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~スリッパの話~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 新しいスリッパ
新しいスリッパ

 

今年も残すところ一週間を切りました。年の瀬というやつです。


当院は例年通り、年内12月30日まで開けています

 

年末のこの時期に、患者さん用のスリッパを新しくしました。開業して丸5年。当初から使用していたスリッパから新しいものに替えました。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 これまでのスリッパ
これまでのスリッパ

 

 

 

今回はスリッパにまつわる話です。

 

5年前、開業するにあたり備品を色々と揃えないといけませんでした。大きなものだと治療用のベッド。細かいものだとタオル。
その中で患者さん用のスリッパが必要だろうと治療院用品を扱うサイトから水色という理由だけで、これまでつかってきたスリッパを選択しました。いかにも病院やクリニックで使用する感じのものです。こういうのが妥当かなという気持ちがありました。

 

開業して5年。患者さんのスリッパの使い方を観察しているとなかなか面白いのです。

 

まず敢えて履かない人
これは視覚障害者であったり、バランス感覚に障害があったりとスリッパを履くことが転倒のリスクになる人は履きません。このような方には最初からスリッパを導線からどかしておきます。
これまでのスリッパは少し底が厚くてカーブがあるのでちょっと歩きづらくなります。足腰が弱った高齢者にもスリッパを勧めないで靴を脱いだ素足でおあがりくださいと言います。
若い方でもスリッパを使う習慣がないか敢えて履かないというポリシーがあるため、玄関のスリッパをスルーして中に入る方もちらほら。

 

行きは履くけど帰りは忘れていく
院に来てスリッパを履いて施術室に入ります。治療が終わります。ベッドから下りてスリッパを履かずに院を後にする。このパターンの方が結構いらっしゃいます。
ベッドに乗るときに当然ながらスリッパを脱ぐのですが、降りるときにはスリッパの存在を忘れてしまうのです。終わって気分良くなるのでしょうか。眠くなるのでしょうか。リラックスした結果だと思うのですが、本当はスリッパが必要なかったのかな、と勘ぐってしまいます。

 

施術室に入る前に脱ぐ
施術室に入るときにここでスリッパを脱ぐものだと思うようで、たまに脱いで入る方がいらっしゃいます。そのまま入っていただいて構わないのですが、自然と脱ぎます。

 

スリッパを履くというのは他人の家にお邪魔している感覚を生むのかもしれません。また以前のスリッパが履き心地が良くなかったのかもしれません。
事情は人それぞれでしょうが観察していると面白いです。

 

 

私は自宅でスリッパを使いませんが、両親は使います。両親のスリッパは結構早いスピードで傷んでいきます。
ボロボロの両親のスリッパを目にして、誕生日か父の日・母の日にスリッパをプレゼントすることにしました。倹約家の両親はスリッパにお金をかけることをしません。私もしません。


消耗品ですから自然と傷んでしまうもの。安いものを使い倒した方がお得な感じがします。そこを敢えて普段なら絶対にお金を使わないスリッパに、良いものを選んで渡そうと思ったのです。

 

以前父親へ草履で、足の裏に設置する面が畳でできているものを買ってプレゼントしたことがありました。その経験を活かして畳地のスリッパを買うことにしました。ちょうどよく近所の神楽坂に古くからあるお店で期待のスリッパがありました。購入してプレゼントしました。


今ではかなり傷んでしまいましたが、いまだに履いているスリッパ。やはりものが良いのか何となく長持ちしているような気がします。そしてプレゼントをしておいて言うのもあれですが、ちょっと羨ましいな、と思っていました。スリッパを使わないのに。

 

そこで今回、あじさい鍼灸マッサージ治療院のスリッパを新調することにしました。幸いなことに売上も伸びてきて少し利益を減らした方が好ましい状況になり、経費をかけようということに。味気なかった、そして院のイメージにあっていなかったスリッパから神楽坂のスリッパに替えることを決めたのです。

 

理想を言えば藍染のスリッパがいいのですが、なかなかありません。私はネット通販を基本的にせず、実物を見て気に入ったもの買うタイプです。藍染でなくとも素敵な色合いのスリッパがいいなと思っていました。
更に畳地のもの。院のコンセプトに「適度にダサく」というものがあり、あまりオシャレにしないようにしています。言い換えるとどこか古臭いイメージ。そこで和を感じさせる畳はイメージに合うのです。そして履いた時に畳の感触はきっと喜ばれるのではないかと想像しました。今の家はフローリングがほとんどで畳の感触を体験する機会は少ないです。スリッパと言えど畳の上を立った感じを味わえればと思うのでした。

 

神楽坂にある昔からあるお店に行ってスリッパを購入しました。サイズと色を考えて合計5足。
以前買った記憶が抜けていて、値段を見た時に躊躇しました。高い!スリッパ1足でこんなにするのか!
ちょっと買うのをやめようかと悩みましたが、利用する患者さんのためのものだから、と言い聞かせて買いました。家族経営で老夫婦が営んでいるお店なのですが、お二人の「こんなにたくさん買うの?」という表情がその値段を物語っていることでしょう。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 神楽坂で購入したスリッパ
神楽坂で購入したスリッパ

 

 

 

濃い青と濃い赤の2種類。自然と男性用、女性用と分かれると思います。これからこのスリッパがどのように使われるのかが楽しみです。

 

甲野 功

 

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