱根や鎌倉、八王子市、高尾山なども。地方都市を歩くことで見えてくるものがあります。今年の大型連休は名古屋から三重に向かいお伊勢参りをしてきました。5年ぶりに名古屋駅を降りたのち、在来線で伊勢まで向かいました。東海道新幹線から降りた名古屋駅は高層ビルに囲まれてさすが日本三大都市と言われる規模だと思いました。しかし在来線に乗るとすぐにビルは減り、高い建物は少なくなっていきました。ほどなく車窓から見える風景は昭和時代に建てられたと思うくらい古い木造家屋が立ち並ぶようになりますターミナル駅周辺はそれなりに栄えていますが、その駅と駅との間は建て替えが進まない新陳代謝が止まったように見えました。その風景を見ながら逆説的に東京の一極集中を痛感しました地方から新幹線で東京駅に降りたとします。更に東京駅から中央線か山手線に乗り換えたとします。おそらく30分電車に乗っていても風景はビルだらけです。中央線で東京から新宿まで乗っていて車窓から見える景色は膨大なビル、建物、自動車、人、看板。視界の先までそうです。東京駅周辺だけではなく広大な地域にわたって人口が密度しています。

 

昨年の大阪でも感じましたが新大阪から和歌山に向かう電車に乗っていると目に見えて人口密度が減ってくるのが見てとれるのですが、それが割と早く訪れます更に東京の郊外と言われる、例えば八王子市とか町田市、あるいは神奈川・千葉・埼玉の方だと人口密度が低くても建物が入れ替わっています。木造家屋はほとんどなく、街が変わっている様子が何となくわかるものです。人が来ない地域は昔のままの建物東京に人も資源も集中していることが普段の生活からは感じないのですが、地方に行くとよく分かるのです。


既に人口減少に転じた日本。47都道府県で人口増加している県は東京都を含めてほんのわずかと言います。沖縄県を除いて自然増加(子供が生まれることによる人口増加)ではなくどこも社会増加(転入による人口増加)だそう。人口減少問題を目の当たりにします。AIや自動化によって労働力は補うことができるようになるでしょうが、消費者がいないことには商売が立ち行かないのは自明です。外国人が嫌だとか言っていられることはなく、買ってくれる人がいなければ事業ができないのです。ネット通販があると言っても、その場でないと消費できないモノ・サービス(私のような治療院とか理髪店などは典型です)は消費者ありき。幸い私の住む新宿区は多数の人口を抱える上に外国人の受け入れも積極的、さらに子育て支援が充実した地域であるのでしばらくは人口減少の問題に直面しないでしょう。しかし今のうちから地方を参考にしておくべきだと思うのです。地方の商店街を歩いてもシャッターが閉まったアーケード街をよくみます。東京23区だって結構目にする風景です。明日は我が身と気を引き締めないと。

 

さて地方でも例外なく活気のある場所は決まっています。それは有名観光地であり、その周辺の土産物関連のお店です。今回訪れた伊勢神宮など典型的で、途中の寂れた駅が噓のように伊勢市駅(伊勢神宮外宮最寄り駅)は栄えていました。道路は舗装され参道はお店が立ち並び看板や暖簾が目に入ってきます。今年も確認しましたが、12年前鍼灸師になる直前に入った古い伊勢うどんのお店はまだありました。その当時は汲み取り式便所だったのですが、あの頃と特に変わった様子もなく駅前にありました。伊勢神宮内宮そばのおかげ横丁おはらい町も、東京でもなかなか体験できない混雑ぶり。私も一人の観光客でしたが、よく人が集まるなと感心します。土産物屋さんも飲食店も盛況です。はっきり言って東京でも同じ程度、否、もっと美味しい食事にありつけますが、ご当地の食事を食べてみようと思うものです。伊勢うどんだって東京だったらそこまでありがたみを感じないでしょう。

 

これから人口減少の時代、観光地とその関連事業というのが大きな希望だと感じています。地域住人が絶対的に減っていく以上外から人を呼ぶしかないのです。(外国人移住者を増やせばいいという議論は横に置いて)。
それは東京ローカルの私の場合にも当てはまるはずです

この東京は、人口が多くてチャンスがある代わりに競合も猛烈にいます。少しくらいお金をかけたところで目立つほど豪華なものを作るのが困難です。銀座、六本木、原宿、色々有名なエリアがありますが、そこで人通りのある路面店で構えるとしたら家賃だけでも相当な額になります。いまのあじさい鍼灸マッサージ治療院の家賃の2倍でも無理でしょう。例えそこに構えたとしても内装もそうとうお金を掛けないと街と釣り合いがとれません。競争相手が多すぎて設備面の差別化を図るには初期費用もランニングコストも相当です。都心部ではマッサージ関連の店舗ではここ数年倒産、廃業が増えているという報告があります。たくさん潰れてたくさん新規開業するのも東京の特徴とも言えるでしょう。

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院の業態は地域に根付いてコツコツ成長するいわば農耕型経営。そのために地方都市の焦点を参考にする方が、一等地の流行っている競合を研究するよりも効率が良い。人口減少がはっきり表に現れ始めている地方都市から分かることは、観光地が人を呼び関連する商店が元気にしている。そう考えるとやはり地域で一番の観光エリアとなる神楽坂と連携できる方法が最適解なように思うのです。神楽坂には外から人がたくさん訪れますが住む人も多い地元民も観光客も両方がいます。

 

今後10年、15年先を見据えて地方をから読み取れることを考えて院経営、運営に活かしていこうと考えています。今後も折を見て遠出してその土地に雰囲気を感じつつヒントになるものを得ていきたいものです。

 

甲野 功

 

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