開院時間
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整骨院業界にも文春砲が。
先日このような記事が出ました。
文春オンライン 4月22日
「44億円破産」した接骨院MJG 元AKB板野友美にポルシェ“供与”
『
4月10日に約44億円の負債を抱えて破産した大手接骨院チェーンMJG。2011年創業の同社は接骨院、整体院を全国に展開。骨盤矯正などを売りに2019年末までに178店舗を展開する業界最大手として急成長を遂げていた。
現在、各店舗のドアには「新型コロナウイルスの感染拡大による営業中止」と貼り紙がされるなど、“コロナ破産”にもうつるが、同社では以前からトラブルが続出していた。
元社員が明かす。
「新規出店のなかには不採算店が多く、資金繰りが厳しかった。2019年11月にはダイエットプログラムの効果に根拠がないと、埼玉県から景品表示法違反の是正勧告を受け、銀行の融資もストップしました」
財務状況の悪化に拍車をかけたのは同社の木﨑優太社長(33)の金銭感覚だ。
「とにかく派手好きなんです。日焼けした肌を高級スーツで包み、口癖は『社員に夢を見させたい』。2019年の報酬は約2億5000万円ですが、キャバクラで800万円を1日で使い、社長室経費扱いにしていたこともあった」(同前)
社長の浪費のなかでも目立つのが、AKB元メンバーの板野友美(28)との“密接な関係”だ。2019年度のイメージキャラクターに板野を起用したのだが――。
「木﨑社長は飲み会などで『板野には年間数千万払っている』と豪語していました。さらに板野さんの母親が社長を務める会社が横浜市内のMJG整体院のオーナーとなっています。この店舗は、社長案件となっており、他のフランチャイズ店舗よりも優遇されていた。2000万円弱かかる初期費用のほか、広告費用も免除され、赤字補填もする。経営リスクはほとんどゼロです。板野さんの妹でグラビアアイドルの成美さん(24)もMJGの従業員として登録されており、給料が支払われていました」(同前)
不可解なことに、経営が悪化する中でも、MJGによる板野家への支援は続けられた。
「MJGが社用車としてリースしていた高級車『ポルシェ・マカン』を19年11月から、板野さんの専用車として供与していたのです。最低でも700万円以上する車です。同月末には、受付スタッフ全員を事実上のリストラ処分にしていたので、余裕のある状況ではなかったはずですけど……」(同前)
板野の所属事務所は、「週刊文春」の取材に次のように回答した。
「何度かポルシェをお借りしていたのは事実です。仕事上の関係です。報酬や契約、母親の業務についてはお答えできません」
』
確認のため、雑誌も購入して目を通しました。内容はサイトとさほど変わりませんでした。
有名芸能人のニュースであるため、週刊文春という大手週刊誌が取り上げました。それにより、MJGという大手整骨院グループの裏側が世間に広まることになります。こちらの方が大いに問題だと私は考えています。柔道整復師、整骨院というものがついに見限られなと思うからです。
新型コロナウィルス流行のせいで倒産したと発表していましたが、昨年の時点で経営が傾いていたことが元社員の証言として掲載されています。「2019年11月にはダイエットプログラムの効果に根拠がないと、埼玉県から景品表示法違反の是正勧告を受け、銀行の融資もストップしました」という。
そして追従するようにこのような記事が出ました。
ニュースサイトHUNTER(ハンター)
倒産したMJGの元従業員が衝撃告発 ― 不正まみれの運営実態 ― 4月24日
私はこのニュースを読んだときに、遂に接骨院業界の最後が見えてきたように思いました。
それは間違いなく内部文書と思われるデータが流出していることや、保険請求の不正について書いてあることが要因です。まず元従業員が出した昨年10月の全店舗の売上数字をまとめた資料の画像データが掲載されています。間違いなく社外秘のデータであるはずです。これがネットに出てしまうことの驚き。倒産したとはいえ重要なデータを外部に出してしまっている。整骨院は厚生労働省管轄の施術所であり、患者さんの守秘義務があります。その整骨院で、元従業員とはいえ重要な情報を漏らすという状況が信じられません。会社の情報を流すならば、通院されていた患者さんの情報も横流ししていないかと勘繰られてしまうわけです。保険請求する場合、保険証のデータ、本名、年齢、住所、電話番号などかなりの個人情報を入手しますから。倒産しようが守秘義務が消えるわけではありません。
次に全店舗のうち単月黒字が3~4割しかなかったということ。どんどん出店攻勢をかけつつも、実態は赤字店舗が大半だったという。それには以下のブログに情報が出ていました。
【続】〜深すぎる闇〜MJG接骨院 木崎優太の破産劇。絶対に儲からないFCの悲劇。※個人の感想です。
これによればいわゆるフランチャイズ契約を結び、オーナーから資金を調達するやり方をしていた。しかしあっという間に資金繰りが悪化するということのようです。別の整骨院グループでは同様のやり方をして訴訟問題になっているケースが既にあります。そもそも施術所を医療系国家資格のない素人のオーナーに任せるという発想が疑問なのですが。それでも軌道になるならばまだいいのですが、実態は赤字店舗だらけ。
経営が苦しくなり、MJGは受付スタッフを解雇するようになります。このことが何を意味するのかは整骨院勤務をしていないと想像がつかないでしょう。受付と一口に言っても業務は多岐に渡るのです。受付の役割は大きく、特に来院される人が多い院ほど重要です。術者だけではまず成り立ちません。その受付業務の従業員を削ってしまう。サイトのニュースによれば少なくとも300名。突如解雇された受付従業員の悲痛な声が昨年の時点でTwitterに散見していました。整骨院の受付はその多くが女性であり、子を持つ母親も。子どもを保育園に入れることができなくなったという悲痛な叫びもありました。受付スタッフがいなくなれば施術スタッフがその業務も代行するので手が回らなくなるのは明白です。看護師ゼロで手術を行うようなものですから。結果、来院数が大幅に下がったとあります。
更に埼玉県からの景品表示法違反で措置命令を受けます。以前このブログでも書きましたが、ダイエットプログラムの医学的根拠がない、全国1位の宣伝も根拠が乏しいと誇大広告とされたのです。このとき課徴金納付命令(いわゆる罰金を支払えという命令)は出ず、広告を訂正し利用者、社員に周知徹底すること、再発防止に努めること、で外面的には終わったはずでした。しかし裏では銀行の融資が止まって経営が一層悪化したといいます。間接的に景品表示法違反が経営に大きく響いたことが判明したのです。
私が最も驚いたのは診療部位水増し指示について内部文書が出ていることです。これには本当に驚きました。サイトの画像には本社から送られてきた「レセプト枚数に対して保険請求が少なすぎます。問診で痛いところを細かく聞いて全身を施術していれば平均部位数は2.6は行くはずです。」という内容。整骨院の保険請求業務をしたことがある人にはすぐ分かる内容ですが、恐ろしいことを書いているのです。
レセプトとは保険者(国民健康保険、協会けんぽなど保険団体)に請求する診療報酬明細書のこと。柔道整復師が施術をする整骨院(正しくは接骨院)は急性外傷にのみ特例で保険請求をすることができます。急なケガをしてやむなくという前提です。
部位数というのは何か所ケガをしたかを表します。平均部位数とはその院で保険請求を行う患者さん(レセプト数に等しい)が平均何か所ケガをしたかを表すはずの数字です。平均2.6というのはほぼ全員が2か所以上ときに3か所ケガをしたということになります。
しかし“平均2.6は行くはずです”という表現は<頑張ってケガした個所を増やせ>と言っているのに等しいのです。
そもそもこの現代で同時に2か所も3か所も捻挫や打撲をするのでしょうか?つまり整骨院側でケガをでっちあげてケガしたことにして来た患者さんの保険証を使って保険請求をしているということを白状しているようなものです。不正請求をしてもっと保険から利益を出せと。
その証拠になるようなものを外部に出すとは。倒産したからもう関係ないということでしょうか?。不正請求はもちろん犯罪です。
更に柔道整復師免許証の原本を会社が預かるという。
なぜこのようなことをするかというと柔道整復師でないと保険請求ができないからです。更には管理柔整師といって、保険請求ができる柔道整復師は免許を取った後に実務経験や研修を受けないといけません。管理柔整師がいないのにあたかもいるようにしたと考えられます。もっと悪い想像をすれば整骨院を作る際に柔道整復師なしで始めていたのかもしれません。
タクシー会社がタクシードライバーの運転免許証を取り上げますか?考えられないことをしています。
これらのような整骨院の裏側を堂々と出してしまっていることが問題です。
これでは、どうせ他の整骨院も同じ不正をしているのでしょう?と勘繰られてしまうのです。まして有名芸能人が関わることですから芸能ニュースも飛びついています。これまでにも別の整骨院グループで芸能人絡みの報道が出ています。
そして追随するような芸能ニュースがいくつも上がっています。もしも不正請求で儲けたお金をもらっていた、となれば芸能人の価値はガタ落ちでしょう。芸能事務所も無視できないことでしょう。
今回の倒産劇と芸能ニュースは整骨院(接骨院)、柔道整復師のシステムが限界に来ていると感じています。
ここ数年多くの逮捕者と不正が発覚してきた柔道整復師および整骨院。専門学校で学ぶ内容は急性外傷の処置がメインです。それが現場ではダイエットだ骨盤矯正だと外傷とはほど遠いもの。にもかかわらず保険請求で部位数を増やせと指示を出す(つまりケガしたことにする個所を増やして保険請求しろということ)。挙句、柔道整復師免許証の原本を使って届を出す。素人にフランチャイズ契約で資金を集めて出店させる。高額回数券を売りつける。
このような裏側が世に知れ渡るきっかけになりました。
今後ますます柔道整復師を目指す人は減ると思います。実際に柔道整復師を養成する学校は減っています。私の母校も当時に比べて生徒数が驚くほど減っていました。
倒産したMJGグループの創業は2011年だそうです。私が柔道整復師になったのも2011年3月。そして整骨院という職場を去ったのも2011年でした。柔道整復師になる前、学生の時点で。これからは危険だと思って整形外科で働きたいと願い、さあ柔道整復師になるというのに整骨院を辞めました。
真っ当な柔道整復師がいることは知っています。きちんと外傷を診る整骨院も存在します。しかし自浄作用が働かない業界は先がないでしょう。専門学校は現実を教えているのでしょうか。
私の周りには柔道整復師がたくさんいますから心苦しいのですが、本当に世間に必要ない存在になってしまいます。倒産劇のことよりも内情が公表されたことにもう限界だと思っています。
甲野 功
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