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最近読んだ本がこちら。
<テクノロジー 見るだけノート 監修 山形浩生・安田洋祐 宝島社>
「見るだけノートシリーズ」。このシリーズはこれまでに様々なジャンルが出ています。主に経済活動に関するビジネス書籍なのですが、たまに世界史とか世界の名著といったジャンルも取り扱います。書店を訪れて新刊が出るとだいたい手に取り、良さそうならば購入しています。
今回の「見るだけノート」は“テクノロジー”。
最先端技術がどのようなものかを広く浅く紹介しています。その内容に驚きました。人類はここまで来ているのか!という内容でした。
本書の章分けは
1.宇宙ビジネス
2.AIとビッグデータ
3.モビリティ
4.テクノロジーと暮らし
5.戦争とテクノロジー
6.食テック
7.医療技術
8.人体拡張技術
9.小売りと製造業のテクノロジー
となっています。
どの項目も驚く内容でしたが、特に<戦争とテクノロジー>、<宇宙ビジネス>の2つは新時代の戦争を予感させるものでした。既に陸海空から宇宙まで戦闘範囲を広げている軍事。そして最先端戦争兵器の実力。
ちょうどこの文章を書いているのは8月15日。日本が終戦した日です。ある意味で原子爆弾を超える兵器が着々と開発されていることを知りました。
そのこととは別に、私の本業に関わる点で避けて通れないのが<医療技術>と<人体拡張技術>の章でした。私が普段仕事としている鍼灸、あん摩マッサージ指圧の根底が覆されるかもしれません。
経済分野にはPEST分析というものがあります。これは企業が外部環境についてマクロな視点で分析する(言い換えると世の中の動きもしくは環境を分析する)ために用いられるものです。
PESTは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(テクノロジー)の英単語の頭文字をとっています。この4つの視点から分析するものです。
政治、経済、社会の具体的な項目を挙げるとこのようなものが当てはまります。
P:Politics(政治)
各国の政治制度、国内・海外の政治勢力図、法律・法改正、治安維持・国防の取り組み、国民の政治関心(投票状況、デモ等)など。
今ですと香港のデモや韓国との関係がまさに当たります。
E:Economy(経済)
国内・世界の経済活動状況、産業の台頭と衰退、消費者心理、物価、消費動向、為替・株価・金利動向など。
10月に予定されている消費税増税が分かりやすい。
S:Society(社会)
国内・海外の人口動態、世論トレンド、流行、各国・各地域の文化的特性(言語・宗教等)など。
少子高齢化や外国人受け入れなどが当てはまるでしょう。
そしてT:テクノロジーが来るのです。
テクノロジーの変化は大きな社会変化を促す要因です。最近で言えばAIや3Dプリンターの登場で大きく仕事内容が変わってくることは間違いありません。
マンガ「ドラゴン桜」、「アルキメデスの大戦」の作者である三田紀房氏はある作品内で「これからの革命は武力でなく、技術革新で起こす。そう一般人が革命を起こす。」といった内容を登場人物に語らせています。
実際に近年のクーデターや革命、例えばアラブの春、はFacebookをはじめとしたSNSの存在が注目されています。SNSというテクノロジーが無ければ実現しなかったであろうと。
画期的な技術が現れば政治、経済、そして社会通念すら変えてしまう可能性があります。そういった意味で本書の枕詞が<これからのビジネスマンに絶対必要な教養>とあるのも過剰表現ではないでしょう。
ではテクノロジーの変化が鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師にどのような影響を与えるでしょうか。極端な答えは、その存在を消し去る可能性があると言えます。
病気を遺伝子レベルから組み替えて治療する。臓器を再生させて取り換えてしまう。難病と言われる概念を消し去る可能性があるのです。鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師というよりも医療そのものを変えてしまう。大多数の医師が要らなくなるような未来がこれから起きるかもしれません。
また網膜にモニターを内蔵する。記憶を外部媒体に記憶する。情報をDNAで記憶する。このようなまさにSFの世界に現実味を帯びてくる技術が研究されています。将来、人間は人体を捨てて機械と融合し記憶(人格)は永久に生き残る。そのようなことが実現可能になるかもしれない。
そうなったら人体に刺激を与える鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師はその技術を必要しなくなるでしょう。
更に記憶や技術を簡単に他人に記憶できる(インプットする)ようになれば資格免許という概念も消えるかもしれません。今最低3年間勉強し技術習得に励んで国家試験に合格して得られる免許ですが、誰でもできるようになりその価値はなくなることが予想できます。
他の項目でも直接的、間接的に影響を受ける新技術が多数掲載していました。将来のテクノロジー(技術)の発展により生業がどのようになるのかをよく考える必要があります。もちろん鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師に限らず他業種においても。テクノロジーにより世界が変わったときに、どのように変化していくのか。
今、私が考えているのは
鍼灸刺激、あん摩マッサージ指圧刺激はテクノロジーによって代替できても、
鍼灸術、あん摩マッサージ指圧術は真似できないのでは?
という(ある意味、楽観的な)予測です。
以前読んだWEBメディア「ハリトヒト。」の松田先生インタビューで考えがまとまった、鍼灸術と鍼灸刺激は別物という概念。機械的刺激と対人コミュニケーションを伴ったものは別である(別だと考える)。
既にAIでマッサージロボットに技術を教育させる研究は始まっています。そこに違いを見出すならば人格や体温、性格、といった人間味ではないだろうか。
あらゆることがオートメーション化したとしたら、逆説的に人間味のある体験に価値が生まれるのではないでしょうか。現時点でも世間は「モノからコトへ」と、商品を消費することから体験することへ重要度が移っているといわれています。テクノロジーの進化が何をもたらすのかを考えながら、10年・20年先の自身の身の振り方も考えておくようにしています。
甲野 功
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