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今年は5Gの年などと言われています。
5Gとは「第5世代(5th generations)携帯電話システム」のこと。
これまでに1G(第1世代)から4G(第4世代)の携帯電話(通信)システムがあり、5Gに突入することで大きな飛躍が見込まれています。
そのことを知るために手に取ったのが、私にはお馴染みの「見るだけノート」シリーズ。
5Gビジネス見るだけノート 三瓶政一監修 宝島社
この本を読んで5Gとはどのようなものか、これからどのようなことが起きるのかを学びました。私が関わる分野も大きな変革が起きると想像しています。
まず4Gから5Gに変わると何が起きるのでしょうか。それは主に3つ。
高速・大容量 低遅延 多接続
だそうです。
圧倒的に高速かつ大容量のデータ通信が可能になり、理論上2時間の映画を3秒でダウンロードできるのだとか。格段に通信量が増えます。そのおかげで、従来あった遅延が限りなくなくなる「低遅延」が実現するといいます。更に同時にたくさんのデバイスが通信接続可能となりIoT(あらゆるモノとインターネットが繋がること)が加速するというのです。
文章にしてもどれだけ変わるのか実感がないかもしれませんが、5GはINDUSTRY4.0すなわち第4次産業革命となるというのです。
産業革命というと中世の蒸気機関の発明を発端とするものですが、現代までも段階を経て継続しているとしています。このような流れです。
INDUSTRY1.0 第1次産業革命 動力の獲得 蒸気機関・軽工業の機械化
INDUSTRY2.0 第2次産業革命 動力の革新 石油・電力など動力の革新と大量生産
INDUSTRY3.0 第3次産業革命 自動化 インターネットによる自動化と省人化
INDUSTRY4.0 第4次産業革命 自律化、相互強調 IoTやAIによる自律化と最適化
つまり5Gは産業に大規模な変化をもたらすものであるとされているのです。
当然ながら産業が変われば社会環境にも影響を受けます。ソサエティという人類が歩んだ時代の移り変わりでみればソサエティ5.0は5Gの時代だというのです。
ソサエティ1.0 狩猟の時代
ソサエティ2.0 農耕の時代
ソサエティ3.0 産業革命の時代
ソサエティ4.0 情報社会の時代
ソサエティ5.0 5Gの時代
相当な表現だと思いますが、誇大し過ぎとも言えません。現代の新三種の神器として5G、AI、4Kが挙げられており我々の生活環境を一変させる可能性を秘めていると本書はいうのです。
具体的にその変化について書いているのですが、私が注目するのは医療や介護分野。本職に関わる内容ですね。そこに注目して内容を紹介しましょう。
総務省「電波政策2020懇談会」資料より、「医療・健康・介護」への経済効果は5.5兆円と試算されています。これは1位の「交通・移動・物流」21.0兆円、2位の「工場・製造・オフィス」13.4兆円に次ぐ3位につけています。大きな経済効果が期待されているわけです。
医療分野で特に期待しているのが遠隔医療の実現です。
これまで通信システム上、遅延が生じていたため患者さんの状況変化(バイタルなど)に対応しきれなかったのが、5Gによりほぼリアルタイムで対応することができるようになると言います。これにより、遠隔手術支援といってベテラン医師が離れた手術室の手術をサポートすることや、あるいは遠隔で手術ロボットを操作して行うロボット手術の実現、現場から離れていても行えるオンライン診療といったことが期待されています。
そして大容量・高速通信により、クラウドとAIを用いて救急医療への導入が検討されています。救急搬送されている時点で身体の状態をチェックし(バイタルチェック)、意識不明であっても個人情報を照合して既往歴を自動で確認する、受け入れ先の救急医療機関に最適な状況で待ち受けてもらう指示を出す、といったことができるようになると言います。これも多接続が同時に多くの医療機器をインターネットに繋げて大容量通信でデータを各部署に通信することができるからです。
同じく介護分野に応用出来て、介護をサポートする介護ロボットの導入、少人数で安全を確保するシステムの構築ができて人出不足解消に繋がると考えられています。
なお良いことばかりではありません。
「2025年の崖」という懸念があります。これは経済産業省が2025年に起きるとさせるIT技術界の問題を指す言葉です。従来のシステムでブラックボックス化している技術が、最新のシステムと整合性が取れない時期に起きる混乱を指します。特に医療界では初期に導入したシステムに固執すると最新の医療技術と整合性が取れず、必要な情報の共有などができなくなるので問題となると言われています。
私も大学病院勤務時代にシステムを全て交換した際には大きな混乱が起きたことを忘れていません。電子カルテの互換性や医療機器の交換など医療業界が5G変換期に困難が待ち受けている可能性があります。
他にも、技術の継承について効果的な取組みが検討されています。初心者と熟練者の動きについてあらゆるデータを計測し、その違いをAIで見つけ出すリアルタイムコーチング。これにより次世代の作業者に対する教育にも利用できます。職人の作業でも医療技術でも同じでしょうが、マニュアル化できない非言語の動作やコツ、勘に頼るところをAIがチェックして、練習時に指導することができるようになります。
私の行う鍼灸、マッサージの技術についても将来的に遠隔で指導教員が指導したり、AIによる無人習得トレーニングが実現したりするかもしれません。多くの鍼灸専門学校は生徒集めに苦労しています。そして今は新型コロナウィルスによる営業があります。近い未来はサテライト授業、通信教育、遠隔地在住のまま専門学校入学可能ということになるやもしれません。
そしてロボット手術が可能になるくらいですから、無人の鍼灸施術も技術的に可能になることでしょう。5GにAIとクライドを駆使して膨大な臨床データを集積し解析、自動で行う時代が来るかもしれません。今回の新型コロナウィルスには中国では鍼灸を治療に採用していましたが、時代が進んでいれば無人で鍼灸を行う病院を作っていたことでしょう。もちろんその頃には医療従事者が陽性患者と極力会うことなく医療ができるシステムになっている前提ですが。
仮にそのような時代を迎えた場合、対人で行う鍼灸マッサージ師がどのように生き残るのか対応策を頭に片隅に入れておいて状況を見守ろうと思っています。個人的な予測は無人施術にとって代わられないと考えています。
甲野 功
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