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関東鍼灸専門学校副校長である内原拓宗先生が紹介していたので読んだ本がこちらです。
最軽量のマネジメント サイボウズ取締役山田理著 サイボウズ式ブックス刊
メインタイトルの上には「マネージャーにすべてを背負わせるのはやめよう。」とあります。昨年11月に行った東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科での特別授業。内原先生と一緒に話をしたのですが、そこで「グループウェア」という言葉が出てきました。グループウェアとは?と頭の中に疑問符が。ウェアというから服のように着るものかと思ったのですが、ソフトウェアなどのウェアで、組織のコミュニケーションツールを指す用語だそうです。内原先生は身内がサイボウズという企業に就職をしたことをきっかけにサイボウズ主催のイベントに参加。企業理念や取り組みを学び感銘を受けたとのこと。当日の内原先生との会話だけでは理解しきれていないと思い、先生が紹介していた本書を購入して読むことにしました。すると、確かにこれは大切だということが山の様に書いてありました。大切というかこれからの企業に必須となる思考、手法であるといいますか。
現時点では一人で治療院を運営し、人をマネジメントすることも、業務を指示されることもありません。しかし、過去には新人会社員として一般企業で勤務していた経験、鍼灸整骨院グループで管理職をした経験、さらに一企業で働く妻の話から判断しても重要なことが載っていると思いました。過去の経験や実体験に照らし合わせながらピックアップしてみましょう。
私が一番気になったことは途中経過を公表するということです。現在のサイボウズ社の理念に「公正明大」があり、ホワイトな企業ではなくクリアーな企業を心掛けているとのこと。マネージャーが一番怖いのは途中経過を知られることだと筆者は述べます。情報統制をして立場を優位にしたいと考え、情報を小出しにしがちです。情報の差こそが優位に立てる根拠で今は若い人の方が優秀であることはままある。その結果、なぜそのような決定になるのか、そんなこと聞いていないぞ、誰が出した意見だ、と不満が生じて部下への説明や説得が困難になり任務実行に支障をきたすのです。上司だから黙って命令に従え!と上から言っても、今は社員が辞めていく時代。仕事になりません(かつてのサイボウズがこのやり方で、年間離職率28%、2週間に一度送別会が開かれていたそう)。
極力、会議内容を公表してどのような意思決定がなされたのか課程を全社に知ってもらう。可能な限り誰でも会議に参加させる。このような取組みを徹底しているというのです。こうすることで説明する手間が省ける、おかしな意見をすれば社員から突っ込みが入る、当事者意識が芽生えて仕事に真剣に取り組む、余計な稟議が必要なくなる、といった効果が得られます。経費の使い方もオープンにすることで不正利用ができなくなります。ばれるリスクが跳ね上がるからです。経理担当を抱き込めば何とかなるというわけにいかないわけです。新人社員も会議に参加できれば先輩や経営陣がどのような考え、意見でプロジェクトを発足・進行しているのか分かり勉強になるでしょう。
誰でも情報を閲覧できて意見できる。この取り組みを実現させるツールがグループウェアになるのです。メンバーが限定された密室の会議で決まったプロジェクトを嫌々やるよりもずっと効率が良い。筆者は、
『今後会社が無くなっていく方向にいく
これまで個人が企業に忠誠を誓っていたが反対に企業が個人のために動くようになる
労働人口が減って数の力が使えなくなる』
といった意見を示しています。
20年前に一般企業に就職し約3年のサラリーマンを過ごした私にはとても実感できます。10年前鍼灸整骨院グループで管理職に就いて仕事をしていた経験からも筆者が感じる悩みや問題に大いに共感できます。いま一人で開業して本書の提案が納得できます。途中経過を見せること、クリアーにすることは重要なやり方だと思うのです。反対側から考えると、途中経過をしっかりと見ることが実は大きなカギではないでしょうか。物事を判断するときに現時点の成果、結果だけに注目するだけでなく、途中経過もしっかり見据えて判断する。そう思うのです。
例えば成功している鍼灸師をみたときに、なぜ成功しているのか、それまでの途中経過はどうだったのだろうかと考えていく。単に成功者の真似をすればいいのだろうと考えるのは浅はかではないか。私自身が開業して試行錯誤しながらここまで続けており、多くの同業者を観察した結果このような考えに至りました。成功の裏にキモとなるものがあって、表に見えない。それが大切で、それまでの課程にあると分かるようになりました。〇〇というやり方で患者さんがたくさん集まっている、とします。単に〇〇を真似ても再現できません。〇〇をして成果が出せるようにキモとなる要因が隠されています。それはそれまでの経歴だったり経験だったりするのです。人知れず努力したこと、職歴、学歴、趣味嗜好、家庭環境など現在に至る途中経過を見ないと〇〇というやり方が活きてこない。そう分かりました。
私の場合、かなりブログによって集客をしています。だからといって誰もがブログを書けばうまくいくとは言えません。まずブログを書くことができない人がいます。私は卒業が日本一困難とも言われる大学を生き延び、新社会人時代に意味があるのだろうかというくらい日報、週報、議事録といったテキスト作成をした経験があるからできています。鍼灸マッサージ教員養成科で研究論文を作成したことも関係します。これまでの課程があるからできていること。反対にInstagramで集客している同業者のやり方は真似できませんでした。Instagramに馴染めず継続してやる意欲が起きないからです。
途中経過とは、過去、歴史、課程、バックボーン、といった多くのことを示していると考えます。現時点の輝きの裏にあるものをしっかり見据えることが物事の本質を得るために必要だと思うのです。また途中経過というのは軌道に乗ってきたときに、そこから更に上昇させるコンテンツだとも考えるのです。物語は過去編に人気が出るもの。少年漫画「ワンピース」だと海賊王ロジャーがどのように海賊王になったのか、四皇と称され死亡した白ひげの若かりし頃はどうだったのか、というエピソードに読者は夢中になります。映画「スターウォーズ」も第1作はストーリーの途中から始まっています。ダースベイダーがなぜダースベイダーになったのかを知るための過去に、途中戻るわけです。歴史ものの映画やドラマは結果を歴史的事実として知った上でどのようにそこに進むのかを楽しみにしています。
このことは私の本業にも言えること。ある程度治療院経営が安定してくるとそれまでの経過を出した方が良いと思うのです。昔から私を知る人はよいのですが、初めていらっしゃる患者さんはどのような人か分かりません。人づてに、ホームページをみて、来院してみようと考えたときにこれまでの経過があった方が安心するでしょう。またここ数年で知り合った人には、どのような過程でここに至ったのかを知ってもらうことでより理解が深まり共感してもらえると思うのです。
<最軽量のマネジメント>では情報がアクセスできるようにしておくことが重要だと書いています。オープンにし過ぎても情報量が膨大になって処理しきれませんよね?という疑問に、筆者はここを見ればいいと、整理しておけばいいといいます。筆者もブログを書いて取締役として会社の方針や個人の考えを示しているのですが、必ず見ろ!というスタンスではなく、何かあったらブログを参考にしてね、検索ワードに引っかかるようにしておくからね、という感じなのです。隠し事にして、この問題は誰々さんに聞かないと解決できない!という環境を無くそうという。
この考え、やり方に私は大いに共感しました。同じようにホームページにこれまでのブログをまとめて一応検索しやすくしているからです。ここ数日、私の保育園時代から高校生時代までを振り返ってきました。これは今の私がどのように成長したかを書くことで施術を受ける方に納得してもらいというものです。本書を読んで幼少期から高校までも残しておこうと思ったからです。そして記録として残しておいて、後々興味がある人が調べてもらえればいいという。反対にこれから開業しよう、何かを成し遂げようとする人も途中経過をどんどん出していくことは有利に働くことでしょう。それは個人の成長物語だからです。キングコング西野氏はそれがとても上手です。
今に至る途中経過は何があったのか。これから取り組む挑戦に対して途中経過を見せていく。途中経過を示すことはこれからのキーワードになるのではないかと<最軽量のマネジメント>を読んで思いました。
甲野 功
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