開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
今年の2月辺りから日本でも新型コロナウィルス流行が現実味を帯びてきました。ご存知の通り東京都は非常事態宣言が出ている状態です。
この環境下で私の仕事は何なのか、どうしたらいいのかを深く思案してきました。
私の仕事は控えるべき「不要不急の用」に入るのか。鍼灸やマッサージは医療なのか慰安なのか。
感染症対策はどうするのか。
続けるのか休業にするのか。
多くの命題に直面しました。
まず私が提供していること、按摩、指圧、マッサージ、鍼灸といったものは不要不急の用事に入るのか、そしてそれらは医療なのかということについて。
私個人の考えとしては按摩・指圧・マッサージ・鍼灸のどれも大きな枠組みで医療に分類されるものだと考えています。中心には位置しないでしょうが。
それはまず資格免許が厚生労働省管轄であること、国家資格であることといった法的状況から考えることがあります。医療に関わらないものを厚生労働省(この場合は厚生に注目していて、労働については別です)が管轄するのはおかしいと思います。
そして開院する際には保健所に届け出を出して臨検(保健所担当員が現場まできて施設をチェックする)を行います。ただリラクゼーション店として開業するならばこのようなことは必要ありません。公衆衛生を求められるのは医療の一部であるからだと考えています。
法律用語では医療の限定解除や、医療類似行為などがありますが、少なくとも他人のお身体を改善しようとする、いうなれば治療する、ということだと。
治療という言葉は医師以外使うな、という意見がありますが、反対に治療する気概もないのに人様の身体に鍼を刺して艾を置いて火をつけるようなことはしてはいけないと思うのです。まして私はリラクゼーション業界出身ですからリラクゼーション(慰安)というものをしっかりと経験した上での現状です。
約6年前に開業する際にも屋号に「治療院」というのは避けた方がいいという意見を受けましたが、敢えて「治療院」という言葉を入れました。ただ鍼灸をマッサージをするところ(その結果は体が良くなるかは別問題でこちらは関知しませんよというところ)ではなく、その先まで責任を取るという気持ちでした。
確かに不要不急であろうという症状の方もいらっしゃいますが、不要不急とならない場合もあるのです。
具体例を挙げれば例えばギックリ腰。急性の腰痛で動けなくなります。急激な痛みで当院に飛び込んできた方がいましたし、ギックリ腰の対応で出張したこともあります。痛みが出ている当人には不要不急だと言ってはいられない状況です。他にもあまりに辛い肩こり。頭痛を伴い仕事にならないということも。たかだか肩こりでしょうと思われますが、当人には耐えがたい苦痛である場合もあるのです。
もしも美容専門鍼灸院と謳っているならば休業していると思います。あるいはスポーツ専門と掲げているなら同じように休業しているでしょう。美容はこの状況では優先度が下がると思いますし、スポーツも練習や大会がほぼ全て自粛状態ではスポーツ選手への必要性は低くなるでしょう。そうではなく、ある程度困っている症状を扱う「治療院」としてやっているため、本当に不要不急の症状に対して準備しておく必要があると考え、営業継続を決めました。
それとギックリ腰や肩が痛いといった症状が出ていても、この状況では医療機関を受診するのも大変です。
医療機関で感染症にかかる可能性、あるいは医療機関にウィルスを持ち込む可能性の両方があります。医師法により基本的に受診拒否はできませんから医療機関側は対応しなければなりません。それによって他の重篤患者さんへの資源が割かれることは避けた方がいいでしょう。こと東京においては医療崩壊の危機であり、そのうち専門科以外の医師、医療従事者も動員しないとまわらないことになるでしょうし。不要不急の医療受診を減らすということができるならば、やるべき私の役割だと思います。
そうは言っても感染症対策はしっかりしないといけません。
スタンダード・プリコーションのこともありますが、感染症対策をするというのは学校の授業でも習いますし、国家試験の出題範囲であり、保健所もチェックすることです。
まず私自身が新型コロナウィルス感染を防がなくてはなりません。そのため、ここ3週間は電車、バスといった公共交通機関を利用していません。交通機関を使っての出張も控えている状況です。
外出時は必ずマスクを着用し消毒用アルコールを携帯してこまめに手指消毒をしています。仕事で必要なこと以外は、他人と会うこともしていません。子どもを公園に連れて行くことも控えています。患者さんと相対するときは消毒と換気を徹底するようにしています。
結果的に自宅すぐそばで開業したおかげで通勤時の感染リスクはありません。歩いてすぐなので他人との接触がないのです。また次女の保育園通園もしばらくお休みにして自宅保育にしているため、他の人と接する機会はより減っています。日常の買い物も自転車か徒歩でいける範囲にしています。新宿に出る場合も自転車で済みます。長女の小学校も登校日が無くなる完全休校になりました。
可能な限り感染リスクを減らすような日常生活を送っています。
患者さんから感染する可能性も低いと考えています。まず外出自粛要請、それと志村けんさん死去のニュース、更に非常事態宣言により、遠方からの(電車を利用する)患者さんの予約はほぼありません。キャンセルが続いています。また体調不良の患者さんはお互いのために体調が戻るまで控えましょうという話になっています。
またあじさい鍼灸マッサージ治療院は個人院でかつベッド1床で行っているため、他人同士の患者さんが一緒になることは基本的にありません。今後は時間に余裕を持って予約を取ることで複数の人が集まることがないようにできます。鍼灸マッサージ専門学校生向けの公開講座も延期にしています。
そして営業継続してもいいのか、という点について。
小池百合子都知事が発表した休業要請をする業種には該当しておりません。
<NHK NEWS 東京都が休業など要請する施設まとめ 2020年4月10日>
この報道によれば
『一方、通所介護や短期間の入所により利用される福祉サービス、保健医療サービスを提供する施設については感染を防ぐための対策をとる協力を要請します。』
とのことでした。感染を防ぐ対策をとるのは当たり前のことです。より厳しくルールを設定して行います。
加えて、全日本鍼灸マッサージ協会が厚生労働省に問い合わせたところ、「あはき業は、業務停止にならない」という回答を得たといいます。「あはき業」とはあん摩マッサージ指圧、鍼(はり)、灸(きゅう)の頭文字をとったもので、当院が行う業務です。
これらのことから感染予防対策をとることで営業可能であるという判断しました。
当院はスタッフを雇っているわけではないので、営業継続することでスタッフにリスクを負わせることはありません。職場が遠くて開けることがリスクになることも無いわけです。近所の個人院であること、そして保険を使わない自費のみであるため予約のみで対応することができます。
こういったことを考慮して以下のような条件で営業継続を決定しました。
1.通常通りの営業時間であじさい鍼灸マッサージ治療院を開ける。
・ただし、予約の時間を調整して患者さんが重ならないようにする。
・また、公共交通を用いる出張を控える。
2.これまでやってきたように感染予防策を取る。
・院内の換気、消毒を徹底し、患者さんの前ではマスクを着用する。
・術者である私自身も不要不急の外出を控える。外出する際はマスクを着用し消毒ジェルを持ち歩いてこまめに手指消毒をする。
3.来院される患者さんにもお願いをする
・来院時には消毒用アルコールによる手指消毒をしてもらう。
・体調が悪い場合(発熱、せき、倦怠感、頭痛など普段とはことなる症状がある)は来院を控える。
・事前に必ず予約をしてもらう。飛び込みでの来院を受け付けない。
最後に経営面についてです。
これは最初から決めていたことですが、儲けるよりも継続できるシステムを徹底してきました。借入金なしの自己資本のみでの開業。商業地ではなく住宅地ですることで家賃を安くする。有料の広告システムをし無くしてランニングコストを下げる。開業数年は赤字でしたが、今は数ヵ月間持ちこたえられるくらいの資金を残せています。貧すれば鈍すると言いますが、経済的に余裕があるので冷静な判断ができると思っています。
生まれ育った地元で開業しています。多くの人が住む住宅地です。近隣住民の手助けになる存在であることを目標にしています。このような状況にこそ貢献できることがあると願っております。
甲野 功
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