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~技術営業~

日進医療器株式会社 鍼灸・柔整部
日進医療器株式会社の営業担当さんと

 

先週の土曜日、日進医療器株式会社鍼灸・柔整部営業担当飛坂さんが当院に「らくらく灸」の製品サンプルを届けてくれました。


日進医療器さんはユニコというブランドを持っていて鍼灸用品を製造販売しています。鍼灸用品だけを取り扱っているわけではありませんが、鍼灸師業界では会社名より「ユニコ」の方が知れ渡っているのです。

 

 

私は本当に営業担当という人種が嫌いで普段は絶対に院内に入れません

 

開業当初は誰も来ない不安から飛び込み営業を院内で話を聞いたことが何件かありましたが、どれも非常に失敗したと後悔するものばかりでした。

詐欺みたいなサイトに無料掲載する話(結局サイト自体が無くなる)、

これから流行るというアプリケーション(全く世間に浸透しなかった、売り上げに貢献するよりも月々の使用料が遥かに高くついた)、

その提案は魅力が無いから断ったらつらつらと不平不満をこぼす営業(目の前で会社に電話して、この人頭がおかしくて話になりませんよ、と上司に報告する)。
日々かかってくるマナーがなっていない営業電話の数々。

とにかく会わせろしか言わない。

Googleの名前を語る(もちろんGoogle関連会社ではない)。

既に約束を取り付けたと平気で嘘をつく。

一度かかってきて取り扱わないと迷惑電話にアドレス登録した数は150件を超えてしまいました。


実際に営業を生業にしていく方には申し訳ないのですが、本当に嫌いです。

 

嫌いな大きな理由は2つあります。

会社員時代に生命保険会社の職場に押し掛ける営業に辟易とし、本当にうるさいので仕方なく契約するものちに勝手に契約内容を改竄されて、ひどい目に遭ったこと。その会社員時代、半導体商社勤務等宇治の苦い経験。

商社時代はストレスで免疫力が低下したのか予防接種の効果がなくなったようで、24歳で麻疹にかかり死に掛けました。皮肉にもこの経験が脱サラを決意させて今の職業に就く決心させました。

その後、会社員時代に入った生命保険の貯蓄掛金額をこちらが納得しないまま専門用語でよく分からないまま契約改変させられました。数年後、あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業し経営者の立場になってから、自信のお金の流れを全て洗い出した際に気付きました。経営の勉強をしてやっと気づきましたが、雇われの身だったらずっとそのままだったでしょう。

 

専門側からすると素人・一般人を言いくるめるのは容易い

そのことは私自身、職業上よく分かっています。

こちらの利益のために患者さんの不利益になるように誘導する・言いくるめることは絶対にしないと決意したものでした

 

そのような私ですがユニコの方々、日進医療器さんの営業担当は信用して院内にあげます。他のメーカーや営業さんはよほどのことがない限りしません。

それは次村さんの存在が大きいのです。彼は専門学校の行事や学術大会といった大きなイベントだけでなく小さな小さなイベントにもフットワーク軽く足を運んで鍼灸師たちの信頼を構築してきのです。日進医療器は大阪の会社で東京事務所はありません。大阪から訪れるのです。遠方からやって来るからという贔屓は一切なく(なんせ営業担当が嫌いですから)人柄(次村さん)を信じるので会社(日進医療器さん)も信じるというのが本音です。

 

そのような中、初めてお会いする飛坂さんは、私たちと同じく鍼灸師免許を持っている方。つまり同じように3年間鍼灸師になるための勉強をし、厚生労働省の国家試験をパスしてきたわけです。その事実だけでも大いに親近感がわくわけです。


初対面でしたが色々情報交換をすることとなり、話の流れから受けたことが無いというリフレクソロジーや按摩の手技を受けてもらうことになりました。
話をしてみて実感したのは、当たり前のことですが、鍼灸のことが分かっているな、ということ。術者の経験があるし勉強してきたことなので、話が早いのです。話の肝がわかるというか。


私が
このタイプの鍼とこのタイプでは何が違うのか?
他社のこれはどうなっているの?
デメリットは?
と聞くと、飛坂さんはきちんと答えてくれますし、質問内容の裏の意図も汲み取ってくれます。
なおかつ、院内にあった他社製品をみて
結構、内径が狭いですね
これだと〇〇社の鍼は対応できないのですか?
など反対に質問されました。鍼灸師同士の会話になるわけです。

 

このように営業担当だけれども技術を有しているというのは素晴らしい武器で日進医療器さんは良いスタッフがいるなと思いました

それと同時に私自身の過去を思い返すことになりました。

 

私は大学卒業後に半導体商社に就職し技術営業部門に配属されました。
そこは商社ですから物流が主の会社でしたが、自社で半導体製品の開発も行っています。私は技術部門希望で入りましたが、実際に配属されたのは営業も行う部署になったわけです。元々理科系の大学で半導体の研究をしていたところから、営業の仕事をするというのが嫌だなあという気持ちでした。

 

営業の仕事は大きく価格管理と物流(納期)管理があります。製品をどの価格でどれくらい売るかが一番重要ですが、納期通りに製品を納めることも大切です。半導体は業界で「ネジクギ物」と言われ家を建てるのにネジや釘(クギ)が絶対に必要なように半導体は基本的なパーツになります。そのためメーカーが製品化を決定し生産ラインが動き始めないと半導体は売れませんし、ラインが動き出したら常に足りなくないように供給しないといけません。一般の営業担当は価格交渉と、半導体メーカーとの間に入って安定供給を保つ、が主な業務になります。

 

前提として取引先のメーカーが製品化しないと半導体は売れないわけですから、扱う半導体が希望する製品に見合ったものだと採用されないと購入に至りません。そのため開発段階から話を聞いてスペックがあう半導体製品を提案しないといけません。この技術面を、主に文系出身の営業担当はできないため、理系出身社員の技術部門がカバーすることになります。

 

私が配属されていたのはマイクロコンピューター(マイコン)の部署でした。
マイコンという製品(ハード)はプログラム(ソフト)を作成して記憶させないと役に立ちません。製品開発においてソフト開発も必須。ソフトが完成しないと製品化されませんからその段階からサポートすることになります(なお2000年から2002年くらいの話ですので今は状況が違うでしょうが。)

 

そこであったのは営業担当の無責任な口約束ばかり。大丈夫、大丈夫と交渉で大口を叩いて技術的な裏付けがありません。製造する技術面は「わかないからよろしくね」と放棄してしまうので、後で取引先の開発担当とうちのグループでやり取りをします。
価格交渉と納期管理しか頭になく扱う製品のことも大して勉強しない。難しいことは理系出身の技術がやってくれるでしょう、という態度がありありとしていました。確かに電気工学どころか物理も勉強してこなかった人間に理解しろというのは無理がある話ですが、あまり無関心。

 

私は色々な営業担当から仕事を押し付けられ完全に許容量を超えてしまっていました。片付けても片付けても依頼が舞い込むのですから。それでいて契約達成して利益が出た場合はその営業担当の手柄です。うちのマイコングループは、同じ仕事をしているのに面倒ごとは全て押し付けるというその態度のため、営業部門と軋轢が生まれていました。後にマイコングループの長が心身の疲労で1週間リフレッシュ休暇をとることになり入社3年目の私が一時的にリーダーになってしまいます。そしてその時期に麻疹にかかって私自身がグループ長と入れ替わるように2週間近く欠勤することになるという始末。

 

技術が分かるからこそ苦しんだ20代前半の記憶。業種は違うのですが飛坂さんと話をしていて思い出しました。


お客の立場になると技術が分かる営業さんはどれだけ貴重なのか。私ももっと誇りが持てる仕事があの頃できたのではないかと。次村さんのときも思いましたが、私よりずっと若い鍼灸師免許持ちの営業担当さんと接していて過去を悔やむ気持ちが生まれます。

 

彼女は鍼灸師の立場としてリサーチをしていました。私の運営方法や方針を聞いてきて「関西では見かけないやり方です」とうちの販促アイテムを持ち帰っていました。また私が柔道整復師も持っていると知りテーピングのことや業界状況にも質問してきて、術者目線を持っていることが垣間見えました。

 

ああ、この人は違うなと心の中でつぶやきました。


これなら、「このような製品があるといいな」という希望を話しやすい。意図を正確にくみ取ってくれるだろうから。
繰り返しますが良いスタッフが日進医療器にいるなと思います。

 

製品の専門知識がある営業担当は貴重でお客の立場からすると、とても助かります。かつてマイコンの技術営業だった私にはただただ苦しくてなかなかやりがいを見いだせないものでした。飛坂さんと話をして少しだけ過去の自分に誇りが持てた気がします。

 

甲野 功

 

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