～【あましって何？】を２４日間続けたこと～

一つは
・按摩
・マッサージ（massage）
・指圧
という３つの技術をまとめて一つの資格免許にしてしまったことです。

３つの技術は、どれも発祥国も技術も歴史も異なっています。
日本に伝わった時期も

按摩（古代、３世紀？に中国から伝来）→

マッサージ（明治時代にフランスから伝わる）→

指圧（大正時代に日本で成立）という順番です。
各技術の違いも比較すると結構あります。
衣服の上から行うか否か、技術の方向（求心性・遠心性）、主にアプローチしている組織、などなど。

 

 

大まかな分類から各々の細かい技術について、過去に私が作ってきたブログを引用して、毎日一つのテーマを使ってTwitterに投稿していきました。ちょうど開院記念日となる５月１５日で終了としました。

過去の成果物を紹介する形とはいえ、２４日間毎日行ったことは意味があったと考えています。それなりの反響がありました。

 

現在も東京都は緊急事態宣言が出ており自粛要請が出ています。新学期になっても学校は休校で学生たちは自宅待機と自宅学習を強いられています。
それは鍼灸マッサージ専門学校の学生も一緒です。
新入生はほとんど授業もないまま、学校から出される課題をするかリモート授業をするという環境。技術を学ぶ専門学校に入学したのに対面で技術を学ぶ機会を奪われて大いに焦って不安になっていることでしょう。

この時期にネット上にいる、学習しようという学生の姿をみて、「あん摩マッサージ指圧師のことを理解してもらいたい」という気持ちが芽生えました。

正しくは「鍼灸学生はあん摩マッサージ指圧師のことを知らないし、理解しようともしていないのでは？」という疑問が生まれるきっかけがあったので、学校に行けない今だからこそ知ってもらいという願いです。これは柔道整復師の学生にも言えることですが。

 

あましって何？。

「あまし」という言葉はあん摩マッサージ指圧師の略称です。３つの技術の頭文字です。鍼灸師や柔道整復師と近い位置にある資格免許でありながら認知度が低いと思います。何故ならば晴眼者（視覚障害の無い健常者という意味）が通える養成学校が鍼灸師、柔道整復師に比べてとても少ないからです。正しくは鍼灸師、柔道整復師の養成学校を新設することが解禁されて爆発的に数を増やした結果なのですが。そのような経緯も多くの学生は知る由もないでしょう。

 

 

 

 

 

広い北海道にはありません。東北地方、四国地方、九州地方には各１校のみ。関東地方に多くが固まっております。
またあん摩マッサージ指圧師のみが取得できる単独の科がある学校は全国でわずかに３校。かつ、あん摩マッサージ指圧師専門の養成校は２校しかありません。私もそうですがあん摩マッサージ指圧師を取る場合、ただでさえ養成校が少ないのに鍼灸師と一緒に取ることがほとんどということです。晴眼者であん摩マッサージ指圧師のみを持つ人は数少ないわけです。

 

鍼灸師も柔道整復師も同じですが、法律により業務独占というものがあり、あん摩マッサージ指圧師も同様です。医師を除いてあん摩マッサージ指圧師免許を持たない者がマッサージを業とする（反復継続の意思を持って行うこと）を禁止しています。

 

 

同じことが法律で決まっているのです。しかし鍼灸師、柔道整復師はあまり理解しておりません。

マッサージは誰でも行ってよいと認識している人が多い。あまつさえ、法律を知った上で無視している場合もあります。さらにはあん摩マッサージ指圧師のことはおろか、技術的なことも大して理解していない。

 

鍼灸学生さん（柔道整復師もそうですが）、特に今年の春入学した学生さんには「あん摩マッサージ指圧師とは何かを」知ってもらいたいのです。まるで当たり前のように、マッサージはしてもいいもの、と思うことは鍼灸師になるうえで足かせになるであろうと、両方（鍼灸とあん摩マッサージ指圧）を持つ私は考えます。他の技術を知ることで鍼灸を客観的に見ることができます。きちんとした理論、技術があることを分かった上であん摩マッサージ指圧師というものを知ってもらいたいのです。

 

これから専門学校も通学可能になっていくことでしょう。我々は技術職ですからどうしたって対人で直に触れなければ学べない技術であり、仕事です。実技の授業がなく、頭でっかちになりがちな時期に学生へのメッセージが【あましって何？】でした。

 

甲野　功