開院時間
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8月16日に日帰りで単身京都に行ってきました。偶然にもその日は京都五山送り火の日。京都ではこの日までがお盆になるそうです。昨年に続いて真夏の京都行きを決意したのは、大学の後輩が独立してダンススタジオを立ち上げたことを知ったからでした。昨年の京都訪問は京都にいる後輩に会うことが大きな目的でした。翌年に自分たちでスタジオを構えることになるとは。
5月のオープンには、ちょうどうちと同じ開業時期で、お祝いの紫陽花を送らせてもらいました。お盆休みで妻子が実家に帰る期間を狙って、現地までお祝いしにいこうと考えました。しかし、その時期はお盆。私の都合がよい日程は全て、向こうのお盆休みで田舎に帰っているということでした。それは仕方ないのでせめて新スタジオの場所まで行こうと思いました。ダンススタジオはそれなりの広さが必要ですから内装費にテナント料など、決して気軽に手を出せるものではありません。箱を持つというのはそれだけ大変なことです。本人たちには会えなくとも実際にスタジオを見て感慨深いものがありました。頑張ってもらいたいものです。もちろん、不在のスタジオを訪れるためだけに京都まで行ってきたわけではありません。他には2名の鍼灸師に会うことと京都を探索することが目的でした。鍼灸師に会った件はまた別に書きます。
今回は京都を訪れた感想や気づいたことを書いていきます。台風10号の進路が気になった今回の京都訪問。当日は朝方は強い雨が降っていたようです。始発の東京発新幹線に乗りJR京都駅に着いたのが8時過ぎ。まだやや雨が降り、風が強かったです。鴨川がここまで濁って流れが速い姿は初めて見ました。京都に住む人が言うには、京都にはあまり台風が来ない、と。だいたい直撃をせず逸れていくのだそうです。学生時代に大型台風で学校は休校になると期待したのにいつも影響なく普段授業だったと、嘆いたという話を聞きました。別の人からも京都は守られているのか台風被害が少ないのです、と言われたことも。
そう、京都は守られている。平安京を作る際に呪術的な守りを考慮して作られたと言います。私が京都に行くことを知り、知り合いの鍼灸師が本を貸してくれました。「陰陽五行で京都を巡ろう 中根一著」著者の中根先生は業界で有名な鍼灸師。お会いしたことはありませんが以前からお名前はよく耳にしてきました。京都の街並みを作る際に参考にしている理論は伝統的東洋医学の根底にあるものと同じです。それがタイトルにもありますが陰陽五行。正確には陰陽論と五行説が組み合わさったものです。今回の京都行きでは東洋医学概論で必ず習う五行を京都の町つくりに活用した実例を見ておく目的もありました。
五行は木・火・土・金・水の5つの要素。それに方角を当てはめるとそれぞれ東・西・中央・南・北となります。京都もこのようにエリアごとに木・火・土・金・水に分けて体質ごとに巡るルートを考えてみましょうというのが中根先生の本による提案。私は神社仏閣巡りが好きですので、エリアごとに五行と関連を考えてみようと各エリアを回ってみました。具体的にどこに行ったのかはまた別の機会に。
それにしても京都は神社やお寺が多いこと。本当に町中にあるという感じ。実際にコンビニエンスストアより数が多いそうです。千年の都と言われ長らく日本の中心だった京都。なお我が国では天皇陛下が遷都宣言をしないと都(首都)にならないとされており、明治天皇は正式な遷都宣言をしていないから今でも日本の首都は京都であると考えるひとがいるそうです。冗談半分かもしれませんが、これだけ長きに渡って栄えている場所。東京は徳川家康が来るまでは湿地だらけだったそうで、やはり都市づくりに五行を含めた呪術的な結界をしいたとか。京都にしろ東京にしろ何かあるのでしょう。基本知識でありながら実際には臨床における活用方法がちょっと分かりづらい陰陽五行。町づくりとして形に残っている京都を巡ることは見聞を広める成果がありました。
もう一つ肌で感じておきたかったことがインバウンド。つまり海外観光客です。京都は世界レベルで外国人観光客に人気の都市。昨年もそうでしたが今年の京都にも大勢の観光客と思われる外国人を見かけました。果たしてその理由は何なのだろうか。疑問です。夏の京都は暑すぎて行くのは控えなさいと言われたくらい蒸し暑いのです。台風のこともありずっと京都の天気をチェックしていましたが最近では最高気温38℃、湿度80%という想像以上に厳しい数字が出ていました。完全に外出するのが危険なレベルです。今回は台風が去った影響で風が強く曇りが多かったのでまだ助かりましたが、最高気温は33℃くらいになりました。汗だくになることを想定してシャツもズボンも下着に至るまで替えを持参しました。日帰りなのに。それくらい過酷な環境でも大勢の外国人観光客がいるのです。無理にこれだけ不快指数が高い時期に来なくても?という疑問があります。例にもれず暑さそうにしていましたし。
日本は国力が落ちて円が相対的に安くなったから観光客が来ているだけだ、という意見があります。決して魅力があるわけではないという。しかし経済大国・世界2位だった時代に比べて安くなったでしょうが、今でも決して物価が安いとは言えないでしょう。他の東南アジアの国々の方がまだ安くモノやサービスを受けることができるはず。反対に日本の有名観光地に海外富裕層向けの高級ホテルがどんどんできました。安いから人気というのは無理があるのではないでしょうか。
やはり京都が海外観光客を惹きつけるのは文化であるのではないでしょうか。数百年前からある古都。各地で見ることができなくなった伝統的な家屋。風習、料理。なんでも最先端が揃う東京との違いがそこにあるのではないでしょうか。京都では伏見稲荷大社が一番人気だと言います。あの朱色の鳥居が無数に並び通路、迷路のようになる光景は理屈抜きに面白い。しかし一見地味に見えるような神社やお寺にもたくさんの外国人観光客がいます。普段東京都に住み、日常的に新宿駅を利用しますが、新宿にいる外国人観光客と京都を巡る外国人観光客とは少し雰囲気の違いを感じるのです。新宿にいる方々は「便利」とか「ショッピング」といったものを求めている、楽しんでいるように見えて、京都にいる方々は「日本らしさ」、「伝統文化」を求めているように感じました。
京都の町中を歩いているとある外国人観光客に呼び止められて「Imperial palace?」と尋ねられました。皇族の王宮?ああ京都御所のことか、と分かって教えました。延々と続く京都御所の外壁の前を歩いていたのですぐにピンときました。しかし京都御所に興味があるのか、という感想です。私ならば観光するモチベーションが低いところだったので意外に思いました。わざわざ見に行きたいのかと。
京都の人気は将来の本業に参考になります。人口が減ることが分かり切っている日本で仕事をするならば外国人観光客のことを考えなければなりません。以前から鍼灸マッサージの治療と観光はセットにならないかと思案しています。足りなくなった労働力はAIやオートメーション化で賄うとしても消費者がいなければ商売になりません。通販ができない私の本業では人がいなければどうにもなりません。他地域から人が訪れる環境が必要です。外国人に治療をせずとも、観光業が盛んになればそこで働く人も増えるので地域に人が増えるわけです。私の住む地域にはDNP(大日本印刷)が構えていますが、大企業に頼るのも難しくなることでしょう。誰もが来てみたいと思わせる魅力的な街、エリアにすることが生き残る道だと感じています。そういったことを地方の(地方に限らずですが)有名観光地を訪れて肌で感じるようにしています。
昔から人為的に守られた都市京都。世界的人気観光都市である京都。将来を見据えてフィールドワークをしてきました。
甲野 功
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