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~経済産業省のことを話題にした~

週プレNEWSより
週プレNEWSより

 

前回のブログで触れた週プレNEWSの記事。

 

グレーすぎる施術でケガ人が急増中! 消費者庁も警告する「地獄マッサージ」の実態

こちらにとても重要な情報が掲載されていました。


この記事は厚生労働省認可の「あん摩マッサージ指圧師免許」を持たない、整体などの民間資格でしかないいわゆる無資格マッサージが横行している現状を警告するものになっています。そこでインタビューに答えるのが業界団体の方です。


記事を一部抜粋します。

■「国家資格の有無」という明確な線引き
生島さんのように無資格マッサージ店でケガを負う人が増えているのはなぜなのか? 日本あん摩マッサージ指圧師会会長の安田和正さんが警鐘を鳴らす。

 

「報告されている被害の99パーセントは無資格施術所によるものだと思います。あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうなどの有資格施術所がケガを負わせるケースは極めてまれですから」

 

一般的には「マッサージ」とひとくくりにされがちだが、その施術内容によって、「国家資格の有無」という明確な線引きが存在する。

 

あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうには資格制度があり、養成施設で3年以上の教育を受け、国家試験に合格しなければ施術を行なうことができないという法律があるのだ。

一方で整体、カイロプラクティック、リラクゼーションマッサージなどには法的な資格制度がない。そのため、実地経験のないアルバイトでもすぐに施術を行なうことが可能となっている。

 

「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうなどの国から認められた"プロ"の施術者と比べたら、無資格施術所の圧倒的多数の施術者が技術不足であることは否めない。資格が必要ないのだから"素人"も同然。事故の危険性も高まりますよね」(安田さん、以下同) 

 

では国家試験がなく、技術的にもばらつきが生じる無資格施術所がちまたにあふれているのはなぜか?

 

「理由は無資格施術所が増えることで経済が回るからです。経済産業省によって職業・産業分類が規定されていますが、なんと14年から、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうといった有資格の施術所と、整体、カイロプラクティック、リラクゼーションマッサージといった無資格の施術所が同じ医師福祉事業の療術業に分類されました。

 

つまり、国家資格の有無という明確な線引きがあるにもかかわらず、すべて一緒くたにされたのです。これが後押しとなり、無資格施術所が増加していきました」

 

週プレNEWSより
週プレNEWSより
週プレNEWSより
週プレNEWSより

 

 

前半部分はマッサージ業関連の現状を説明しています。それこそ私がこの業界に入った15年前から状況は変わっていません。「国家資格をもっていないけれどマッサージをする」という状況はずっとありました。

あん摩マッサージ指圧師を養成する専門学校が少ない(大部分は視覚障害者のためのもの。健常者=晴眼者が通える学校は限られており、実質増えることはない)ことと、広告規制のために世間に知られていないことが原因の一部です。

 

それよりも私が注目しているのは日本あん摩マッサージ指圧師会安田和正会長の
理由は無資格施術所が増えることで経済が回るからです。経済産業省によって職業・産業分類が規定されていますが、なんと14年から、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうといった有資格の施術所と、整体、カイロプラクティック、リラクゼーションマッサージといった無資格の施術所が同じ医師福祉事業の療術業に分類されました。

 

つまり、国家資格の有無という明確な線引きがあるにもかかわらず、すべて一緒くたにされたのです。これが後押しとなり、無資格施術所が増加していきました
というコメントです。


はっきりと経済産業省の名前を出しています。経済産業省の職業・産業区分に入ったことは業界にとって大きな出来事でした。それをはっきりとメディアに出して問題提起したことは特筆することだと私は考えています。

 

詳しく説明しますと日本標準産業分類というものがあり、日本の職業・職種を国が分類しています。それには大分類がA~Tまであり、


A:農業、林業
B:漁業
C:鉱業、採石業、砂利採取業
D:建設業
E:製造業
F:電気・ガス・熱供給・水道業
G:情報通信業
H:運輸業、郵便業
I:卸売業、小売業
J:金融業、保険業
K:不動産業、物品賃貸業
L:学術研究、専門・技術サービス業
M:宿泊業、飲食サービス業
N:生活関連サービス業、娯楽業
O:教育、学習支援業
P:医療、福祉
Q:複合サービス事業
R:サービス業(他に分類されないもの)
S:公務(他に分類されるものを除く)
T:分類不能の産業


となっています。

 

このうち今回インタビューで言っているのは大分類P:医療、福祉に関することで、大分類Pには中分類83:医療業があります。この中分類は「医師又は歯科医師等が患者に対して医業又は医業類似行為を行う事業所及びこれに直接関連するサービスを提供する事業所が分類される。」と定義されています。
中分類83の中に更に「835:療術業」があり、その中には83518359があります。

 

 

療術業の区分
835 療術業の区分

 

 

8351:あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所
あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師及び柔道整復師がその業務を行う事業所をいう。これらの者が出張のみによってその業務を行う場合も含む。あん摩業;マッサージ業;指圧業;はり業;きゅう業;柔道整復業

 

8359:その他の療術業
温熱療法,光熱療法,電気療法,刺激療法などの医業類似行為を業とする者がその業務を行う事業所をいう。これらの者が出張のみによってその業務を行う場合も含む。太陽光線療法業;温泉療法業;催眠療法業;視力回復センター;カイロプラクティック療法業;ボディケア・ハンドケア・フットケア・ヘッドセラピー・タラソテラピー(医業類似行為のもの);リフレクソロジー

 

8351は厚生労働省認可資格免許で開業権がある業種の施術所です。私の業種はこの8351に入ります。
対して8359は厚生労働省が管轄しないもの全てが入り、「いわゆる整体」と称されるものです。8351分類の人間がよく用いる無資格者というカテゴリーです。厚生労働省が管轄しない内容にもかかわらず大分類P:医療、福祉中分類83:医療業に入っているということです。

 

これはカイロプラティックなどの厚生労働省が管理していない分野も医師や看護師などの医療業と同列と判断されかねない施策で、このことを安田会長は指摘しています。

 

これまで「無資格」という形容詞は「厚生労働省認可の国家資格が無い」という意味で用いてきましたが、この職業分類に入ったことで「国に認められた」そして「国家資格と同等である」という解釈を生んだといえるでしょう。本来はサービス業に入るはずが<医療、福祉>に分類されてしまったことが問題であり、経済産業省の落ち度だと言いたいわけです。

 

厚生労働省の見解は知りませんが、末端で働く国家資格免許者は正直迷惑な話です。

 

例えるならば塾講師は文部科学省管轄の小学校教員と同等に扱われるような。大学の教育学部を出て試験に通らないと小学校教諭になれませんが、「どうせ小学生に勉強を教えているから同じようなものでしょ?」と大学のアルバイト塾講師と一緒にするようなもの。小学校教諭側からすれば一緒にされたくないでしょうし、塾講師からすれば小学校の先生ほどの責任を負う気もないでしょう。

 

外から見れば同じようなものも、現場からすれば大きく異なること。経済産業省の行ったことは無資格マッサージに拍車をかける結果を招いたと言っているのです。公のメディアにはっきりと経済産業省の名前を出したのを私は初めて目にしました。知っている人は知っているという内容だったので。マッサージを利用する方にはどうでもいいことかもしれませんが、健康被害を受けるのは利用者本人です。

 

 

私の意見はリラクゼーション業はリラクゼーション業で構わないと考えています。エステや癒しを否定しません。しかし医療知識も責任もないのに健康にする、病気を治すといった宣伝文句を謳って利用者を勘違いさせることはあってはならないことだと思うのです。


質のよいお客さんを集めるために健康や医療を匂わすやり方をする無資格マッサージの方々には、本当にそれでよいのかと問いたいです。経済産業省の区分では医療だからといって、誇大広告をうつのは問題です。


そして厚生労働省の管轄外ということで法律(あはき法や医療法)が適応されず規制されない状況です。言ったもの勝ち、やったもの勝ちという。厚生労働省も管轄外だと無視しています(こういうところも前回の放置国家に繋がります)。


そこに消費者庁は健康被害が出ているなら国家資格の有無など関係なしに警鐘を鳴らしているというのが現在の状況となっています。

 

週プレNEWSというものを普段気に留めていなかったのですが、画期的な内容だったと個人的に評価しています。そこのところを補足説明してみました。

 

甲野 功

 

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