開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
奥神楽坂という言葉が知らぬ間に出現していました。神楽坂坂上エリアをだいたい指す言葉のようですが、さらに目抜き通りである神楽坂通りから奥に入った少々目立たないところが奥神楽坂という言葉にふさわしいと個人的に思っています。
その奥神楽坂のイタリアンレストランを紹介しましょう。
場所は東西線神楽坂駅の矢来口から江戸川橋方面に行った住宅街です。神楽坂坂下の毘沙門天や石畳の路地からはかなり離れています。神楽坂坂上の神楽坂商店街からも外れます。相当知る人ぞ知るエリアという感じです。住宅密集地であるので土地勘がないと迷うところでしょう。かく言う私もあまり馴染みがないところで迷います。
ラ・タルタルギーナを知ったのはあるコミュニティの繋がりでした。そのコミュニティで知った人がFacebookのメッセージでお願いをしてきました。新型コロナウィルスで店舗経営が危うくなったので支援してほしいというクラウドファンディング。その対象のお店がラ・タルタルギーナでした。
場所を確認すると赤城神社のそばでうちからも近い。クラウドファンディングでわずかな支援をするよりもお店に行って食事をした方がいいだろうと考え、足を運ぶことにしました。
子どもがいるのでランチで一人で行ってみました。
最初に行ったときは道に迷いました。どこを曲がるのか分からなくなり、地図アプリで確認して来た道を戻ったくらいです。ずっとこの界隈に住んでいますが、全然足を踏み入れたことがない場所だと思いました。
着いてみると地域に溶け込んでいる感じのたたずまいでした。悪目立ちせずに住宅街に馴染んでいるというか。当院も住宅街にあるので親近感があります。
ランチのセットを注文しました。前菜とメインのスパゲッティ、それにドリンクのセット。私にとって普段のランチにしては割高の値段ですが、まあ地域支援の一環だろうと考えて。つまり当初は義理という感覚が強かったのです。
ランチのセットを注文しました。前菜とメインのスパゲッティ、それにドリンクのセット。私にとって普段のランチにしては割高の値段ですが、まあ地域支援の一環だろうと考えて。つまり当初は義理という感覚が強かったのです。
いざ食べてみるとひいき目抜きに美味しかった。久しぶりにきちんとした美味しい外食という感覚を味わいました。
きちんとした、という表現はどういうことか。大手外食チェーン店の料理も確かに美味しいのです。もちろんこの値段で、という価格との比較による判断が大きいのですが。子どもがいると一緒に入れるのはファミリーレストランが多くなるので、子どもも一緒に食事できる、という前提条件のもとの、美味しいでもあるのです。
ラ・タルタルギーナの料理はしっかりと手間をかけて作っていることがわかるものでした。特に前菜の野菜の天ぷら?揚げ物?はとても深い味わいで感動しました。メインではないのにきちんと作られた味。料理をしないので詳しいことはわかりませんが、手作業をしていると感じるものでした。
それと冷製のスープ。子どもの頃に冷たいスープを飲んで不味く感じた記憶が残っています。味噌汁に慣れた子どもには食事の汁物が冷たいことが許せなかったのでしょう。それ以降、冷製スープは苦手な気持ちが残っていました。それがここのスープは美味しかったのです。子どもの頃に芽生えた感情は後々まで引きずるものですが、この歳で覆るとは。きちんと説明できないのですが冷たい状態に合った味で納得できました。
メインのパスタも普段口にすることのない短い麺。慣れない食感でしたが美味しかったです。質の良い油を使っていると分かりました。
よい料理を食べると幸福感に包まれます。ほっとするというか。そういう料理にいつも出会えるとは限りません。シチュエーションにもよりますし。ここの料理はその幸福感が得られる味でした。当初は義理という意味合いが強かったのですが、素直に美味しい料理でその気持ちは吹き飛びました。
クラウドファンディングをして存続を訴えるくらいなので経営が心配という気持ちがあったのですが、ここは残ってほしいという場所です。料理以外にもそう感じるポイントが幾つもありました。
入り口すぐの席には犬を連れたご夫婦が食事をしていました。手ぶらでラフな格好をしていたので、近所に住む方なのでしょう。ペットの散歩がてら寄ったという雰囲気でした。ペットのわんちゃんと一緒に入れるお店は限られています。その席は建物の外ですので可能なのでしょう。私も子どもの頃犬を飼っていたのでこういうレストランは貴重です。チェーン店ではできないこと。
私は一人カウンター席に座ったのですが、奥のテーブル席には赤ちゃんを連れたママさんが二人で席についていました。私も子育て世代で、赤ちゃんがいて入れなくなった、入りづらくなったお店がたくさんありました。同じ客なのに赤ちゃんが、小さな子どもが一緒というだけで入店拒否されるという現実に少なからずショックを受けたものです。それが嫌で自分のところは積極的に赤ちゃん連れOKにしています。
子育てママさんがお友達とランチをしている。そういう時間が子育て時には大きな癒しになることを知っています。その時間と空間を提供しているお店は地域に大切だと考えます。この状況ですから遠出してお洒落なカフェに行くというのも厳しいでしょう。
ペットに赤ちゃん。地域住民のためになっているところにも共感しました。観光客、一見さんではなく地元に住む人々が集うお店。私の理想とするものとも似ています。
あまり間を置かずにまた一人でランチに行ってきました。
会計時にオーナーシェフと少し話をしました。
新型コロナウィルスが流行してから外国人観光客は一切来なくなったと。当たり前でしょう。
それでも存続しているのは”観光地”神楽坂ではなく、”地域”神楽坂でお店をしているからなのではないでしょうか。地域に愛される場所という匂いを感じました。これからアフターコロナ、新しい日常、と言われる時代には大事なスタンスになると考えています。
表現はあれですが、こじんまりと地に足を付けてしっかりと料理を出している。そのような印象です。もっと人通りの多い神楽坂通り沿いの方が目立つことでしょう。
奥神楽坂と言われる少し奥まった住宅街でしっかりと経営しているイタリアンレストラン、ラ・タルタルギーナ。こういうお店が潰れずに残ってほしいです。応援したいところです。
甲野 功
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