開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
今回、新しくあじさい鍼灸マッサージ治療院のリーフレットとチラシを作成しました。それも3パターン。その紹介と制作の裏側を紹介します。
基本的に広報活動の全てを、自ら行うようにしています。
ホームページ作成は完全に一人で行っていますし、Facebook、Twitter、Instagram、LINE公式アカウントのSNSもそうです。ネット関連はこつこつ一人でアップしていいます。
対して実物がある看板やリーフレットなどは他者の力を借りています。看板は業者にお願いして作成してもらいました。メインで使っている院全体のリーフレットは妻に大元を8年前に作ってもらい、中身を改良しながら今も活用しています。院のパソコンとプリンターで印刷しているので必要な時に必要な枚数を印刷できることと、内容を変更することがすぐにできます。
他の印刷物は全て私が作成しております。ハガキ、ニュースレター、予診票などの書類、などなど。理由はコスト削減もありますが、イメージ通りに手軽に作成できることが大きいです。ちょっと言い回しやデザインを変えたいときに簡単に変えられないのは苦痛なのです。
さて、これまであじさい鍼灸マッサージ治療院全体を紹介するリーフレットはありましたが、ターゲット別のものはありませんでした。私の場合、資格もできることも多いのでコースが多く、ちょっと煩雑になってしまいます。
各ターゲットに合わせたものを作りたいなと考えていました。
セミナーに行ったりテクニック本を買ったりして自作してみたのですが、どうにも満足のいくものができませんでした。
理由は自分なりに解析すると
・紙質と印刷技術が悪くて安っぽい
・デザインが詰め込み過ぎで目移りする
・端が印刷されない、両面印刷だと裏側が透けてしまう
といったものでした。
家庭用プリンターで印刷するため機能面の限界がどうしてもあります。また情報が入り過ぎてしまって詰まった印象があるのが問題。根が貧乏性のせいか、情報をたくさん入れたくなってしまいます。それを綺麗にまとめるデザインセンスがないのです。余白を作れないわけです。
器材による機能面の問題とデザインというソフト面の2つの問題を抱えて何年も試行錯誤していました。
あるとき美大卒の知り合いに複数の印刷物を渡したときに、デザインが悪いものは受け取ってくれなかったことがありました。もちろんそれは私が作ったもの。結構ショックで、これはもうプロにお願いした方がいいなと内心つぶやいたものでした。
しかし業者に頼むとなるとまた話が変わってきます。紙質、発色、印刷技術などの機能面はデータを送って印刷してくれる業者を見つければ済む話です。問題は中身のソフト面。どのようなデザインにするのか、何の情報を載せるのか、それが重要でした。
プロなどいくらでもいる、と言われそうですが、私の仕事は法律に縛られる部分がままあり、全くの素人が作ると大変なことになることがあります。特に資格名と業務内容を正確に記載してくれません。
私はあん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師、柔道整復師であるのですが、整体師と記載されることが多くて困ります。一度、施術師なる初めて目にする書き方をされて、どこでこのような用語を知ったのだろう?と思いました。業務内容も整体はしておりません。ホームページにもどこにも「整体」の言葉は使っていないのですが、勝手に整体師ということにするので毎回訂正します。
細かいことですが、腸骨を蝶骨とされたり毫鍼を豪鍼と書かれたりします。国家資格取得を前面に出している以上、正確な用語にしないといけません。看板をつくるときも「clinic」の文字が入っており、厳密に言えば違法になるので消してもらいました。デザイナーは良かれと思ってやってくれるのですが、法律に抵触しそうなことは避けなければなりません。
そうなると鍼灸マッサージ業界の知識(職種、法律、業界状況など)がある業者にお願いしたいところです。果たしてそのようなところがあるのか?頭にあったのが一つ。N-PAGEさんです。
こちらは鍼灸師の野村森太郎先生がディレクターを務めています。
野村森太郎先生は大塚で森空堂を開業しています。
同じ東京医療専門学校卒でこれまでに何度もイベントでご一緒させていただきました。過去に鍼灸を受けに行ったことも。
ブログ~鍼灸治療院森空堂~
野村森太郎先生は鍼灸師の前は出版業界で働いていた編集校正のプロです。なおかつ鍼灸院を開業している同業者ですから当然、鍼灸業界のことを理解しています。リーフレット作成は野村森太郎先生にお願いしようと決めていました。
ただそう決めてから1年くらい経過してしまいました。一人ゆえに決断が速いのですが実行まで速いかはまた別問題なのです。他にやることがあるとそちらに集中してしまってダメです。企画をしても行動に移すのに時間がかかってしまうのは大きな欠点ですね。
図らずも3月頃から新型コロナウィルスの猛威が皮膚感覚で感じるようになりました。いよいよ東京も怪しくなってきた頃。旧知に野村森太郎先生に連絡をして作成依頼を出しました。
当初考えていたのは4パターン。
①社交ダンスの選手向け
②社交ダンスの先生向け
③社交ダンス愛好家向け
④小さなお子さんを育てるママさん向け
でした。
①は競技ダンス選手と言われる層に向けたもの。社交ダンスを競技として行い、競技会で優勝することが目的にダンスを練習する人々です。競技者であるので、私はパフォーマンスを向上させることを一番に考えます。
②は社交ダンススタジオで先生をしている方々に向けたもの。競技選手である場合もありますが、競技を引退している方もいます。お客様と踊ることがメインで、日々の疲労を取ることと体のメンテナンスを私は一番に考えます。
③は主に高齢者の社交ダンスを趣味にしている層に向けたもの。ダンスパーティーでデモンストレーションを披露することや多くの相手と上手に踊って、社交ダンスを楽しみたいという皆様。社交ダンスを楽しめるようにお体のケアをすることを考えます。
④は赤ちゃんを育てているママさんに向けたもの。育休で小さな我が子を抱えてなかなか外出できない母親たち。産後のダメージや日に日に体重が増える子どもに身体が悲鳴をあげるのは、妻をそばで見ていてよく分かっているので、子連れでも対応できることをアピールしたいと考えています。
この4つのターゲット層に向けたものを新しく作りたいと連絡しました。既に私自身が4パターン作ってあったのですが、やはり満足のいくものではありませんでした。それをどうにかしてほしいと。
ここから複数回に渡る長い野村森太郎先生とのやり取りが始まりました。メール以外にも何度か直接顔を合わせて話し合いやリモート会議を経て詰めていきました。
野村森太郎先生から①の競技選手と②の先生は重なる部分が大きいので1つにまとめてしまっていいのではないか、という提案を受けました。私は当初分けて考えていたのですが、野村森太郎先生はどのようなシチュエーションで手に取ってもらうかを考えてみてくださいと言います。検討した結果、1つにまとめることを承諾しました。
作って満足するのではなく、活用されないと意味がない。そこまで考えて案を出すことに、新たな気づきがありました。
その結果、
①社交ダンスの競技選手向け
②社交ダンス愛好家向け
③子育てママさん向け
の3パターンにまとめることになりました。結果的に作成費用と作業行程を抑えることができました。N-PAGE側としては4つ作った方が費用をいただけるのですが、こちらのことを真剣に想って減らすことをはっきりと提案してくれました。なかなかできることではないでしょう。
続いてコンセプトです。
③子育てママさん向けは野村森太郎先生も子どもが生まれたばかりでイメージがしやすかったようです。スムーズに進みました。しかし社交ダンスにおいては全くの門外漢であったため、イメージを理解するのに相当苦労したようです。
当院のホームページや幾多の社交ダンススタジオのホームページなども参考にし、私の言葉に耳を傾けて、どのような打ち出し方をしたらよいのか策を練ってくれました。私が問題視していた情報が多すぎるという点も、取捨選択をどうするかを一緒に考えてくれました。
競技選手向けの方はアスリートと捉えることでイメージできて、見せ方とどの項目で訴求するかを検討する感じでした。社交ダンスの愛好家が非常に困ったようで、全く想像できない世界だったようです。競技として客観的な順位が出るわけではない。何をモチベーションになっているのか分からなかったようです。「ドレスという結婚式でしか着ないような豪華な衣装と髪型、メイクをしっかりして非日常の舞台に立つのが楽しい」という表現を聞いて閃いたそうです。
野村森太郎先生が私の意図をヒアリングして、デザイナーとデザインを作っていきます。
ある程度完成したデザインを見た時はかなり驚きました。
ママさん向けのものは三つ折りが好ましいということで表にみえるもの、開いたときに目に入る内容をどうするのか。すんなりと納得できました。メインのリーフレットも三つ折りであるので馴染みがありました。プロモデルを用いた写真を使うかどうかが悩みましたが、そこはプロモデルを採用することに決めました。残りの写真は当院で用意したものに。
問題は社交ダンス関連の二つでした。想像していたイメージとかけ離れていて、なんじゃこれは?!と本気で思いました。
競技選手向けのものはあまりにもシンプルで一見何がなんだか分かりません。愛好家向けの方は紫が強くて暗い感じがしたのと、ありがちな社交ダンスのシルエット。これはどうなのだろうと悩んでしまいました。メールでデザインデータをもらったときに数日返信するのをためらいました。
野村森太郎先生側の意見は、
・アイキャッチとして他にも複数ある中から手に取ってもらえるよう表にインパクトを与えたい
・競技選手は若い年齢層なのでホームページに誘導して詳しいことはそちらを参照してもらう
・訴求したいことを3つにまとめて最大の目的であるパフォーマンスアップに繋がるデザインにした
・愛好家向けは大きめの字で内容を理解してもらい、よくある具体的な故障について少し固い解説を入れて治療の専門性を出す
というものでした。
当初は受け入れられなかったデザインも時間が経つにつれて納得するようになってきました。
第三者の目を入れる必要がないなら依頼することなく今まで通り自分で作ればいいわけです。客観的な視点、そして私にはない感性で作られたものであるので、これがいいのであろうと。聞けばディレクターである野村森太郎先生とデザイナーさんの間でかなり議論を重ねたそうです。社交ダンスを知らない側の人間が研究してたどり着いたもの。ずっと携わってきた私には見えてこないものがあったことでしょう。微調整をお願いしましたがデザインに納得するに至りました。
最後にサンプルを触って紙質を確認し、印刷する紙の種類を選択し、その後納品となりました。
今回の件で、ただ依頼されたものを作るのではなく何度も意見を聞き、プロとして制作側の主張するところは通す、しかもそれは顧客側に立ったもので自社の利益のために行わないもの、という姿勢を学びました。
私の本業にも通じることです。患者さんの言葉をよく聞き、相手の利を考える。こちらの都合で物事を進めようとしない。何度もやり取りをして納得のできるものを完成させる粘り強さも大切です。時間をかけずにパッとデザインすることもできたはず。ここまで細かくヒアリングされるとは思っていませんでした。
丁寧な仕事をして頂いたディレクターの野村森太郎先生並びにN-PAGEに感謝申し上げます。
これから新しい日常がどのようなものか誰もが模索しながら作っていくことになります。あじさい鍼灸マッサージ治療院の運営も同様に今年3月までとは別の状態になっています。離れた患者さん、戻ってくる患者さん、新たに訪れる患者さんと様々。新しい日常を構築するためのツールとしてこのチラシを活用していきます。
甲野 功
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