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大手整体チェーン店、カラダファクトリーに消費者庁より課徴金納付命令が3月18日に出ました。
最近、消費者庁のいわゆる「景品表示法」違反における措置命令が増えていると感じています。
特に世界的な新型コロナウィルス流行で、あたかも新型コロナウィルスに効果があるような表現をした広告に対して警告を発しています。
先月のカラダファクトリーの場合は更に進んで課徴金、いわば罰金を課した段階になりました。そのことについて書いていきます。
<消費者庁News Release 令和2年3月18日
株式会社ファクトリージャパングループに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について>
抜粋
『
消費者庁は、本日、株式会社ファクトリージャパングループ(以下「ファクトリージャパングループ」といいます。)に対し、同社が供給する「60分全身整体」等と称する整体に係る役務の表示について、景品表示法第8条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令(別添参照)を発出しました。
』
このように消費者庁より文章が公式に出されました。どのような理由でこの命令が発生したのでしょうか。文書にはこのようにあります。抜粋して、読みやすいように改行をしました。
一部抜粋
『
⑵ 課徴金対象行為
ア 表示媒体 自社ウェブサイト
イ 課徴金対象行為をした期間 別表「課徴金対象行為をした期間」欄記載の期間
ウ 表示内容(別紙1及び別紙2)
例えば、平成30年1月1日から同年2月28日までの間、「\初めてご利用の方限定!/ 新しいカラダスタート!キャンペーン! 今なら60分全身整体 通常価格8,964円(税込)が3,980円(税込)! \さらに/
平日13時~17時ならもっとお得に!3,500円(税込)! キャンペーン期間
2月28日(水)まで」等と表示するなど、別表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を初めて利用する者又は1年以上利用していない者(以下「初回利用者等」という。)が本件役務を利用する場合には、同欄記載の各期限までに限り、同欄記載の割引価格(以下「初回利用者等割引価格」という。)が適用されるかのように表示していた。
エ 実際 初回利用者等が本件役務及びこれと同等の役務を利用する場合には、平成30年1月1日から同年5月31日までの間において、初回利用者等割引価格が適用されるものであった。
』
どういうことかというと、ある期間(1月1日~2月28日まで)割引料金で行うキャンペーンをすると告知していたものの、実際には延長した期間(1月1日~5月31日まで)そのキャンペーンが適応されていた、というものです。
個人的な感想ですが、これだけのことで課徴金納付命令が出されたのか?という疑問です。利用者としては割引期間が告知されていたものより長かったということです。それがそこまで罰せられることなのか、と。
確かに2月28日までだと急いで来店した人にとっては、実は5月中までできました、というのは納得いかないことかもしれません。ですが<初めてご利用の方限定>と一回きりとしているのでさほど利用者の不利にならないように思うのですが。
そして媒体が自社ウェブサイトであることも注目です。比較的簡単に表示を出せますし、もちろん消すことも可能です。見張っていなければ気付かないで終わることでしょう。
この課徴金納付命令には前段階があります。昨年10月9日には同じく、キャンペーン期間に関する内容で措置命令が出ています。措置命令は周知徹底と再発防止を促す警告のようなものです。
<消費者庁News Release 令和元年10月9日
株式会社ファクトリージャパングループに対する景品表示法に基づく措置命令について>
抜粋
『
消費者庁は、本日、株式会社ファクトリージャパングループ(以下「ファクトリージャパングループ」といいます。)に対し、同社が供給する整体に係る役務の表示について、それぞれ、景品表示法に違反する行為(同法第5条第2号(有利誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令(別添参照)を行いました。
』
このときの措置命令では合計5件の表記に対して違反があったと指摘しています。なお5件のものと、今回の課徴金納付命令で対象にしたキャンペーン期間は別のものです。昨年の措置命令からの流れで課徴金納付命令にまで発展したのでしょうか。
最初の措置命令で指摘されたキャンペーン期間は平成27年から平成30年の間のものです。それを令和元年(つまり平成31年)の10月に措置命令を出しています。
今回の課徴金納付命令で指摘されたキャンペーン期間は平成30年1月~5月末までのもの。それに対して令和2年3月に課徴金納付命令を出しています。
昨年の措置命令を出した時点(令和元年・平成31年)では平成30年に行っていたことを改善することは過去に過ぎたことですから不可能です。消費者庁がどのような考えがあったのかは不明ですが、狙いを絞って命令を出したようにみえます。
課徴金納付命令を出すには綿密な調査とその期間の売上金を調べないと納付金額を算出できません。広告媒体がウェブであるためキャンペーン期間が過ぎれば表示が切り替わります。消費者庁の資料にはウェブ上の表示も資料として残してあるので意図的にスクリーンショットを残しておいたものと考えられます。つまりずっと見張っていないとできないことだと思うのです。消費者からクレームが多数入っていて目をつけていた可能性もあるでしょう。
前々から調査を進めておかないとできないことだと考えられます。うがった見方をすれば違反するのを待つために泳がしておいたとも。
またキャンペーン期間という言い逃れできない内容を指摘したのも気になります。
これまでに同じようなジャンルで、小顔矯正について医学的根拠なしという判断で措置命令が出たことがあります。あるいは大手整骨院グループに「やせプログラム」の医学的根拠がない、「全国1位」という表現に根拠がないとして措置命令が出ています。これらには医学的根拠やランキングを出した妥当性を確認する作業が入ります。資料を提出させてその内容を吟味した上で根拠なしと判断したのです。
キャンペーン期間ですと簡単に立証できてしまいます。言い逃れしようがないと言いますか。目をつけていたように感じます。
ここからはあん摩マッサージ指圧師である私の専門分野になるのですが、通称あはき法(あん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師の頭文字をとって「あはき」)という法律により、医師、あん摩マッサージ指圧師以外の人間が、不特定多数のひとを対象に継続的にマッサージ行為を行うことを禁止しています。
しかし昭和時代の裁判により、身体に害をもたらさなければ問題なし、というような判断がなされました(裁判自体は無免許施術自体は有罪になっています)。その結果、あん摩マッサージ指圧師免許を持たない人がマッサージ行為をすることを実質、黙認しているような状態です。
今更ながら前例を崩すことができないせいか、厚生労働省も保健所も無資格・無免許のマッサージ行為を止めることができません。このような法律があることを世間の方は知りませんし、保健所の担当にも周知されていないようです。
しかし、近年消費者センターに健康被害の声が届くようになっており、度々利用者に警告を発しているところです。そう、施設を利用する消費者側に警告を。マッサージ行為を行う提供側にはほぼ警告をしていないにも関わらず。むしろ総務省の職業区分にリラクゼーション業を入れて、国から正式に認められたと思わせるような状態です。
これは私の予想なのですが、無資格・無免許のマッサージ行為で健康被害が出ていることを問題視した消費者庁は広告面から大手チェーン店を取り締まろうとしているのではないでしょうか。キャンペーン期間に不備があったというだけで課徴金納付命令まで出すというのはなかなか厳しいように思います。まず課徴金納付命令になるには、一定額以上を売り上げている企業に限ります。それには個人店はほぼ該当せずにチェーン展開している大規模店でないと該当しないのです。
広告の不備を是正するというより、あたかも見せしめるかのように処分を下したように感じるのです。公式の文書にはウェブ上に上がった有名タレントもばっちり掲載されています。CMを受けたタレントさんのイメージも損なわれるでしょう。この件は芸能事務所と問題にならないのでしょうか。
ここ2年ほど私は景品表示法による措置命令に注目しています。実は厚生労働省が行う、我々あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師の広告検討委員会でも注目されています。消費者庁の動きで業界が大きく影響を受けるように予想しています。
甲野 功
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