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国や身内に大きな困難があったとき、私の父親は明治神宮にお参りに行き、お賽銭に1万円札を出すようにしています。このお参りでは自分のことをお願いすることはせずに、誰かのためにお願いするのです。これまでに2011年の東日本大震災や親類の大病を患ったときに行ってきました。今回の新型コロナウィルス流行に関しても明治神宮を訪れ、収まることを祈願したといいます。父は信心深いわけではありません。私以上に理科系で工学部で冶金を学び、エンジニア畑を渡り歩いてきました。その父が大きな困難を前にすると明治神宮へ行くのです。私も神社が好きなので気持ちが分かりますし、父親に似たのだろうと思います。なぜ明治神宮に行くのかという理由を問うのは無粋な気がして確かめていませんが、父には特別な場所なのでしょう。私も今年の3月11日に父に倣って明治神宮参拝に出向きました。
今回は明治神宮について書きます。
明治神宮は明治天皇と昭憲皇太后をお祀りする神社です。現世に生きた人物を神様として祀る神社がいくつかありますが(徳川家康を祀った日光東照宮、吉田松陰を祀った松陰神社など)、新しい方になるでしょう。JR原宿駅の目の前に作られた広大な森。あれほどの都心にありながら圧倒的な規模で鎮座しています。
東京五社というものがあります。東京五社とは、東京でも格式の高いことで選出された5つの神社を指します。それは靖国神社、明治神宮、東京大神宮、日枝神社、大國魂神社を指します。明治神宮は東京に数ある神社の中でも格式はトップクラスになります。同じ東京五社である東京大神宮が“東京のお伊勢さん”と言われていますが、伊勢神宮ほどの広さではないにしせよ明治神宮の規模は突出しています。
社殿だけでなく、聖徳記念絵画館や結婚式会場で有名な明治記念館も含むと言います。神宮外苑という地名が示す通り、明治神宮の外側も重要な施設があります。都心部でも有名な表参道も明治神宮への参道であるわけです。どれだけ明治神宮の規模が大きいか。外国人観光客でも人気の東京観光地であります。
私が明治神宮を意識したのは高校1年生の春です。おそらくそれよりも前にも行ったことはあったのでしょうが、高校入学直後の明治神宮参拝がとても印象的なのです。私は私立國學院高校を卒業しています。もちろんのことですが國學院大學の附属高校です。國學院大學はわが国でも珍しい神道の学校です。神主になるための科があります。中学生の頃、もっと言えば高校を卒業したときでも國學院大學が神道の学校とは認識していませんでした。その当時は神社のこと、神道のことなど興味がなく知らなかったのです。高校2年生から理科系コースに進学したため國學院大學のことは一層関連の無いことになってしまいました。
その國學院高校に入学して間もない頃に(入学式から1週間も経過していなかったと思います)1年生全員で明治神宮に参拝する行事がありました。國學院高校は神宮球場の目の前にあり、隣が青山高校という立地。歩いて明治神宮にいける距離にあります。私が入学した時、國學院高校の1学年は600名。1クラス50名で12組ありました。その600名の生徒が集団で歩いて明治神宮に向かうのです。竹下通りを通り過ぎ、原宿駅を越えて明治神宮へ。かなり長い高校生の列になったことでしょう。
修学旅行は人数が多すぎて学年全員でまわることができず、前半後半の300名ごとに異なったルートで巡ったほどでした。学年全員で移動するだけでも大変なことです。まして入学間もない時期で生徒同士お互いのことがよく分からない状態で。履きなれない新しい革靴で明治神宮境内の砂利道を歩くのが大変だったことを思い出します。本殿の前に600名の生徒が並び全員で参拝しました。同じ制服の男女600名が並ぶ姿が壮観だったのではないでしょうか。その頃はなぜわざわざ明治神宮に入学間もない1年生全員が参拝するのか理由が分かりませんでした。単なる学校行事の一環としてとらえていましたが、後々意味が分かってきます。明治神宮に参拝する理由を高校側から一切教えてもらった記憶がないからです。國學院大學からの流れや明治神宮の存在、高校の立地条件など複合的な意味があったのだと思っています。
明治神宮は今年鎮座百周年だそうです。全国の神社では数百年はもちろん、千年を超える歴史を持つ社も少なくありません。比較すれば100年はあまりに新しい。にもかかわらず、雄大な歴史を感じさせるのは立派な社殿とともに広大な敷地を誇るからではないでしょうか。山手線内に、しかも駅前という超一等地にあれだけの敷地を持つというのは並大抵のことではありません。ほんの数百メートル横には竹下通りや表参道があるのです。広々とした参道に豊かな自然。鬱蒼と茂る森。まさに別世界です。その森も当初は何も無かったといいます。神宮御鎮座にあたり、全国から献木されたおよそ10万本を植栽した人工林だとホームページには書かれています。人間の手で1世紀のときをかけてあれだけの森を作り上げたと思うと恐れ入ります。
境内には有料のエリアがあります。渋谷区とは思えない空間が広がっていて外国人ならずとも驚きの光景。伊勢神宮を訪れたような感覚におそわれました。そこには菖蒲園や加藤清正公が掘ったとされる清正井があります。清正井は数年前にパワースポットとして評判になり大行列ができたことがありました。実は私もそのブームに乗っかっており、この写真を携帯の待ち受けにしています。幸運が訪れているように感じています。
初詣の参拝者数は日本一。大相撲横綱の土俵入。日本有数の結婚式会場。イベントスペースとしても有名であります。父親が大切にしている明治神宮。この国難から守ってくれることを願っています。
甲野 功
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