開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
当院はあまり美容に力を入れていませんが、美容コースが開院当初からあります。これは社交ダンス愛好家や競技ダンス選手向けに用意しているものなので一般の方に広く勧めることはしてきませんでした。
そのため美容に関する施術をする機会が少ないため、技術が鈍ることを懸念しています。たまには実践経験を積んでおかないといけないなと思っていました。それに容姿に関わることである以上、見た目に変化が出る様子を残しておきたいと考えました。
臨床現場では「症例報告」というものがあり、必要な患者さん情報を開示しつつどのような施術行為(鍼灸なり、按摩指圧なり、運動療法なり、など)をした結果、どのような結果になったのかを記すことがあります。
美容であればそれがビジュアル的に分かりやすいかと考え、フリーピラティスインストラクターのRYOさんに協力してもらい、私の美容施術を体験していだきました。RYOさんに時系列で画像を残してもらい、私が何をしたのかと被験者の感想を踏まえて記録しておくことにします。
まず記載方法として以下の項目を踏まえています。
・被験者であるRYOさんの承諾を得ています。
・写真撮影はRYOさん所有のスマートフォンで、RYOさん自らが行いました。一切、術者である私は触れておりません。
・時間経過が分かるようにデジタル電波時計を横にして撮影をしています。
・画像はRYOさんがInstagramに投稿しフォロワーさんに向けたコメントを入れたものになっております。
・RYOさんから施術料金を頂いていないですし、私の方からもRYOさんに報酬を渡していませんので金品のやり取りはありません。
・RYOさんの個人情報を、出せる範囲で記載しております。
それでは以下に症例報告に近い形で記載します。
★は術者である私の意見。
●は被験者であるRYOさんのコメント。
◆は施術内容になっております。
日時:2019年6月14日 9:50~12:00
場所:あじさい鍼灸マッサージ治療院
被験者:RYOさん(ピラティスインストラクター)
被験者情報:20代女性。仕事上のストレスがある。当日はとても疲れがたまっている。目のクマとフェイスラインが気になっている。少し前にギックリ背中というか、急激に背中が痛くなってそれが最近おさまった感じ。
検査所見:
★甲野主観
<見るからに疲れている様子。すっぴんということもあるが肌が青白い。目のクマが目立つ。
脈が弱く遅い。お腹に力がない。舌は少し膨らんでいて色がやや薄い。背中の皮膚が荒れている個所がある。肩背中が張っている(筋緊張が認められる)。
見立てとして、心身に疲労が溜まっている、東洋医学的に気虚血虚状態。>
施術方針:まず全体の気血を整える全身調整を行い、その後で顔へアプローチを行う。全身調整には経絡治療の本治法を行う。その後首から下の部分から顔のリフトアップ、肌質改善を狙う。
9:55 立位での撮影(※立った状態と寝た状態では重力の関係で印象が変わる)
●RYOさんコメント「早起きが苦手過ぎて、生気もなく顔色も悪い。血の気がない。」
◆施術1:全身調整
仰向け(背臥位)にて手足、お腹を触って身体の状態を触知(切経)しつつ筋肉を刺激して緊張を緩める。
お腹(中脘、天枢、関元)、手首(内関)、頭頂部(百会)、足首(太渓)、足の甲(太衝)に寸3-1番(長さ40㎜太さ0.16㎜)の鍼(山正製ディスポーザル:使い捨て鍼)を刺してそのままにしておく(置鍼)。お腹、肘から下(前腕部)、膝から下(下腿前面)で皮膚に力が無く窪んだ(虚している)部分に台座灸(長正灸)を置く。頭部にステンレス製鍉鍼(ていしん:刺さない鍼)を当てて刺激する。
その後、うつ伏せ(伏臥位)になってもらい、肩、背中、腰、足を触って状態を確認しつつ筋肉を緩めるように刺激をする(切経と按摩、指圧手技)。
肩背中に反応がある場所に鍼先で触れる(接触鍼)のと鍼先で突っつく(散鍼)。同様に腰、ふくらはぎ(下腿後面)を鍼で刺激し、台座灸をする。灸をしている間に頭の後ろにステンレス鍉鍼で軽く刺激を与える。
★甲野主観
<若いので身体は比較的元気。仕事柄運動不足ではないです。精神的なストレスがあるようで、会話をすることで少し吐き出させられたかと思います。>
◆施術2:身体の緊張を取る
仰向けで手足をもって左右前後上下に揺らす(操体法の一種)。両足首を持って横に揺らす(振戦法)。肩甲骨の際に下から指を入れて被験者の腕を回して肩甲骨が動くようにする。肩周りを揉んで(揉捏)、緊張を取り除くように試みる。
★甲野主観
<主に全身の筋緊張を解す目的で揺らす手技を行います。肩甲骨周りが張っていると顔がたるみやすいので肩回りが無理なく緩むようにしました。>
◆施術3:顔の按摩指圧(いわゆるマッサージ)
顔を指で揉む(揉捏)、押す(指圧)。顎のライン、頬骨の部分、耳、前頭部、眉毛、頭皮、首回りなどに行う。
仰向けでの撮影(マッサージの様子)
●RYOさんコメント「国家資格であるあんまマッサージ指圧師さんによるマッサージ。めっちゃ気持ち良い。体調で気になるところもここで相談しながら良くしていただいた・・・」
★甲野主観
<主にリフトアップを目的に手技を行います。リラックスできた状態で触ったのでやりやすかったです。>
10:40 マッサージ後の撮影(仰向け)
●RYOさんコメント「マッサージで既に整い始める。プロってすごいですね。 時々、向かって左目が暗いのはカメラの都合です・・・ これは向かって、右目が暗いですね・・・」
◆施術4:かっさ
鍉鍼の原型という説もある「かっさ」。牛の角や水晶などから作られるそうです。手よりも顔の皮膚に馴染ませてリフトアップ効果を狙います。
仰向けでの撮影(かっさ中)
●RYOさんコメント「リンパの流れなどが良くできるらしいです。気持ち良いです。」
★甲野主観
<かっさは指で行うより広い面で皮膚を引き上げることができる。顎のラインや頬骨など顔の形状によって当てる場所を変えていきます。>
10:59 仰向けでの撮影(マッサージ、かっさ後)
●RYOさんコメント「フェイスラインが整ってきました!。」
★甲野主観
<皮膚に刺す鍼(毫鍼)を使わなくともリフトアップはある程度できます。人にもよりますが。RYOさんは少し顎のラインに左右差があり、そこがどうしても残ってしまいました。>
◆施術5:鍼
セイリン社製の美容用の毫鍼02番(長さ15㎜太さ0.12㎜)、03番(長さ15㎜太さ0.10㎜)を使用。画像には映っていないが同じくセイリン社製のパイオネックス(円皮鍼の一種)も使用。刺す場所、本数は相手の状態によって変えていくのでいつも同じではないですが、概ね同じような場所に刺します。
刺した状態で10分ほどそのままにしておきました(置鍼)。置鍼時間はそれまで仰向けになっている時間が長かったので被験者の状態を考慮した時間です。鍼だけですと15分は置鍼します。
なお刺し方は新宿御苑のコウ鍼灸院堀口先生のやり方を採用しております。
置鍼中は下肢(太もも、ふくらはぎ)に指圧を行います。顔や頭に刺激を与え続けていると血が上りのぼせたり、内出血しやすくなったりするので足の方にも血流が行くようにして予防し、意識が顔に行きすぎないように留意します。
11:24 仰向けでの撮影(鍼)
●RYOさんコメント「メーカーで一番細い鍼(はり)だそうです。頭のツボと、顔の悩みに応じて打ってもらいます。痛くないのでご安心を。このまま少し時間をおいて効果が出るようにするそうです。その間も足のマッサージとかをしていただきました。」
★甲野主観
<顔に刺す鍼はとても繊細で注意が必要です。刺し方も美容鍼だけのやり方をしています。内出血を起こさないように細心の注意を払います。>
11:36 仰向けでの撮影(鍼後)
●RYOさんコメント「もちろん無加工(明るさ調整のために、フィルターのみ使用)顔の中心周りが整ってシュッ!となります。」
★甲野主観
<鍼を使うと肌質が徒手施術より変わります。もちろん人によるので絶対ではありませんが、だいたい色が白くなり血色が良くなります。>
◆施術6:オイルマッサージとアイシング
椿油を用いた顔のオイルマッサージ(あん摩マッサージ指圧師がいう本来のマッサージ)を行います。やわらかい当たりで静脈、リンパを流す目的です。それと鍼を抜いた後の皮膚を和らげる効果を期待しています。後揉撚(こうじゅうねん)という鍼を抜いた後に行う手技の役割も。
最後に目の周りを冷やしたステンレス製のスプーンを当てて冷やします。血管を引き締めて目元をはっきりさせる効果を狙っています。横になって眠くなっている頭と体を起こす意味もあります。
11:39 立位での撮影(完了)
●RYOさんコメント「終わり!立ってみると印象が変わります!フェイスラインがシュッとした!目の二重ラインが整った!すっぴんなのに顔色が滅茶苦茶に良くなる!!(嬉しい)」
★甲野主観
<RYOさんのコメントにある通り、寝ている状態と立ち上がった状態とでは顔の感じが変わります。かかる重力方向が変わるため。顎のラインがもう少し整ってほしいというのがやり終えた感想です。>
前半は体調調整のために伝統的な鍼灸技法を用いました。後半は美顔目的のマッサージと鍼。本業が鍼灸、マッサージ師であり美容が第一ではありませんので、健康になることを主眼に置くようにしています。
私の美容鍼の先生である堀口先生の言葉に「首から下(へのアプローチ)でどれだけできるかがポイント」というものがあります。顔に触る前にしっかりと全身をみなさいということ。その意識を持つように心がけています。
今回初めて一連の施術を言葉におこして画像を付けてみました。文章にまとめるにあたって頭を整理することになり良い経験になりました。なかなか守秘義務もありますし、客観的な画像を撮ることは困難なのですが、一つの資料として挑戦しました。
ご協力いただいたRYOさんに感謝申し上げます。
甲野 功
追記:頂いた画像を連続掲載しておきます。
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